第十四章 Sランク来訪
ガチャ403回目:蛇の置き土産
朝食を終えた俺たちは、そのままカスミ達のテントに集まっていた。
「では宝箱……の前に、本日の予定をお伝えします」
このダンジョンに修行しにやって来て、かれこれ4回目の朝なわけだが、その日どんな修行をするかは基本的に毎朝アイラから発表される形となっていた。
マキとアヤネが集めた前日のデータを、アキとアイラが精査し、最終的にアイラが判断を下すのだとか。まあ、その手の話は俺にはよくわからんし、完全に任せることにしていた。
「今日から再び修行を再開……と予定していましたが、昨日の来客によって、予定を変更することを余儀なくされました。まずはご主人様には、ダンジョンの完全攻略を最優先にして頂きます」
「わかった」
「メンバーは我々5人とエンキ達4人のみ。チーム『疾風迅雷』の皆さんには、ここでお留守番をして貰います」
おっと、そうなったか。
まあ今回ばかりは、攻略に彼女達を連れ回すよりも、修行に集中してもらったほうがいいよな。
「ですが私達の目がないからといって、緩い修行をさせる訳ではありません。ほどほどに休息を取りつつ、昨日ご主人様から受け取ったスキルの習熟を優先して下さい」
「「「「「「はい!」」」」」」
「良い返事です」
まあ今まで、スキルが片手で数えられる程度のものしか取得していなかったからな。ここに来て大幅にスキルを取得した訳だし、これも必要な事か。
そうだな……。試しに司令塔のハルのステータスでも覗いてみるか。
*****
名前:芝山 春
年齢:19
身長:164cm
体重:53kg
スリーサイズ:83/57/85
レベル:208
腕力:1330
器用:931
頑丈:1330
俊敏:723
魔力:627
知力:629
運:8
SP:896
装備:ハイグレード合金剣、ハイグレード合金製ラウンドシールド、第七世代型・花ノ振袖
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★の数からして大幅更新と言ったところか。ハルだけじゃなく他の子達も似たような状態だろうし、頑張ってスキルを習熟して欲しい。
「では改めてご主人様。宝箱です」
そういってアイラが2つの宝箱を並べてくれた。
片方はエメラルドの緑。もう片方はアメジストの紫。まだ宝箱を開封していないのに、すでにちょっと眩しい。
「んじゃ早速……」
全員でサングラスを着用し、『エメラルドの宝箱』を開ける。そこに広がっていたのは暗闇で、俺は迷うことなく手を突っ込んだ。
そして何か硬い感触が指とぶつかったので、それを掴んでみる。……この感触、剣の柄だろうか?
思いっきり引き上げると、出て来たのは短剣だった。
名称:マインゴーシュ
品格:≪固有≫ユニーク
種別:短剣
武器レベル:44
説明:この短剣に傷つけられた者は確率で【蛇毒】の状態異常を受ける。装備者の器用にボーナス。
「短剣か。レベルも44で品格も『
「「「「「「おおー!」」」」」」
カスミ達から拍手が送られた。
まあ40越えの武器だし、結構レア度の高い武器だよな。俺のメインウェポンも、剣は33、弓も38だからな……。
「武器レベルは恐らく追加効果によるものかと。状態異常を付与出来る武器は希少ですから」
「なるほどな。アイラ、愛剣が2つあるけど、3本目の予備武器としてどうだ?」
「よろしいのですか?」
「このメンツで短剣を扱えるのお前くらいだしな。適宜使い分けてくれ」
「畏まりました」
アイラは『マインゴーシュ』を恭しく受け取ると、どこからともなく鞘を取り出し短剣を収めた。
武器によって形状が異なるのに、それに合う鞘をすっと取り出すところに、準備の良さがわかる。あぁ、俺も剥き出しの状態で渡さず魔鉄を加工して鞘を作ってあげるべきだったかもな。
「ではご主人様、後で作って頂けますか?」
「ああ、わかったよ。また今度で良いか?」
「はい。お待ちしております」
「「「「「「???」」」」」」
俺とアイラの端折り過ぎた会話にカスミ達が不思議そうな顔をしていた。マキ達は理解してくれてるみたいだけど、『魔鉄加工術』のスキルがあることを把握してなきゃ、そもそも理解が追いつかないよな。
さて、次は『アメジストの宝箱』だ。
「よいせっと」
宝箱を開け、飛び込む紫の光に目を細めつつ、暗闇に手を突っ込む。
手に触れたのは柔らかいような硬いような、よくわからないモノだった。ひとまずそれを掴んで引っ張り上げてみる。
手の中には……。
「……うん?」
そして宝箱は、役目を全うしたと言わんばかりに消失。突然の出来事に俺達はただ困惑した。
「ご主人様、今のは一体……?」
「……わからんことしかわからん」
念のためステータスを確認するが、何も増えていなかった。
どういうことだ?
「え? お兄ちゃん、何か取ったの?」
「宝箱、消えてしまいましたわ」
「ショウタさんの手にもないですし、何も入ってなかったんでしょうか」
「宝箱は事実上、中に入っていたモノが無くならない限りは消えたりしないはずよ」
「では何かが入っていて、見えない何かが消えた……。そういうことでしょうか?」
「光になって消えちゃったとかー?」
「全員サングラス着けてたし、あの輝きの中だとまぎれて見えなかったのかもね?☆」
「不思議な事もあるものですわね」
「宝箱からスキルを複数得るだけでなく、虚無を手にされるとは。兄上は特別なのですね」
「え、じゃあ、レベル200の怪物の報酬が光って消えただけって事!?」
全員が困惑する中俺は不思議な感覚を覚えていた。
俺は確かにナニカに手を触れ、それを掴んだはずだ。宝箱から引っ張り上げた時も、その感覚は残っていた。だが、視覚で
「不思議な事もあるものですが、わからない以上追及するのも時間の無駄ですね。気を取り直して、最後に『大蛇の蛇酒』を確認しましょう。ご主人様、お願いします」
「あ、ああ」
『ドンッ!』
テーブルの上に、樽みたいなサイズの壺が置かれた。
まだ開封はしていないが、中からチャプチャプと水音が聞こえるし、一体これには何百リットルの酒が入ってるんだ?
名前:大蛇の蛇酒
品格:≪固有≫ユニーク
種別:酒
説明:『レイクナーガ』の身体の一部が漬け込まれた貴重な蛇酒。美酒であるが同時に強壮剤・興奮剤・精力剤の側面も併せ持つ。飲み過ぎると危険。
「……」
『……』
全員が意味深な目で俺を見て来た。
これ、『酒耐性Lv5』で効果を誤魔化せたりしないかな……?
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