ガチャ517回目:第二層の決算

 俺たちがダンジョンを脱出すると、外の世界は陽が沈み始めていた。ダンジョンの攻略って、積極的に内部で寝泊まりして攻略に勤しむもんだし、俺もそういうものだと認識はしてるんだが、いかんせん『通行証』のせいで緊張感に欠けるというか、そこまで前のめりにならないでもやっていけるってのは大きいよな。

 まあでも、この先同じ階層の攻略に何日もかかる場合があるから、その時だけはキャンプを立てる必要があるだろうけど。


「みなさん、おかえりなさい! そして第二層の正常化、本当にありがとうございました!」

『ありがとうございました!』


 協会に帰還すると、シルヴィとともに協会の職員達が出迎えて、頭を下げてくれた。中には防衛のための男性職員や支部長の姿も混じっているが、女性職員の方が圧倒的に多くいるようだった。そんなどこを向いても気品溢れるというか、綺麗どころの多い受付嬢達がこうも勢ぞろいしている上に、感謝や尊敬なんかの気持ちを真っ直ぐ向けられると、どうにもムズムズするというかソワソワするというか、落ち着かない。

 うちの彼女達のおかげで美人への耐性はついて来てるけど、やっぱりこういうのはまだ慣れないな。


「頭をあげてください。俺はやるべきことをやったまでなんで。……エスっ」

「はは、わかったよ」


 なんとかこの場はエスの助けを借りつつ収めて貰い、俺達は昨日同様ホテル付属の休憩室へと足を運んだ。そこで一緒にやってきたシルヴィに明日1日休む事と、エスとはその後一時的な別行動となる旨を伝えた。


「わかったわ。でも、私としても協会としても、お兄さんは働きすぎだと思うわ。だから休んでくれると聞いてほっとしているの。こんなに活躍してくれているんだもの、誰も文句は言わないし、むしろ普段文句が多い人達も諸手を挙げて喜んでいるくらいだわ」

「そうなのか? まだ第一層と第二層だけだし、スタンピードの完全停止には程遠いから、そんな人達からも感謝されるほどの偉業ではない気がするんだが」

「お兄さん、それは違うわ。第五層を含めた深層は猶予があるから良いけど、第一層や第二層はスパンが短いこともあって、常に人員を割いて階層スタンピードの防止に動かないといけなかったわ。でもお兄さんの活躍で、私達はその重圧から解放されたの。現時点ではカウンターが永久に止まった訳じゃないし、この仮初の平和がいつまで続くかは未知数だけど、それでもこの平和はこの地域周辺に住む人たち皆が願っていた事よ!」


 シルヴィが地域住民を代表して熱く語り、エスとミスティもうんうんと頷いた。

 まあ確かに、命に関わるスタンピードの重圧が、5つある課題の内2つが無くなったと考えればあれほど感謝されるのもわからなくもないか。


「でもまだ3つも残ってあるしな。飛び入りで救援に参加したのに、いきなり休んで申し訳ないというか」

「はぁー、もう。日本人は真面目で働き者って聞くけど、まさかダンジョンでもそうだったとは思わなかったわ」

「はは、これに関しては兄さんだけの特異性だよ。他の人達は基本的に僕たちの思う普通の冒険者と同じさ」


 どうせ俺はダンジョン馬鹿だよ。


「まあでも、改めて言うけど休んでくれるって聞いてほっとしているわ。具体的に何日くらい休む予定なの? 羽を伸ばすのに紹介できるスポットがいくつかあるわよ」

「悪い、休むのは1日だけなんだ」

「えぇっ!? ……って、1日休むだけであんなに申し訳なさそうにしてたの!?」

「はは。シルヴィ、兄さんはこういう人なんだ。だから大々的に休むときは、大抵ダンジョンの全てを終わらせてからになるみたいだよ」

「えぇー……。せっかく色々とお返しできると思ったのに。わかったわ、皆には私から伝えておく。ちなみにだけど、この地域一帯の飲食店や販売店、レジャー施設なんかを利用した経費や、購入した物の代金は全て、市と協会が立て替えることになったから」

『!?』

「今回の活躍を受けて、市議長から街全域に通達があったの。お礼としてはまだまだ弱いけど、ひとまずはこれをお返しの1つとさせてね」


 チームの財布担当のアイラが本件の詳細説明を受けていたが、どうやら会計時に渡される小切手を協会に渡す事で、どんなものでも制限なく支払いをしてくれるらしい。その対象は一般的なダンジョン関係の消耗品から、ダンジョンに関係のない嗜好品の類も含まれていて、値段も天井知らずのようだ。聞けば、億単位のスキルオーブまで立て替えてくれるとか。

 思った以上の高待遇に驚きを隠せないが、まあそれだけあのダンジョンに割く人員と、それにかかる維持費やなんかのモロモロが厄介だったってことなんだろうが。

 スキルオーブの代金立て替えまで視野に入ってるのは、昨日の兄弟の討伐報酬も含まれてるのかな。


「しっかしそんな施策、普通は実行に移すのに時間がかかると思うんだが、随分と手際が良いな。事前になんか準備していたとしか思えん」

「そこはほら、僕が事前にコネを使ってちょちょいっとね。下準備には宝条院家も手伝ってくれたけど、彼らを最終的に動かしたのは兄さんの活躍あってこそだよ。今後も市や国から、色々とお返しをしてくれる予定のはずだから、期待してて」

「わかった。期待しとくよ」


 さて、休暇の件は一旦置いといて。今日の活躍で得たアイテムの整理をするかな。


「アイラ、今日のドロップの総括を頼む」

「畏まりました。こちらになります」


 『超防壁Ⅲ』7個。

 『超防壁Ⅴ』1個。

 『剛力Ⅲ』7個。

 『剛力Ⅴ』1個。

 『怪力Ⅲ』7個。

 『怪力Ⅴ』1個。

 『阿修羅Ⅱ』7個。

 『阿修羅Ⅳ』1個。

 『怪力乱神Ⅱ』1個。

 『俊足Ⅲ』2個。

 『俊足Ⅴ』1個。

 『迅速Ⅲ』2個。

 『迅速Ⅴ』1個。

 『瞬迅Ⅱ』2個。

 『瞬迅Ⅳ』1個。

 『迅雷Ⅱ』1個。

 『鉄壁Ⅲ』5個。

 『鉄壁Ⅴ』1個。

 『城壁Ⅲ』5個。

 『城壁Ⅴ』1個。

 『金剛体Ⅱ』5個。

 『金剛体Ⅳ』1個。

 『難攻不落Ⅱ』1個。

 『力溜めⅡ』2個。

 『力溜めⅢ』1個。


 『硬化Ⅱ』500個。

 『硬化Ⅲ』5個。

 『硬化Ⅴ』1個。

 『水耐性Lv2』5個。

 『水耐性LvMAX』1個。

 『物理耐性Ⅲ』5個。

 『物理耐性Ⅴ』1個。

 『魔法耐性Ⅲ』5個。

 『魔法耐性Ⅴ』1個。

 『斬撃耐性Lv2』3個。

 『再生Lv1』500個。

 『再生Lv3』3個。

 『再生Lv4』2個。

 『再生Lv8』1個。

 『鞭術Lv8』2個。

 『弁天術Lv2』1個。

 『重力抵抗Lv1』3個。

 『精力増強Lv3』3個。


 『破壊の叡智Ⅱ』7個。

 『破壊の叡智Ⅳ』1個。

 『魔導の叡智Ⅱ』7個。

 『魔導の叡智Ⅳ』1個。


 『隠形』900個。

 『隠形Ⅱ』3個。

 『隠形Ⅲ』5個。

 『気配断絶Ⅱ』3個。

 『生体感知』200個。

 『生体感知Ⅲ』2個。

 『衝撃Ⅱ』4個。

 『反響定位』300個。

 『震天動地Ⅱ』3個。

 『震天動地Ⅳ』1個。

 『吸血Lv1』200個。

 『吸血Lv3』2個。

 『吸血Lv8』1個。


 『風魔法Lv1』200個。

 『風魔法Lv3』2個

 『水魔法Lv1』200個。

 『水魔法Lv3』3個

 『土魔法Lv1』200個。

 『土魔法Lv3』2個

 『風塵操作Lv3』2個。

 『水流操作Lv3』3個。

 『砂塵操作Lv3』2個。

 『魔力回復Lv3』7個。

 『魔力超回復Lv5』2個。


 『ミストミラージュ』1個。


「それと、ここには出しきれませんが、キメラが落とした宝箱が1個ですね」


 雑魚300+200+200と、レア3+2+2と、レアⅡが1体の結果がこれか。

 んで、倍化の方はロックリザード2種はレッド200体が、全て『硬化Ⅱ』が増加し、グリーンは100体全てがロックリザードの上肉を。

 サップリング2種はレッドが『隠形』を。グリーンがメイプルスイートポテトを100個ずつ。

 ミストハンター2種はレッドが『隠形』を。グリーンがリフレッシュミストを100ずつ。

 カメ、トレント、トラからはそれぞれ2種の素材をそれぞれを倍化。

 最後にキメラからは『魔力超回復Lv5』が倍化されて来た。

 

 倍化が食材にだいぶ持っていかれた事を加味しても、今回はちょっと多いな。でも何とかなりそうだ、ありがとう『スキル圧縮』。

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