ガチャ410回目:新発見

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詳細は文末で。

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 相手は空を飛ぶモンスターだ。普通に剣で戦ってたんじゃまともにダメージを与えるのは、相手が直接攻撃をしてきた時にカウンターを叩き込むなり、跳び上がって斬りつけるくらいしかないだろう。

 鳥連中はある程度知能があるからか、そこはよくわかってるみたいで遠くからひたすらに遠距離攻撃に徹して来たが、俺としてはありがたかった。俺の仕事はこいつらをキープするだけだし、避けるだけなので楽だった。


『ギャア!』

『ガアァッ!』


 数体の雑魚レイヴンと、レアの『クラッシュレイヴン』は、どれだけ攻撃しても当たらない事に苛立っているようで、俺しか視界に入らない様子だった。

 知能はあると言っても所詮は鳥頭か。もう少し冷静なら、群れの仲間が徐々に減っていっている事に気付けただろうに。何度かのレベルアップ通知の後、背後から聞き慣れた羽音が聞こえてきた。


『ポポ』

「お。終わったか?」

『ポー』


 エンリルは風を動かし小さな竜巻を生成し、ドロップアイテムをひとまとめにしていた。なので俺は敵の攻撃を避けながら腰巾着の紐を緩め、袋を広げてやると、エンリルは器用に全てのアイテムを入れてくれた。


「それじゃ、このまま降りる。行くぞ、エンリル、エス」

『ポポ!』

「あ、ああ!」


 少しエスの反応が遅かったが、気にせず俺は渓谷を飛び降りた。


『ギャアギャア!』

『ガアァッ!』


 2体ともちゃんと俺を追って来てくれたので、今度は『空間魔法』と『姿勢制御』、それから自然落下を駆使して攻撃を避けながら数百メートルを降っていく。


「『空間魔法』でそんな動きをするなんて、兄さんは器用だね」

「割と、たの、しいぞ!」

「楽しむ、か。そんなふうに考えたことは無かったな……」


 まったく、エスは今までどんな人生を生きてきたんだ。せっかくのダンジョンなんだから、せめて楽しまなきゃ損だろ。そうこうしているうちに元の高さまで降りてくると、騒ぎが聞こえていたのか彼女達は全員準備ができている様子だった。


「カメラは?」

「ばっちりですわ!」

「おっけ。しばらく回避を続けるから、確認よろしく」

「はい!」

「かしこまですわ!」


 峡谷の上に広がる平地、そして空中と来て、最後は足場が悪い中での回避行動。相手の手数が少ないのが少しつまらないが、まあ記録に残すだけならそこまでひり付く戦いである必要もないか。

 そして十分な絵が撮れたという事で、2体とも武技スキルの『閃撃』を使って撃ち落とすのだった。


【レベルアップ】

【レベルが39から118に上昇しました】


「ふむ。まあこんなもんか」


 とりあえずさっさと『充電』を済ませておこう。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:18

腕力:32886(+16422)(+16443)

器用:32894(+16426)(+16447)

頑丈:32682(+16320)(+16341)

俊敏:31982(+15970)(+15991)

魔力:33330(+16646)(+16665)

知力:33672(+16817)(+16836)

運:16712


*****


『14/50』


 『充電』を終えると、発生した煙がちょうど高度を上げていっているところだった。あんな風に何をするでもなく普通に出現していた以上、恐らくその場湧きしてくれるタイプかと思っていたのだが、倒してすぐに移動を開始するということは、もしかするとここでは狭すぎて出現できないのかもしれないな。

 あの速度だと登り切るのにかなり時間がかかるだろうから、あれは後で追いかけるとして、だ。


「この上なんだけど、裂け目から脱したら荒地が延々と続いててさ。所々にこいつらの巣があるみたいなんだ。けどまさか、初手からレアモンスターが普通に陣取ってるとは思わなかったけど」

「最初からレアモンスターがいるなんて、蜂の巣みたいですわね」

「だなー」


 そこまで伝えたところで、アキとマキが何か考え込んでいる様子だった。


「どうした?」

「いえ、その……。ショウタさんが発見して、今連れてきたモンスターなんですけど、該当するデータが無いんです」

「え?」

「つまりショウタ君は、ここにきて未発見のモンスターを発見したということね」

「……マジで?」


 そういえば俺たちは足場もないところを登って行って、通常では辿り着けない方法で渓谷を抜け切ったが、本来ならどうやってあの場所に辿り着けるんだろうか?

 アリの巣状に広がっている以上、どこかには上へと繋がる出口があってもおかしくはないはずだ。第五層への道が見つかっているということは、モンスターの分布数に偏りが生じているのかもしれない。階層を繋ぐ道程はモンスターが少なく、他のエリアは密集しているとかか。

 もしそうなら、上層に繋がる道が上手く隠されてるだけかもしれないし、最悪本当に道がないのかもしれない。まあ、その辺は探しながら見つけていこう。

 どうしても見つからなければ『アトラスの縮図』の出番だけど、今はまだ使ったら負けな気がするしな。


「じゃあここの階層って、アリしかいない想定だったんだ?」

「そういうことね。だからほら、拠点に残ってるあの人達、めっちゃ驚いてるでしょ?」


 アキに言われるままに視線を送ると、先程の戦いを見ていたのか冒険者達から好奇の視線が送られてきていた。


「なるほどなぁ。とりあえず、煙はまだ上を目指してる最中みたいだし、再び登るか。今度は全員で行こう」

「どうやっていくの?」

「そうだな……。アヤネはエンキを持って、更にそれをアイラが抱えてくれ。エンリルはイリスを運んで。アキとマキは俺が両腕で抱えていくから、セレンは俺の背中な。エスはミスティを頼むぞ」


 皆が頷くと、俺達は再び上を目指した。

 今度はアイラと足場を共有しながら登る事になったため、少しゆっくりとしたペースだったが、それでも上昇を続ける煙は軽く追い抜いて、先に渓谷を登りきる。

 その先ではレイヴンは再出現していなかったものの、鳥の巣のようなものは各所に残されており、マキとアヤネは景色と合わせてその様子もカメラに収め始めた。


「ここの高度限界はわかんないけど、大地が無限に続いてそうな錯覚を受けるわね」

「そうですね。下には確かにダンジョン壁がありましたが、その直上に当たるはずのここには壁が無く、ずっと果てまで続いているように見えます」

「んー、ボス部屋みたいにループしてるとかか?」

「実際にダンジョンが無限に広がってるわけないもんね。きっとそうじゃないかな?」


 まあそこはあとでマップを見ながら歩き回ってみよう。マップ端へと移動すると正反対の端に強制移動するんだろうか? それはそれで体験してみたいところだな。


「マキ、アヤネ。そっちは何か良いのは撮れた?」

「はい。鳥の巣なんですけど、中に卵があったんです! もしもここからモンスターが孵るとしたら新たな発見ですし、素材や食材として活用できるとしてもこの発見は大きいです!」

「確かにな。あとで『真鑑定』してみるか」

「旦那様、わたくしはエンキに大きくなってもらって、遠方も撮影してみたのですわ! そしたら、ここと同様、所々に大地の裂け目があるようなんですの! そしてその周辺にも、同じように鳥の巣らしきものが見つかりましたわ。もしかすると、そこにもレアモンスターがいるかもしれませんわ!」

「おおー、いいねー!」


 そうしていると、少し離れたところにいる兄妹の声が聞こえて来た。


「兄さん達は本当に楽しそうに冒険しているね」

「そうだね」

「ミスティも、上手くやっていけそうかい?」

「がんばる」

「そうか。僕も応援してるよ」

「うん」


 とりあえず2人には、情報共有も兼ねてマップから教えてあげようかな。

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アンケート:https://twitter.com/hiyuu_niyna/status/1747089838183190740


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