ガチャ461回目:スタンピード誘発型ダンジョン
俺はミスティをダンジョンの入口に残して『ダンジョンコア』へとやって来ていた。
『管理者様、ようこそいらっしゃいました』
相変わらずここのコアは数学の教科書に出て来そうな幾何学的な図形の組み合わせだなぁ……。
「聞きたい事がある。『楔システム』とダンジョン解放についてだ。もし今の状態で『
『肯定。『楔システム』での連結は不可能ですが、飛び地での占有・管理は可能です』
「なら、『
『肯定。可能です』
よし。
これで『
じゃあ他は……。あ、そうだ。
「『ダンジョンコア』。このダンジョン以外の情報を聞いても教えてくれるか?」
『肯定。管理者様の権限・実績・知識に応じて回答内容に変化があります』
やっぱりそうか。
それに、権限は鍵の数だろうけど、知識は恐らくスキルの重ね掛けで得られるⅡやⅢの前例もあれば、『虚無』だとおもっていた『知恵の実』の事もある。その
そして最後に『実績』と来たか。これは恐らく、モンスターの詳細を求めた際に、会敵した経験や討伐した経験なんかも参照されそうだよな。確認のしようもないけど。
「では聞こう。『ダンジョンNo.696』の階層別スタンピードについてだ。あれは俺の攻略してきたダンジョンとは異なるようだが、内部設定的にどう異なるのか知りたい」
『……』
お?
珍しく『ダンジョンコア』が即答しないな。答えられるけど条件が複雑で、それの確認をしているのだろうか。
『肯定。管理者様の権限及び、実績、そして『知恵の実No.4』の存在を確認』
おお。
『当該ダンジョンは、モンスターの出現上限が設定されていません』
「!?」
モンスターの出現上限と来たか。
となると、これは『知恵の実No.4』を使って『ハートダンジョン』の第四層の構成を弄くり回した経験が『実績』として扱われていそうだな。
「どういう事だ。詳しく教えてくれ」
『ダンジョンコア』によると、モンスターのリスポーンと、スタンピードの発生のカラクリには、以下の条件があるという事だった。
まず本来のダンジョンは、倒されたモンスターは時間経過と専用のエネルギーを消費する事で、そのフロアや生息域内で設定されている最大値まで再出現する。そしてモンスターが討伐されないでいると、モンスターを出現させるためのエネルギーがどんどん溜まっていき、限界値まで膨れ上がるとスタンピードという形となって世界に解き放たれる。
解消方法は、こまめにモンスターを倒してガス抜きをする事。もしくは、管理者の鍵を持ち、それ以上エネルギーが貯まらないよう設定を変更する事だ。
だが、ミスティ達の故郷にある『ダンジョンNo.696』は、1フロア1エリア何匹までというモンスター出現の上限設定が外れているらしい。そのため、エネルギーの補充の度に無尽蔵にモンスターが湧き出し、そのうちダンジョンに備わっている、モンスターを縛り付け制御する機能のキャパを超過。超過して湧き出たモンスターが制御下のモンスター達を扇動し、各階層ごとにスタンピードを起こす……。というものらしい。
更に、第五層でスタンピードが起きて第四層に雪崩れ込みが発生した場合、第四層から上のモンスターも下層のモンスターの勢いに煽られ、どんどん合流していくらしい。
なんとも迷惑な話だ。
「……ん? その話が確かなら、第五層よりも下層からスタンピードの波が来ていないのはおかしいな。ということは、そのダンジョンは第五層までなのか?」
『否定。上限設定が存在しないダンジョンの場合、未発見の階層は活動を停止します』
「てことは、エスが第五層に乗り込んじゃったせいで第五層からの襲撃が起きるようになってしまったということか」
なんというか、報われないなぁ。
エスが奥へと向かったのは、このはた迷惑な仕様を止めるために頑張った結果だろう。なのに、奥に向かって攻略したことで、却って自分たちの首を絞める羽目になるなんて。
少し酷だが、ここで得た情報は2人にも伝えておくか。
「あ、そうだ。『ダンジョンコア』。その上限設定が外れたダンジョンは『ダンジョンNo.696』以外に存在するか?」
『肯定』
世界地図に映り込む1000を超えるダンジョンの内、『ダンジョンNo.696』を含めたいくつかのダンジョンが、強く光り輝いた。その中には、最近出現した『海底ダンジョン』と思われる場所も輝いている。惜しくも、これから攻略しようと考えていた『ダンジョンNo.1094』とはまた別のダンジョンだったが……。これは、早急に対処しないと不味いかもしれないな。
なにせ、スタンピードの再発を恐れて奥に進軍すればするほど後で痛い目を見る事になるからだ。すぐにでもサクヤお義母さんに伝えておかなきゃだな。
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