ガチャ409回目:第四層へ
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詳細は文末で。
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ようやく再出発する事が出来た俺達は、第三層の山道を雑談しながら踏破して行く。
途中、行く手を遮るように設置された『フォーリングフルーツ』の存在をエスにその詳細を伝えると、目にも止まらぬ速さで接近し、落下と同時にキャッチするという離れ業をやってのけた。
ほんとこいつのスピードは侮れないな。律儀に俺に献上しようとして来るエスだったが、痛んでいないフルーツの効果を説明すると、ミスティも興味がそそられたようだった。俺達は沢山持ってることを伝えた上で、2人で食べるよう伝えると、仲良く分け合って食べていた。
こう見ると普通に仲の良い兄妹だな。
「なあエス」
「なんだい兄さん」
「にい……まあいいや。エスもミスティも普通に日本語ペラペラなんだな」
「ああ、言語のことかい? 兄さんは……国外に出た事は無いんだったか。なら知らなくても仕方ないのかな?」
「ん?」
「僕らのようにレベルが上がって『知力』が上がると、物覚えが良くなるんだ。瞬間記憶も長期記憶もね。だから覚えようと勉強すれば、日常会話くらいなら数日あれば十分なのさ」
「へぇー」
そういえばステータスが急激に上昇したこの数ヶ月、記憶力が上がってるような気がしてたんだよな。一度見た映像は全部頭に焼き付いてる感じだし。
……まあダンジョン関連だけだけど。
「じゃあエスの言ってたダンジョンに行く時は、日常会話くらいは覚えても良いかな」
勉強は嫌だから、普通にエスとかミスティに通訳をさせようかと思ってたけど、最低限は覚えても良いかもしれない。
◇◇◇◇◇◇◇◇
第四階層へ降り立つと、そこにはいくつかのテントの他に、冒険者が団欒していた。その冒険者達は誰もが初めて見る顔だったが、向こうは俺のことを知っているようで頭を下げてきた。
こちらも軽く会釈をして、俺達も拠点を設置することにした。いつものようにアイラが拠点の家を取り出すと、エスは興味津々な様子だった。
「おお、魔法の鞄か。これを持ってるなんて流石兄さんだね」
「あ、そういえば2人のテントはどうするんだ?」
「それなら心配ない。僕達もSランクだからね、同じものを持っているよ」
そう言ってエスは手元の袋からコンテナハウスを取り出し、うちの隣に設置した。やっぱSランクなら持っていて当然なのかもな。
……公式には数えるほどしか世界に存在していないだけで。
「まあ僕は1人でも構わないがね」
「気が早すぎだろ」
早速ミスティをあてがおうとするエスを一蹴する。しかし、エスは気にしていないのか話をつづけた。
「それで、どうするんだい?」
「まずは散歩だな。第四層の環境を確認してから予定を決める」
「なら、拠点を置くのは後でも良かったんじゃないかい?」
「別に盗まれたりはしないだろうし、いいんじゃないか?」
ここなら協会員が目を光らせてるしな。
「ああ、日本は本当にダンジョンでも安全なんだね。こっちじゃ拠点を留守のまま放置したら荒らされる心配があるよ」
「相手がSランクでも関係なしなのか?」
「そうだね、相手の実力も測らずにちょっかいをかけてくる奴らが多いかな」
危ない世界だなぁ。
「特に兄さんのように女性メンバーが多いと狙われやすいかもしれない」
「ふぅん?」
うちの彼女達が狙われる場面を想像してみる。たったそれだけで、胸がザワつき始めた。
もしそんな場面に遭遇したら……。力の差を示して黙らせるのが一番だろうか?
「兄さん、ストップ。殺気が漏れてるよ」
「ん? ……ああ、すまん」
「全く、兄さんは彼女達のことになるとすぐ怒るんだから」
よく見ると周囲の冒険者達がビクついていた。
あー……。
「もう、ショウタ君は仕方ないわね」
「ショウタさんの気持ちは嬉しいですけど、時と場所は選んでくださいね?」
「ごめん……」
「旦那様、よしよしですわ」
「ご主人様が『魔眼』を使わなかっただけ、あの時よりはマシですね」
「あれは僕も怖かったなぁ」
殺気はもう完全に霧散していたが、彼女達が満足するまで全力で甘やかされるのだった。
「んじゃ、改めて出発するわけだけど……。マキ、この階層ってどこも
「はい。そうみたいですね」
第四層の入り口付近はモンスターが寄り付かない広場になっているのはいつものことだったが、そこはちょっとした洞穴の中のような構造になっていて、出口は背後の階段と、正面にぽっかりと空いた空間だけ。この広場はダンジョン特有の謎の明るさがあったが、正面の空間には日差しが差し込んでいる雰囲気の明るさがあった。
覗き込んでみるとそこは、渓谷の谷底のような場所に出るのだった。
「おー……。グレートキャニオンみたいな岩肌だな」
数メートル下に渓流が流れているようだったが、今俺が立っているところの丁度足元がダンジョン壁になってるようで、もしも足を滑らせてここに落下してしまっても、川に流され続けるといった心配はなさそうだった。そして困った事に、正面を見ても同じようにダンジョン壁があり、そこから水が流れ出ていた。
どうやらこの場所は、小さな『大地の裂け目』みたいになっているらしく、このままずっと渓谷を進み続ける事は不可能らしい。
「正規ルートはあの洞窟か」
渓流を挟み、左右に分かれた道の先に、洞窟があった。ちょっと上を見てみれば、同じような横穴があるし、斜め上の方には、横穴同士を繋げる岩の橋みたいなものが掛かっているのが見える。
この様子を見るに、この階層にはこんな風に日差しの差し込む『大地の裂け目』が何カ所もありそうだ。ここは、かなり複雑で立体的な迷路になっていそうだな。
「まるでアリの巣みたいだな」
「ショウタ君、正解ー」
「え、マジで?」
「マジマジ」
「今度はアリなのか」
……アリのモンスター。となると、普通に群れてそうだよな。
なんなら蜂と同様に1匹釣ったら複数やって来たりしそうだ。まあでも、それよりも気になるのはこの上だな。
「ちょっと上に行ってくる。エンリル、行くぞ」
『ポポ!』
「なら僕も行こう」
エンリルが先行して飛んでいき、俺は『空間魔法』で足場を形成しながらそれを追う。そんな俺を横目にエスはゆっくりと浮かび上がりながらついてきた。
数百メートルは登ったところで、ようやく頂上に辿り着くと、そこには……。
『ギャア!』
『ガアァッ!』
「お?」
カラスを一回り大きくしたような黒い鳥の集団が群れを形成し、巣を作っていた。更には、翼を広げて威嚇をする群れの中に、一際巨大な個体もいる。1羽だけ露骨に違うところからしても、この群れのボスであることは間違いない。雑魚の数は、大体20体ほどといったところか。
「『真鑑定』」
*****
名前:レイヴン
レベル:45
腕力:350
器用:500
頑丈:220
俊敏:580
魔力:500
知力:300
運:なし
【
【
【
【
装備:なし
ドロップ:魔鳥の手羽先、レイブンの風切り羽根
魔石:中
*****
*****
名前:クラッシュレイヴン
レベル:100
腕力:800
器用:1000
頑丈:600
俊敏:1200
魔力:2000
知力:800
運:なし
【
【
【
【
【
装備:なし
ドロップ:魔鳥の巨大枝肉、魔鳥の嘴、クラッシュレイブンの尾羽
魔石:特大
*****
「やっぱり雑魚とレアか」
「どうする兄さん、手伝おうか?」
「いや、この程度の群れ、相手するくらい造作もない。ただ、記録には残したいから……エンリル」
『ポ!』
「雑魚とレアを1ずつ残して他は殲滅する。雑魚を任せて良いか?」
『ポポー!』
さーて、鳥狩りの時間だ。
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アンケート:https://twitter.com/hiyuu_niyna/status/1747089838183190740
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