ガチャ477回目:手回しばっちり
ミスティとの模擬戦を終えた俺は、シルヴィに案内されて専用の会議室へと案内された。やっぱり国が違えど協会は協会で、会議室は会議室だよな。大きな変化はないようだ。
「ショウタ君お疲れ様ー!」
「ショウタさん、カッコよかったです!」
「流石旦那様ですわ!」
「銃弾に真っ向から立ち向かうご主人様。痺れました」
「ん。防がれて悔しかったけど、もっと好きになった」
「はは、皆ありがとな」
着座すると同時に、堰を切ったようかのように彼女達は口々に褒めてくれた。ここに来る途中で合流してからは、熱い視線を投げるだけで耐えていたようだけど、我慢も限界だったのかな。
席はいつものようにアキとマキが両隣に座り、アヤネが膝の上。そしてアイラと同じく、ミスティが俺の背後に回っている。
「話に聞いていた以上に仲良しなのね。羨ましいなー」
対面に座ったシルヴィがため息混じりに呟き、チラッと隣に座るエスに投げかけた。それに対してエスは苦笑いだ。
他所の協会支部にお邪魔するたび、同じような感想を貰ってる気がするな。まあ、それだけ俺たち全員の関係値というか、相性が抜群に高いんだろうけど。これもたぶん、俺の『運』が高いおかげで、相性の良い人間が集まれたのかもしれないが。
「ちなみに、兄さんにはあと6人彼女がいるよ」
「わお。10人超えは前例がいるけど、こっちはちゃんとした関係みたいで安心だわ。それにしても、ミスティちゃんもちゃんと女の子の顔するのね。なんだか安心したわ」
「ん。ショウタの前でしか見せない」
ミスティが背後からしがみ付き、顔を俺の後頭部にグリグリしてくる。
「んふふ、そっかそっか。……あ、そうだわエス。さっきの解説だけど、良いの? お兄さんのスキルバラしちゃって。お兄さんの強さはこれで知れ渡ったけど、それでもよくないことを考える連中はいる訳でしょ?」
「その事なら心配ないよ。ね、兄さん」
「ん? ああ、『金剛外装』の能力の件か。エスも上手く嘘と本当を織り交ぜたよな」
「え、そうだったの?」
エスがさっき実況席で言った『金剛外装』の能力は、『どんなダメージも1度だけ無効化する』と『消費が激しいなどのデメリットもある』だ。それは無印の性能であって、『金剛外装Ⅳ』の効果とは色々と異なっている。てか俺の場合後者のデメリットはないに等しい。
「あの情報だけを鵜呑みにして攻撃してくる奴は、馬鹿を見るって寸法だな」
「そもそも、ミスティの攻撃を捌き切る兄さん相手に、誰が攻撃を通すんだって話だけどね」
「ん。私の攻撃、この国でトップクラス。それを防ぐショウタ、すごい」
「あー……。それなんだが」
皆が褒めるから言うタイミングをなくしていたが、実は最後の攻撃、3発ほど『無刃剣』で削り切れなくて被弾しちゃったんだよな。俺はそれを説明し、その証拠としてテーブルの上に弾頭がひしゃげた弾丸を3発並べた。
「という訳で、最後は捌けたのは17発までで、残りはちゃんと当たってたんだよね」
「ショウタ、正直。でも、見栄を張らないところも好き」
「おー……。ミスティは何でも好きだなぁ」
「ん!」
なんだか、何をやっても好感度が上がってる感じがする。
いや、もうカンストしてるような気もするが。そう思っていると手元の弾丸が塵になって消えていく。そういえば元は魔力の塊だから、時間経過で消えるんだったな。
「んで、シルヴィ。早速だけど、ダンジョンってもう入って良いのか?」
「本当に早速ね!? あんな戦い繰り広げておいて、まだ挑むつもりだったんだ……。でも、今日はやめておいた方が良いわよ。今は皆、さっきの戦いで色めきだってるから、協会から出たらきっと囲まれるだろうし質問攻めに合うわ」
「えー……マジか」
ダンジョンに早速入れると思ってたのに……。まあでも、一般の人達を蹴散らして入るわけにも行かないし、ここは耐えるしかないか。
残念だ。
「本当に残念そうにするわね。エスに聞いてた通り、ダンジョンが全てなのね」
「ん? 褒められてる?」
「感心していたのよ。とにかく、今日はここで休みなさい。この協会があるビルは、そのまま上の階がホテルも兼ねてるし、レストランも有名どころが一通り揃っているわ。だから今日は英気を養って、明日に備えて欲しい。私達もバックアップしてあげたいけど、流石に今日入られると準備が整っていないから、なにもサポートできないのよ」
「そういうことなら……仕方ないか」
エス達と結んだ誓約には、このダンジョンを攻略する上で可能な限り協力する旨の項目があったはずだ。それを使って用意してくれたものを損ねるような真似を俺からするわけにもいかないしな……。
甘んじて受け入れるか。
「あ、それと悪いんだけど、この後うちのボスとお話しする時間をちょうだい。会合なんて堅っ苦しい真似はしなくて良いし、今回は顔合わせってことで」
「まあダンジョンを攻略するんだから、挨拶は必要だよな。分かった」
「ショウタお兄さんにはこの短時間で何度も驚かされるわね。本当にうちのダンジョンを攻略する気満々なんだ……」
「何言ってるんだ。攻略してほしいからわざわざ呼んだんだろ?」
「それはそうだけど……」
そんな似たような会話を、この後初めて会った支部長とも話したりして、俺たちはそのまま696協会の歓待を受けた。シルヴィの言う通り、支部長との会話は軽い挨拶だけに留まり、それ以上は突っ込んでくることはなかった。
ドロップしたアイテムの販売だとか、攻略完了した場合の占有権やらなんやらと、色々と問題は山積みだと思ってたし、そんな話もするんだとは思っていたが……。どうやらその手の面倒な問題も、既にエスと、うちの彼女達。それからサクヤお義母さんが終わらせてくれたんだろう。
ほんと、至れり尽くせりだな。
「なら俺は、ダンジョンのことだけ考えてれば良いか」
さーて、その『『
あの時も、第一層を軽くみた程度で本攻略は出来なかったし……。本当に楽しみだ。
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