ガチャ423回目:謎解き2
俺たちは導き出した答えを確認するため、レイヴンが巣食っていない大地の裂け目の1つへとやってきていた。せっかくだからと発見した安全ルートを辿ってきたが、道中は平和そのものだった。流石にミスティが銃を乱射したらモンスターに襲われるだろうけど、普通におしゃべりするくらいなら問題ないくらいには、その道はアリ達の知覚の範囲外だったらしい。
そして到着した問題のこの場所。以前通った時もそうだったが、洞窟と洞窟を繋ぐ道としか思えない。改めて見渡してみても、特に目立ったものは何もないのだ。分かれ道などはなく、ただ対岸へと続く岩の橋が架けられているくらいで、上へと通じる階段や隠し通路なんかは見当たらない。
「……これは、読み違ったか?」
そう心配になっているとアヤネに袖を引っ張られた。
「旦那様旦那様。下を見てくださいまし!」
「下?」
アヤネの指差す先、橋のすぐ下には壁と同化するような色合いの道が続いていた。その道の先は丁度岩壁の影に隠れるような所へと続いていて、そこから先は見えなくなっていた。
「おお。アヤネ、お手柄だ!」
「えへへ。灯台下暗しですわ!」
上ばっかり気にして、足元を疎かにするとはなんたる事だ。それに、こういう風になっていると立体マップにも壁の一部としか表示されないだろうな。とにかく、あの先を見に行かなければ。
まずは俺が率先して橋から飛び降りる。段差としては1メートルほどだろうか。そこから先を慎重に壁沿いに進んでいくと、目的の存在が俺の目に映り込んだ。
「これは……。上へと続く階段か」
岩壁をくり貫くようにして作られた登り階段を見上げて、ため息が出る。この階段は他からは死角になっていて、どの角度からでも見えないように作られているようだった。現在の渓谷の高さから考えて、ここから100メートルほど続いていそうだな。上に居るときもこんな大規模な階段の存在に気付かなかったから、恐らくあっち側も巧妙に隠されてるんじゃないかな。
「よし、全員でこの階段を登ろうか!」
「「「「はいっ!」」」」
皆で階段を登っていると、後ろの方から兄妹の会話が耳に届いた。
「ねえエス。ちょっと私、楽しくなってきたかも」
「ああ、そうだね。ダンジョン攻略を楽しむ、か。本当にこんな風にダンジョンを隅々まで回るなんて考えた事もなかったな。僕も兄さんに、もっと早く出会えていればと思うよ」
「うん、そうだね」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「お、ようやくか」
何百段と続く階段を登り切り、先日歩き回った無限の荒野に足を踏み出した。
「ん!?」
その瞬間、視界の端に妙なものが映り込んだ気がした俺は、思わず振り返る。すると目の前には、巨大な奇岩が鎮座してあった。もしかして今俺は、この岩の中から現れたのか?
それにこの奇岩、どこか見覚えがあるぞ。周囲にもストーンヘンジのように同じ奇岩が円を描いている。となると、ここは……。
「ショウタさん?」
「旦那様、どうされましたの?」
「こっちにきて振り返ればわかるよ」
俺の言葉に従って、
「これは……気付きようがないわね」
「外から見る分には普通の岩ですからね。それにこの場所、見覚えがあります。ご主人様」
「ああ。『クラッシュレイヴン』の強化体と戦ったところだ。あの時はまさかここにこんな秘密が眠っているとは夢にも思わなかったな」
そしてこの場所には、これと全く同じサイズの奇岩があと2つ存在している。その岩のある方向には、例の『レイヴンがいない大地の裂け目』がある。
試しに目についた岩に手を伸ばしてみれば、案の定岩の中へとするりと入り込み、別の道があることを示唆していた。
「くっそー、やられたー!」
「そう言う割には、嬉しそうだね兄さん」
「そりゃな、良い意味で騙されたって気分だよ。最初の予想は半分間違いで、半分当たりだったというところか」
最初は登る為の隠し通路的な物が直上へと続いているものだと思っていたが、隠し階段が中央のこの場所に集結しているとは。
第一層は大樹の上、第二層は海の底。第三層はトロフィーはなく鍵入手だったけど、ここではトロフィーが出ている。だからこの道の片方はアリの本拠地で、もう片方は宝箱に辿り着くんだろう。
問題はこの先がどっちに続いているかなんだが……。恐らくマップの余白が少ない方が宝箱で、余白の多い空白地帯がアリの本拠地っぽいんだよな。
ここの宝箱は持ち運びは出来ないタイプだろうし、行って戻ってはしたくない。俺の予想通り、こっちには宝箱が有りませんように……!
俺は祈るようにして階段を降り始めた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます