ガチャ519回目:選択式宝箱

「そんじゃ、スキルの割り振りを始めるか」


 まず俺に『超防壁Ⅴ』1個取得。『剛力Ⅵ』3個で『剛力Ⅶ』に。『怪力Ⅴ』3個で『怪力Ⅵ』に。『阿修羅Ⅳ』3個で『阿修羅Ⅴ』に。『怪力乱神Ⅱ』3個で『怪力乱神Ⅲ』に。『力溜めⅡ』3個で『力溜めⅢ』に。『硬化Ⅴ』3個と『硬化Ⅵ』3個で『硬化Ⅶ』に。『魔法耐性Ⅴ』1個取得。『斬撃耐性Lv2』3個取得。『重力抵抗Lv1』3個で『重力抵抗Lv8』に。『魔導の叡智Ⅳ』1個取得。『隠形Ⅲ』3個と『隠形Ⅳ』3個で『隠形Ⅴ』に。『元素魔法Lv5』1個で『元素魔法LvMAX』に。『ミストミラージュ』1個取得。

 アヤネは『超防壁Ⅲ』1個取得。『隠形Ⅲ』3個で『隠形Ⅳ』に。

 アイラは『超防壁Ⅲ』1個取得。『隠形Ⅲ』3個で『隠形Ⅳ』に。『土魔法LvMAX』取得。『魔力超回復Lv5』1個で『魔力超回復Lv6』に。

 アキは『超防壁Ⅲ』1個取得。『隠形Ⅲ』3個で『隠形Ⅳ』に。『土魔法LvMAX』取得。『魔力超回復Lv5』1個で『魔力超回復Lv6』に。

 マキは『超防壁Ⅲ』1個取得。『隠形Ⅲ』3個で『隠形Ⅳ』に。『土魔法Lv1』2個で『土魔法LvMAX』に。『魔力超回復Lv5』1個で『魔力超回復LvMAX』に。

 エンキは『震天動地Ⅲ』と『震天動地Ⅳ』を入れ替え。

 セレンは『弁天術Lv2』1個で『弁天術Lv4』に。


 まあこんなとこだろう。以前のクピド戦でドロップした『魔力超回復Lv5』1個を3人の内誰に使うかで迷って置いといたが、2つも出てくれたことで全員に割り振れたのはラッキーだった。

 逆に『元素魔法LvMAX』は扱いが悩ましすぎて倉庫行きになったけど、どうしたものかなぁ。今後、『炎魔法』が大量に手に入ることがあれば、そのときに改めて考えるかな。


「ショウタさん、お疲れさまでした」

「お疲れ様ショウタ君」

「お疲れ様ですわー」

「ん。長い戦いだった」

「ありがとう。だけど、スキルは終わったけどもう1個残ってるんだよね。アイラ」

「はい、こちらに」


 ごとりとアイラがテーブルに置いたのは緑色に輝く宝箱。金の宝箱よりも1ランク上の、俺たちとしては割と見慣れたエメラルドの宝箱だった。


「あ、そうだった。ショウタ君、これもお願いっ」

「ん。忘れてた。はいショウタ」


 そうしてアキとミスティも、ダンジョン内で拾ってきた宝箱をテーブルに置いた。その数、全部で8個で材質は銀。

 確か、木製、鉄製、銀製、金製の順だったかな? ダンジョン難易度が高いから、銀製が普通に置かれてるんだろうなぁ。


「これって第二層に設置されてる宝箱だよね? こんなに大量に見つけてくるなんて、すごいのはお兄さんだけじゃなかったのね。ミスティも凄いじゃない!」

「ん」


 正確には違うと言いたかったんだろうが、ミスティは口を噤んで俺の方を見た。俺の秘密や能力について喋ると、ペナルティが発生するからな。ちゃんと分かってる事を褒めてあげなきゃな。なでなで。


「んふ」

「では、例の指輪の効果がようやく確認できるんですのね!」

「そうか、兄さんには今『選択権』があったんだったね」

「じゃあとりあえず、銀の箱1個目から確認だな」


 そうして宝箱を手元に寄せて開けようと意識する。すると、まるで鍵がかかっているかのように宝箱がロックされ、俺の目の前に2つの窓が出現した。


【消費アイテム】

【ポーション】


「お、出た。皆もこのメッセージ見える?」

「はい、見えますっ」

「見えるわよー」

「んじゃ、とりあえず消費アイテムっと」


 選択肢をぽちっと選ぶと、宝箱は自動的に開き始めた。どうやらこの指輪をつけている時は、一気に開封なんて真似はできず、毎回これをしないと開けることはできないみたいだな。

 まあいいけど。


「んで中身は……」


 名称:複製の実

 品格:≪最高≫エピック

 種類:消耗品

 説明:この実を握りつぶした際に溢れ出る煙を食料に振りかける事で、対象のアイテムが複製される。対象はダンジョン産の食品に限られる。

 ★スキルの力を宿している食物に使用しても効果は発揮されない。


「……ほぉ?」

「うそ、『複製の実』!? それが3つも!」

「ん。実在するとは聞いてたけど、はじめて見た」

「僕もだ。魔石やポーションが出るとは聞いていたけど、まさか第二層の宝箱から出るなんて」

「なんだよエス、野良の宝箱でも良いものが出るじゃないか」

「すまない兄さん。これはちょっと予想外と言うか、出所が不明のアイテムだったんだ」


 ダンジョン産の食べ物の複製という事で、うちの女性陣が盛り上がっていた。


「食べ物限定となると、ショウタさんがこの前出したアレには使えないって事ですよね」

「そうなるでしょうね。でもこのダンジョン、食べ物自体は豊富だし増やすとすればやっぱり……レアモンスタードロップのになるわよね」

「これ、キングバナナに使うと1本増えるんですの? それとも、1房まるまる増えるんですの?」

「試してみたいところですね。この前1本分食べてしまったのはちょっと勿体なかったかもしれません」

「まあでもそこは、ショウタ君なら何とかできるんじゃない? ほら、コアの権限使えばレアⅡの出現そのものを止められた訳だし、逆に出ない設定を出るように変更することだって……」

「夢が広がりますわ!」

「ショウタさん、早速使ってみて貰えますか?」

「ああ、わかった」


 アイラが取りだしたのはグリーンキングバナナ。もともと1房に10本なっていたのが、今は9本になっている。あとはこの1塊を、ダンジョン側が1つのアイテムと認識してくれるか、それとも別個で認識してくれるかだな。

 俺は『複製の実』を握りつぶすと、中から液体の代わりにモンスター討伐時によく見る煙が溢れて来た。そして煙は空気よりも重いのか手からどんどんと落下していき、バナナに纏わりついてゆく。

 そして煙はバナナから離れ、すぐ近くで再集合し、ナニカを生み出して消えていった。そこに現れたのは……。1本のグリーンキングバナナだった。


「残念。1本が1つの扱いだったか」

「ん。でも美味しかったから、量産できるだけで美味しい」

「そうだな。もう残りの箱も『複製の実』で良いような気もするが……。一応、ポーションも確認しておくか」


 2つ目の宝箱を手繰り寄せ、開けようと念じる。再び出現した選択肢は先ほどと同じ物であり、今度はポーションを選択した。

 中身は……っと。


 名称:清涼な魔力の水+3

 品格:≪最高≫エピック

 種類:ポーション

 説明:魔力を500+(+値×200)回復させる秘薬。


「おぉ?」

「ま、魔力回復薬!? しかも効果が高いわっ!」

「これは……。またしても普通じゃないのが出たね」

「ん。流石ショウタ。期待を裏切らない」

「ポーションなんて治療用のものだけが出てくると思ってたけど、そうでもないんだな」


 しかし困ったぞ。どっちのアイテムも有用じゃないか。

 こうなるんだったら、ポーションだからと下に見ずに、もっと回収しておけばよかった。


「確かにこれもポーションと言えばポーションだけど、こんな逸品が出るなんてね」

「ショウタさんはやっぱり持ってますね」

「こんなの、何個あっても足りませんわ」

「ご主人様、休暇明けですが、第三層に行く前に第二層の宝箱を全回収しますか?」

「割とそれも有りだなとは思ってしまうな……」


 まだ本命の宝箱を開けてないのに、随分と盛り上がってしまった。

 とりあえず、全部で8個あった銀の宝箱は『複製の実』12個と、『清涼な魔力の水+3』4個という結果に落ち着いたのだった。

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