ガチャ442回目:搦め手

レベルガチャ第二巻発売直前を記念して、現在Amazon等で第一巻を期間限定で無料公開中。それにより、現在宣伝前なのに『無料Kindleランキング』5位!?

まだの方はこの機会に是非とも一度手に取って頂き、Web版との違いをお楽しみください!

そして楽しんで頂けたなら、第二巻の予約をして頂けると幸いです!!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 現状を改めて整理しよう。

 まずボスはエンキ達が押さえてくれているが、『金剛外装Ⅳ』もそうだが奴の機動力と防御力もあって、まともなダメージは与えられていない。また、奴の攻撃も強力な物が多く、浮く剣はエンキの岩の身体をガリガリと削っているし、矢の飛来速度が俺ですら回避がやっとなものだ。今のところ全員外装でカバーしているが、いずれ『魔力』が尽きてじり貧になるだろう。


 続いてうちのチームは、アキが敵の状態異常技によって操られ行動不能。アヤネとマキが『回復魔法』で解除できないか試みているが、効果はないようだった。当のアキは、『目隠し・猿ぐつわ・手枷・足枷』で完全に縛り付けられたまま、変わらず俺に向けて敵意をバチバチに放っている。ちなみに目を封じているのは魔法の行使に視界が必要だからで、口を封じているのは武技スキルの起動には発声が必要だからだ。


 カスミ達6人は、最初は様子見の為攻撃をさせない方針だったから、まだ奴に攻撃できていない。今回は経験値の為に呼んだし、相手のレベルは280で『魔煌石』の大。手出しできればうちの彼女達と同じくらいまでレベルが跳ね上がってくれるだろうし、是非とも攻撃をさせたいが、反撃であの矢を射られたらたまったものじゃない。


 最後に手助けしてくれる双子の存在。戦力としては申し分ないし、二人がかりなら俺でも勝てないくらいには実力が高い。彼らの助力が得られるなら間違いなく勝てるが、それだと討伐者判定の心配と、ドロップの心配が出てくる。ミスティは前者の心配だけだが、エスは両方心配だ。エスの攻撃手段、未だよくわかってないしな。


 となると……。


「エス、ボスの矢、お前の風で逸らせるか?」

「そのままだと厳しいね。でも近距離なら無理でも、ある程度距離があってかつ威力が減衰されてるなら可能かな」

「ならミスティ。お前の攻撃でボスの矢の威力を削ぐことは可能か?」

「ん。ショウタの弾丸なら可能」


 そこには超高速で飛来する矢だろうと、絶対に当てられるという強い自信を感じさせた。さすがミスティだな。


「よし。ならこれから彼女達全員を後退させるが、その際妹達が経験値のため遠距離攻撃を入れる。当然当てるまで連発させるわけだが、その間奴も反撃のため遠距離技を多用してくるはずだ。2人にはその援護を頼みたい」

「引き受けた」

「ん。任せて」

「話は聞いてたな? アイラ、マキ、アヤネはそのまま後退してアキを頼む。カスミ達は俺の指示があるまで待機。そのあと攻撃開始だ!」

『はい!』


 そんじゃ俺も前に出て、カスミ達の攻撃が当たるように、なるべく奴の動きを封じないとな。そうして前に飛び出すと、エンキが叫んだ。


『ゴゴゴ!』

「なに、本当か!?」


 どうやら、奴の使う武技スキルの中に、『金剛外装Ⅲ』の効果を一撃で全て吹き飛ばす技があるらしい。エンキの外装が、被弾ゼロにも関わらず全部持って行かれたとか。該当しそうな技としては……あの『破魔の矢』か。『ユニークスキル』も凶悪だし、『武技スキル』も両方厄介とか、バリエーション豊かな奴だな。


「カスミ達に一撃入れさせたい。何かいい方法はあるか?」

『ゴ? ゴゴー』

『ポポ』


 動きが素早すぎて捕まえられないのと、『金剛外装Ⅳ』の再展開が早すぎて難しいとの事。だが、不思議な事にどうにも再展開は即座にではなく、少し間が空くようだ。

 ちなみに『金剛外装Ⅳ』だが、Ⅲの時点と何が違うかと言うと、大きな違いは無かった。体感ではあるが、恐らく消費『魔力』が減少していると思われる。多分半減くらいだろうか?

 スキルオーブで見た訳ではなく体内で重ねて得た結果だから『真鑑定』できてないんだけど、たぶん間違いではないだろう。それがあっていた場合、こちらとしては使い勝手がよくなるのでありがたかったが、敵が覚えているとなると継戦能力が単純に2倍になるという点で厄介すぎた。

 相手の『魔力』は9999。その上『魔力超回復Lv5』もある以上、ガス欠は望めない。どうにかしてあの壁を突破しなければならないが、エンキ達の言うタイムラグが気になるな。


『プルル!』

「お、イリス。何か策があるのか?」

『プル!!』


 イリスがいつになくやる気を見せている。相手は食べ物じゃなく人型なのになんでこんなに?


『~~♪』

『ポ! ポポ!』

「なるほど」


 どうやら、アキがやられて相当怒ってるらしい。


「そういうことなら俺も同じ気持ちだ。ぶちかましてやれ!」

『プル!』

『ゴ、ゴゴ! ゴゴ!』


 エンキが相手の外装の残り枚数を教えてくれる。どうやらあと1発で敵の外装は剥がれるらしい。

 そして次の張替えの隙を狙ってイリスが何かやるようで、エンキはイリスを投げ飛ばすようだ。なら、俺は特大の攻撃で外装を引っぺがしてやるか。


「マジックミサイルⅡ!!」


 俺は、『元素魔法Lv6』から使用可能となったマジックミサイルの上位互換を使用した。

 効果は単純明快で、飛来速度は従来の2倍。更には完全ホーミング機能があり、俺が操作する必要はなくなっている。威力の方は変わらなかったが、『元素魔法』の現在レベルに応じて1倍~6倍の威力圧縮が可能な点は健在だった。

 ただ、デメリットとしては消費『魔力』が跳ね上がっていて、従来が消費が30なのに対してⅡは80も消費する。そこに6倍となれば最大で80×6×6で2880だ。

 まあこれは、外装を吹き飛ばすだけなら素撃ちで十分だし、今は撃たないが。


「行け!」


 ボスの武技スキルに比肩するほどの速度で飛来するマジックミサイルを、奴はすんでのところで躱す。だが、通過したマジックミサイルは一瞬で切り返し、速度を落とさず背後からボスの外装を剥ぎ取った。


『!?』

「エンキ!」

『ゴゴ!』

『プルーン!』


 背後からの攻撃に驚くボスの顔面に向けて、エンキの剛速球が襲い掛かる。


『べしゃっ!』

『#####!!』


 そんな音が聞こえてきそうな勢いで、イリスがボスの顔面にへばりつき、奴の目、鼻、口を覆う。しかもただ覆っている訳ではない。『毒生成Ⅳ』『麻痺毒生成Ⅳ』『粘液生成Ⅲ』『無形流転Ⅱ』をフルに使って全身から粘性の毒を発したのだ。そうして顔面からだけでなく、引っぺがそうと掴みに行った手にも毒は広がっていく。

 ああなっては、3秒の無敵時間なんて関係ない。奴には状態異常の耐性が無かったし、治療用の魔法も持ち合わせていない。ここからは、外装を張りなおそうと関係ない。毒で弱まったあいつを料理するだけだ。


『###! #####!?』

『プルン』


 役目は完了したのだろう。わざと力を緩め、引っぺがされたイリスはどこか満足気だった。

 さて、ここからは反撃の時間だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る