ガチャ415回目:トランスフォーム

現在X(旧Twitter)にて次の攻略先ダンジョンのアンケートを実施しています!

沢山のご参加、ありがとうございます。一週間は長すぎたかもしれませんね。

詳細は文末で。

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「勝った」

「負けました……」

「無念ですわー」


 ジャンケン大会勝者はミスティに決まった。心なしか嬉しそうにしてる気がする。

 最初に着替える権利でこんなに燃えるとは思わなかったが、皆楽しそうだしまあ良いか。


「これ、服の上から着るの?」

「いや、以前オークションの記録を見た際は、素肌に密着した状態で着るのが望ましいとされていた。だから最低でも下着姿が望まし――」


 エスが言い終わる前にミスティは突然服を脱ぎ捨て始めた。


「ミスティストップ!」

「ちょ、ミスティちゃん!?」

「はわわ」

「うん? どうしたの」

「どうしたのじゃない。突然脱ぎ出すのはやめてくれ」

「ん。でもここは安全」

「安全は安全だけど、兄さん達の前だよ」

「平気。ショウタには将来お嫁さんにしてもらうから」


 ミスティがなんてことのないように言い放つ。まだ何もないのに俺が貰う事が前提というのもおかしいが、それを抜きにしてもストリップショーを始める理由にはならんだろ。


「それでもダメだ。何かで読んだが、日本人は恥じらいのない女性には、異性としての魅力を感じないようだよ。だから突然脱ぎ出すのは、兄さんには逆効果だよ」

「え……。そうなの?」

「答えにくいこと聞くなよ」


 全ての人間がそうとは言わんが、まあ少なくとも俺は恥じらいのない女の子には心は動かんかもな。あのアイラですらちゃんと恥じらってるし。


「ご主人様?」

「はい、すいません。……とにかく、着替えるなら隣の部屋を使ってくれ」

「……わかった」


 すごすごと移動するミスティを追って、アイラ以外の3人の女性陣が追いかけた。


「兄さん、ミスティがごめん」

「苦労してるみたいだな」

「あはは……」


 そしてしばらくすると、可愛らしいヒヨコ姿のミスティが現れた。

 着ぐるみといってもゆるキャラみたいな完全に着込むタイプじゃなく、ヒヨコの首元からミスティの顔が出ていた。観光地の顔出し看板みたいだな。


「がおー」

「おー、可愛いな」

「ああ。ミスティ、似合ってるよ」

「2人ともありがと。ねえエス、これどうやって使うの」

「ああ、確か……『変身トランスフォーム』って叫ぶんだったかな」


 変身ヒーローかよ。


「『変身トランスフォーム』」


 気の抜けた感じでミスティが言うと、その瞬間ヒヨコが輝きだし、ミスティの気配が変わっていく。そして光が収まったそこには翼の生えた少女。いや、腕が翼に変わったミスティがそこにいた。

 紫の髪とアホ毛はそのままに、両腕にはびっしりと鳥の翼が広がっているし、足には鉤爪がついている。そして胸元や腰回りには羽毛のようなものがあり、大事なところは隠されているようだ。お腹や腰回り、背中は丸出しだけど。

 幸い、手首から先は人間のソレだから、その格好でも物を持ったりする分には問題なさそうだ。見た目はほぼ鳥人間かな。


「おお……」

「ヒヨコ、ではないのですわね? でも、とっても可愛いですわ!」

「この姿は、協会で以前調べた、ハーピィというモンスターに酷似していますね……」

「ふむ。ミスティ、気分はどうだい?」

「悪くない」


 そう言ってミスティは、軽く両腕を振って羽ばたく。

 その『軽く』で、部屋の中に突風が巻き起こった。


「たぶんだけど、これ、飛べると思う」

「マジで!?」

「本当かい!?」


 そういえばエスの話だと骨格も変わるって話だったな。それなら身体の構造も鳥人間って感じの種族に置き換わってる訳だし、飛べてもおかしくはないのか?


「飛んで来ても良い?」

「……駄目だ」

「だめなの……?」


 少し考えたが、ミスティの行動に待ったをかける。

 彼女がしょんぼりとしてしまうが、別に意地悪で言ってる訳じゃない。


「どんなふうに飛べるのか気にはなるが、ここは安全地帯ではあるが他人の目がある。それに初めての身体で上手く飛べる保証もないしな。だから安全のためにも、今は止めておこう。攻略が終わって、第二層の俺たちの拠点に戻ったら改めて試してみよう」

「むぅ。飛んでみたかった……」

「そうだね、兄さんの言う通りだ。ここで飛ぼうものなら、他の冒険者にモンスターと勘違いされ攻撃を受けてしまうかもしれない。ミスティならそれでも問題なく回避出来るだろうけど、もしも着ぐるみに被弾でもして、機能が損なわれてしまうかもしれないだろう? そしたら大問題だ」

「……わかった。でも、飛ぶ時は私が最初だからね?」

「ああ、分かってるよ」


 むくれるミスティの頭をポンポンすると、頭を押しつけてくる。エンリルもこんな風に甘えてくるよなと思いつつ、ミスティを甘やかすのだった。

 そうしてこの変身だが、時間制限の記載はあったがもう1度『変身トランスフォーム』と叫べば解除されるらしく、アイラを除く女性陣が順番に着替えてみせてくれた。あまりの可愛さにその都度抱きしめて撫でまわしたのはご愛敬。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 夕食後、エス達は自分達のテントへと帰って行った。

 そうしてゆっくりとした時間を過ごしていると、彼女達に呼ばれテーブルへと集まった。そこでは皆が真面目な顔をしていて、身構えてしまう。

 なんだなんだ。


「ご主人様。昨日言いましたよね」

「何の話?」

「彼らの事です。友好的かつ従順であり、なおかつ能力に問題もなく恭順の意思を見せるならば、迎え入れる事もやむなし……と」

「ああ……」


 確かに言ってたな。

 現状あの2人は誓約に縛られてるとはいえ、それを抜きにしても問題はなさそうに見える。思考を縛っているような状況だから、俺達に危害を加えるような事をほんの少しでも考えれば、その時点で激痛が襲ってくるはずだ。しかし、彼らにはそんな素振りは一切ない。

 Sランクだから、自分の思考を調節する技能を持ち合わせていたり、痛みを我慢する技術があるのかもしれないが、俺としてはアレが彼らの素なんじゃないかと信じたい。ちょっと強い力を手にしてしまったけど、なんてことない普通の年相応の兄妹だと。


「まだ完全に見極めるには色々と足りていませんが、それは私や奥様の役目です。今日見ていた限りでは、彼らにご主人様へ危害を加える気はまるで無く、本当に故郷のダンジョンを攻略して欲しいように思えました」

「はい。私も彼らから、攻撃の意思は感じ取れませんでした。昨日も、彼が言っていたように本気で害する気があれば、私達は無事では済まなかったはずです。本当に協力を仰ぎに来ただけだと思います」

「ミスティちゃんは感情を外に出すのが苦手な人に思えましたの。けど、さっき一緒にお着替えした時には、とっても楽しんでいるように見えましたわ。彼女はきっと、とっても良い子ですの!」

「あとはエスも、ショウタ君みたいに突然強くなったから、友達が少ないのかもね。兄さんなんて言って慕ってるのも、直感的に信じられると思ったからじゃないかしら」


 エスが懐いてるように感じたのは、俺だけじゃなかったか。

 まあ俺も、悪い気はしてないかな。


「俺としても、あの2人に問題は感じてないかな。ただ、やっぱり戦闘には参加させられないが」

「彼らの実力は未だ未知数ですが、エス様は男性ですしね」


 は?


「……一応聞くけど、何の話?」

「ご主人様にの気はありませんよね?」

「ないから! あと、『愛のネックレス』の条件は、別に肉欲限定じゃないだろ」


 カスミの時も、別に関係を結ばずとも効果を発揮してたしな。

 といっても、その問題をクリアしても通常版の『愛のネックレス』だと経験値の共有までで、俺の『運』との共有機能は無いんだよな。

 ……これが終わったら、『アンラッキーホール』に戻るのも有りなのかもなぁ。

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アンケート:https://twitter.com/hiyuu_niyna/status/1747089838183190740


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