ガチャ459回目:充電加速

本日は書籍第二巻発売日!

それを記念して、いつものように2話投稿します。次は13時です。

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「じゃあ気を取り直して、ミスティ。ちょっとここでアイテム稼ぎしていいか?」

「いいよ。でも、スライムしか湧かないんだよね?」

「ああ、普通の方法ならな」


 そうして例の禁制品を使い、エンリルに風を送ってもらう。

 すると物の数分で、マップに映っていた無数のスライムはいくつかの赤丸へと変化し、こちらへと向かっていた。


「変化した……?」

「そう。これがこのダンジョンのもう1つの秘密だ。100匹近いスライムが一カ所に集まると合体するんだよ」

「すごい。そんなのができるなんて知らない。……あ、じゃあこの大きなのも七変化するの?」

「そゆこと。最後には『ダンジョンボス』になるんだ」

「おおー」


 目を輝かせるミスティとじゃれ合っていると、奥からゆっくりと『ヒュージーブルースライム』が現れた。その数10体。約2ヵ月放置でもこの数にしかならないのなら、この辺りがこのダンジョンのキャパシティなのかもしれないな。

 いや、『知恵の実』があるんだし、後で確認してみるのも有りだな。やろうと思えば『初心者ダンジョン』のモンスター構成も弄れたりするんだろうけど……。あそこはなんだかんだバランスが良いし、手を出す必要は無いかな。遠回りが必要な第三層が邪魔なだけで。


 そうしてミスティが見守る中、『紫電の矢』を『重ね撃ち』して10体同時に射抜く。


【レベルアップ】

【レベルが22から80に上昇しました】


 相手がレベル40のレアでも、10体分同時加算の場合だと馬鹿みたいに増えるな。まあ、ここから先は同時でもしばらく補正がないから期待はできそうにないが。


「おみごと」

「それでミスティ、悪いんだけどちょっと手伝ってほしい事があってさ」

「ん。なんでも言って」

「ああ、ありがとう。ここから前回同様カラーチェンジしていくわけなんだが、最初はまあ軽い相手だし、レベルもあっちよりも低い。ただ、『ダンジョンボス』は多分だけど同時には出現しないと思うんだ」

「ん。私もそう思う」

「だから最後の黒に関しては、『ダンジョンボス』を沸かせて倒すまでの間、残りはキープしておく必要があるんだよ」

「ん。把握。バリアは使って良い?」

「ああ、それくらいで死ぬような奴らじゃない。ただ厄介なことに『宵闇魔法』で周囲を暗闇にしてくるから、見えない中での戦いになるかもしれない」

「ん。平気。『銃器マスタリーLvEX』には万全な状態で戦うためのサポートスキルも備わってる。だから視覚が制限を受けても『暗視』や『赤外線』のスキルで敵を見失うことは滅多に無いし、エコーロケーションだって可能」

「おお」


 さすがLvEX。規格外だな。

 そうして各色のスライムを討伐し、最終的に黒10体から2体討伐→虹討伐を5回繰り返し最終的なレベル変動は以下。


 青10体:22⇒80

 水10体:80⇒81

 緑10体:81⇒83

 赤10体:83⇒85

 紫10体:85⇒87

 白10体:87⇒96

 黒2体:96⇒108

 虹1体:8⇒204

 黒2体:4⇒168

 虹1体:68⇒183

 黒2体:83⇒118

 虹1体:18⇒202

 黒2体:2⇒168

 虹1体:68⇒183

 黒2体:83⇒118

 虹1体:18⇒202


 結果、『充電』11回分を全て支払い完了した上で、レベルが202の状態になっていた。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:202

腕力:16627(+16422)

器用:16631(+16426)

頑丈:16525(+16320)

俊敏:16175(+15970)

魔力:16849(+16646)

知力:17020(+16817)

運:24270


*****


『50/50』


 ついでに『倍加』もしっかりと機能し、一番欲しかった各種宝石が倍増してくれた。ドロップの詳細は後で確認するとしても、これで人数分の『真愛のネックレス』と『真愛の指輪』が作れそうではあるな。

 けど、カスミ達はしばらくは必要ないって話だった。

 理由としては、『真愛のネックレス』の距離減衰が起きず、きちんと効果が発揮されたとしても、不意のタイミングで俺のレベルが上がったりしたら、低レベルによるレベルアップを狙っているのに、レベルが上がったせいでガチャを回せない。なんて影響が出てしまったら申し訳ないという話だった。

 なので彼女達はしばらく自前……、というか、イズミの『運』を主軸に行動するらしい。


 まあ、彼女達の言うように、低レベル補正なしでのレベルアップほど不味いものはないからな。その気遣いは普通に有り難かったが、逆に彼女達にはイズミのトドメでないとダメという縛りが発生してしまっている。この辺りはなんとかしてあげたいな。

 

「ミスティ、お疲れ。手伝ってくれてありがとな」

「ん。私もスライムの『ダンジョンボス』戦は初めてだったから楽しめた。それに、このアイテムも皆のための収集なんでしょ?」

「カスミ達はしばらく要らないって話だったから、今回はどちらかというとミスティとエスの分だな」

「私達の分なの?」

「いつまでも見てるだけじゃつまらないだろ? まあ、俺との絆を深める必要があるから、用意しても今すぐってのは難しいけどな」

「ん。我慢する……」


 ミスティがしょげると、連動するように彼女のアホ毛も萎れた。よしよし。


「ん。もっと撫でて」

「よーしよーし」

「ん。だっこして」

「仕方ないなぁ」


 甘えてくる彼女をお姫様抱っこして、そのままダンジョンの入り口へと移動を始める。


「ああ、そうだミスティ」

「ん」

「ミスティ達の言ってる『幻想ファンタズマダンジョン』だけど、攻略を急ぐ理由って聞いて良いのか?」

「ん。言ってなかった……?」

「俺は聞いてない」

「そっか。アイラ達にだけ話したんだった。えっと、あのダンジョン、モンスターの再出現スピードが異常に早いの。だから、ちょっと放置するだけですぐ飽和して、階層ごとにスタンピードを起こすの」

「マジで?」

「まじ。だから、普段は高ランクの冒険者が持ち回りで各階層で掃除をするの」

「そりゃ大変だな……」


 ん? ……?


「ミスティ、その階層ごとにって具体的にどんな仕様なんだ?」

「ん。例えばエスはあのダンジョンで5階層まで発見してる。その5階層は1ヶ月近く放置してると『階層スタンピード』を起こす。すると、第四層に突然、第五層のモンスターの群れが現れて、そのまま階層を登ろうと大移動を起こすの」

「それを止められなかったら……」

「ん。本物のスタンピードになる。ちなみに、階層が浅いほど飽和の速度が速い。出現した直後は大人しかったけど、今では第一層は3日ほど。第二層は6日。第三層は12日。第四層は18日で発生すると言われてる」

「それは……。負担が大きすぎるダンジョンだな」


 そんなクソ厄介なダンジョン、早く平定して欲しいと思われるのも当たり前だよな。

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