ガチャ500回目:再支配計画

「……しかし、話を聞けば聞くほど、なんだか申し訳なくなってくるな。兄さんには、ここのダンジョンをどうにかして欲しくて依頼をしに行ったはずなのに、この国が抱える大きな問題に巻き込んでしまっている」

「つっても、例の征服王絡みは元々巻き込むことも計算していたんだろ? ミスティが俺と関係を持てば、そいつとは自動的に敵対関係になるもんな」

「……そこは申し訳なく思ってるよ。ただ、僕達にはそれしか切るカードがなかったんだ」

「まあそれは良いよ。俺もミスティの事は気に入ってるしな」

「んふ」

「恩に切るよ。ただ、例の制約以前に、兄弟として、これ以上兄さんの冒険を邪魔させるつもりはない」


 エスは強い意志を持ってそう宣言した。


「今回の件、政府は征服王の機嫌を損ねたくなくて対応は消極的になるだろう。けど、彼らは思い違いをしていることを理解するべきだ。その対応は前提からして間違っているんだってね。兄さんなら、奴が支配しているダンジョンを再支配することくらい容易いんじゃないかい?」

「まあ、そこはダンジョンを見てみないことには何ともではあるが……勝算がない事はないな。だって、他のホルダーならいざ知らず、その征服王とやらはどう考えても『運』特化って訳じゃないんだろう?」


 『運』特化なら、そもそも周囲の人間に裏切られる展開なんて、中々ならないと思うんだよな。何と言うか、『運』はあればあるほど物事がいい方に運びやすいと言うか……。いやでも、本人の性格上『運』がどれだけあっても起こるべくして起こる物事ってのは、回避不可ではあるか。

 俺も注意しないとな。


「うん、それは間違いないね」

「なら、そんな奴ですら『ホルダー』になれた以上、そのダンジョンは『運』が要求されない仕組みのダンジョンなのかもしれないよな。それとエス、征服王の所有ダンジョンって、その1箇所だけか? 他にこっそりと持ってたりしない?」

「そんな話は聞かないかな。それに、奴が急いで領土を広げる意味も、今まで無かったっていうのもある。増強アイテムの産出は、結局ダンジョンを安定して攻略するためであるから、奴の軍団が安定した強さを持つまでは現状維持の方針だったんじゃないかな? だけど、複数攻略するメリットを兄さんが示しちゃったから、今後奴らは、その方向で動き出すかもしれないね」

「なるほど。……なら現状、奴が持つ鍵は1個しかない訳だ。だったらトリガーモンスターの出現無効化も難しいだろうな」


 俺も初めて実行できたのは、鍵が3つの時だしな。

 現状『初心者ダンジョン』は、第三層と第四層の一部レアⅡを封印しているから、他所の人間がトロフィーを揃える事は不可能な状態になっている。


「だからやろうと思えば、征服王が支配しているダンジョンに直接赴いて、支配権限を上から書き直す事なんて真似も出来るかもしれない」

「なるほど……」

「そんなすごい事をなんて事ないように言うなんて、お兄さんって本当にすごい人なのね……」

「ん。ショウタはすごい」


 ミスティがドヤる。


「まあそれがシステム上可能かどうかは今まで考えたことなかったから、ここをクリアした時に『ダンジョンコア』に直接聞かないとだけどね」

「わかった。兄さんには重ね重ね申し訳ないけど、このダンジョンをクリアしたあと……」

「ああ。征服王の本拠地に潜り込むって話だろ? 俺は構わんぞ。放っておいたら、そいつの管理者レベルが上がってしまうかもだし、そうなったらこっちも手が付けられなくなる可能性があるしな」


 征服王が今後出向くダンジョンが『運』が絶対必要なダンジョンなら安心だが、力技で突破できるタイプなら話は変わってくるからな。

 こういう時『運』って仕事しがちではあるけど、俺が『運』を高める以前に出現したダンジョンだからな。多分そういうのは働かないだろう。


「さて、それじゃあ僕とシルヴィはお暇するよ。兄さんは彼女達とゆっくり過ごしてくれ」

「そうするよ。エスは仕事の手伝いか?」

「そのつもり。シルヴィだけじゃ大変だろうし、少しでも長くいたいからさ」

「エス~!」


 2人がイチャつくのを見守る。まあエスとシルヴィの場合、テレビで大々的に付き合いを発表したからな。出来る限り一緒にいるのは、守る意味もあるんだろう。


「兄さん、明日はどうするんだい?」

「当然潜るぞ。今回の事件程度、半日休めれば十分だしな。あと、第一層はしばらく問題ないとしても、完全クリアするまでの間ずっと問題ないかはわからないから、まだ入り口の地雷は撤去しない方が良いかもな」

「うん、そうするよ。それじゃあね」


 そうして2人が出ていくと、改めて皆がひっついてくる。


「ショウタさん、お疲れさまでした」

「今日はのんびりするで良いのよね?」

『ゴゴ』

「ぎゅーっ! ですわ!」

「ん。私もぎゅーする」

『ポポ?』

『~~♪』

『プルプル!』

「悪いけど、完全休憩はちょっとあとでな。その前にアイテム清算しようと思う。あとアイラ、イリスにグリーンバナナを3房くらいあげたげて。お腹空いてるみたいだから」

「畏まりました」

『プル~ン!』


 アイラが今日の成果を机に並べるついでに、イリス用のバナナを取り出した。

 さて、今日の成果は……。


 『剛力Ⅲ』5個。

 『剛力Ⅳ』3個。

 『怪力Ⅲ』5個。

 『怪力Ⅳ』3個。

 『阿修羅Ⅲ』4個。

 『怪力乱神Ⅱ』4個。

 『鉄壁Ⅲ』5個。

 『鉄壁Ⅳ』3個。

 『城壁Ⅲ』5個。

 『城壁Ⅳ』3個。

 『金剛体Ⅲ』3個。

 『難攻不落Ⅱ』4個。

 『力溜め』3個。

 『身体強化Lv2』8個。

 『身体強化LvMAX』3個。

 『体術LvMAX』3個。

 『格闘術LvMAX』3個。

 『精力増強Lv2』7個。

 『精力増強Lv5』3個。

 『木登り』812個。

 『木登りⅢ』5個。

 『木登りⅤ』3個。

 『鼓舞』5個。

 『鼓舞Ⅲ』3個。

 『ドラミング』3個。

 『威圧』5個。

 『強圧』3個。

 『連環拳』3個。


 あとはドロップアイテムとしては以下。

 赤色に輝く香油 1個。

 黄色に輝く香油 1個。

 緑色に輝く香油 3個。

 グリーンバナナ 無数。

 レッドキングバナナ 1個。

 イエローキングバナナ 1個。

 グリーンキングバナナ 1個。

 三色の紋章【Ⅰ】 1個。

 大魔石5個

 特大魔石3個。


 うん、まあボチボチかな。

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