ガチャ520回目:選んだ箱の中身は

「そんじゃ、最後にレアⅡからドロップした宝箱を見て締めようか」


 エメラルドの宝箱を手繰り寄せ、開ける意思を強く持つ。すると、選択肢が現れた。


【武器】

【スキル】


「うわ、めっちゃ悩ましい……!」

「何が出るか分からないけど、ショウタ君の事を思えばどっちも有用なものが出るのは間違いないのよね」

「問題があるとすれば、例え有用でもご主人様にとって使えるかどうかが定かではないという点ですか」

「悩ましいですわ~」

「どうしたものかなぁ……」


 選択肢の前に悩んでいると、マキが俺の手をぎゅっと握った。


「ショウタさん、何を選んだって良いんです。ショウタさんなら絶対に損な事は起きたりしません。ですが、迷い過ぎて自身の優先順位を見誤って、違う物を選んでしまったら後悔が付きまといます。ですから、ここはあなたが強く欲しているものを選ぶべきです」

「ん。自分が欲しいものに素直になるべき」

「そうだね。どちらを望んだとしても、悪いものが出ることはないだろう。なら、兄さんが望む物を手にするべきだ」

「……そうだな。わかった、ありがとう」


 今どちらが必要かなんて、そんなの迷うまでもない。

 スキルは敵を倒せば倒すほど、強いスキルも新しいスキルも手に入るが、武器については、特にメイン武器である剣は、長い間ずっと同じものを使ってきたのだ。

 まあでも、このキメラの宝箱から剣が出るという確信は、全然ないんだが。それでも……。


「後悔しない物となれば、これ一択だ」


 俺は迷わず武器を押し、宝箱が自動で開く。すると中には暗闇が広がっていた。そこに手を突っ込み中を探ると、硬い感触が手に触れた。それと同時に、力が湧きおこる感覚も。

 この感覚は、能力向上の機能が備わっているのは間違いない。となれば、これはアーティファクトなんだろう。俺はそれを掴みなおし、思いっきり引き上げる。


「……そう来たか」


 名称:双貌血牙の蛇腹剣

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:変形武器

 武器レベル:50

 説明:剣と鞭、2つの機能を持つ蛇腹剣。剣形態では吸血スキルで相手の血を啜ることで一定時間強化状態となり、鞭形態では傷つけた相手の血を操作して赤い霧を生み出し、相手に恐怖・混乱・流血の状態異常を付与する。装着すると全6種ステータスの他、魅力も上昇する。

 ★鞭形態の射程は所有者の知覚能力と、魔力次第で無限に伸びる。

 ★本武器所有者であれば、赤い霧を自身の霧関連スキルの媒体として使用が可能。


「蛇腹剣だとぉ……?」


 俺の勘が剣が出るとは思えないと言ってたが、それは正解でもあり誤りでもあったか。これって確か、架空の存在じゃなかったっけ。実用化が難しいとかそんな感じで。

 まあでも、これに至っては実用化以前に『射程無限』なんだよな……。まあそこはアーティファクトだし、そういうこともあるか。

 てかクピドの時もそうだったけど、魅力が上がる武器って上のランクになるとそれなりにあるんだろうか?


「蛇腹剣! ファンタジーな武器が出たわね!」

「はわわ、どうなるのか見てみたいですわ……!」

『ゴゴー!』


 これがどういう物か、アキとアヤネは理解しているんだろう。滅茶苦茶目を輝かせている。俺も詳しくは知らないけど、どういうものかは想像できる。

 アニメなんかでも見かけるからか、エンキ達も楽しげな様子だった。


「扱うのに技量は必要でしょうが、ご主人様なら問題はないかと。ただ、鞭スキルが今後必要になるでしょうね」

「今までセレンちゃんやイリスちゃんに『鞭術』や『弁天術』は全部あげちゃってましたけど、これからはショウタさんも取得するべきですね」


 アイラとマキは、そこまで大興奮という訳では無かったが、存在自体は把握しているようで興味を惹かれているようだった。


『~~♪』

「いや、セレンのスキルを取り除くほどじゃないさ。それにアイラ、『鞭術』は確か在庫自体はまだ残ってたよな」

「はい。Lv8が2個ですが」

「じゃあ何もなしで武器を使って、その上でスキルを取って変化がハッキリ実感できるなら、今後は俺とセレンとイリスで、均等に割り振るようにしようか」

『~~♪』

『プル!』


 セレンとイリスを撫で回していると、この武器についてはまるで知識のない二人が困惑していた。


「ん。私、これがどういう武器なのか知らない。ゴツゴツした剣にしか見えないけど、違うの……?」

「うーん、これは日本語を勉強する際に、ジャパニーズアニメも視ておくべきだったかな?」


 どうやら兄妹は蛇腹剣を知らないらしい。まあ、日本のゲームやアニメではそれなりにお馴染みでも、海外ではそこまでポピュラーな物ではないか……? そんなところにエンキがやって来て、エスの腕を引いた。


『ゴゴ、ゴゴ』

「うん? どうしたんだいエンキ」

『ゴゴ』

『ポポポ』

「実は、エンキ達は結構頻繁にアニメ鑑賞会をしているんだ。そんで、エス達にも一緒に観ないかというお誘いをしているようだぞ。最初は俺が暇なら見ないかと誘ったんだが、今じゃ暇があれば四六時中見てるから、最近では俺よりも詳しいんだよ」

「はは、そうなのか。それじゃ、今度参加させてもらおうかな」

「ん。私も観る」

「シルヴィも観るかい?」

「え、良いの?」

「ああ、良いとも。エンキ達も構わないだろう?」

『ゴ!』

『ポポ~』

「ありがとう! あなた達ほんと可愛いわね~」

『ゴー』

『ポ!』


 エンキ達はミスティやシルヴィに可愛がられてご満悦と言った様子だった。

 さて、アイテム確認も終わったし、のんびりするとしようかな。

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15章完! スキル在庫が(結構前から)溢れてきたので、現状どうなってるのか気になる人もいると思ったので13時に投稿しておきます。


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