ガチャ401回目:襲来を終えて

 エルキネスの姿が完全に消え、マップでも奴を示す白点が第二層、第一層へと移動していく様子が見えたところでようやく緊張の糸が切れた。フルブーストの効果も1つ1つ確認しながらOFFにしていき、深呼吸をする。


「はぁー……。疲れたな」

「ご主人様、お疲れさまでした」


 アイラが心配そうな様子で駆けてきた。さっきのレアⅡ戦でドロップしたアイテムは散らばったままだが、アイテム回収よりこっちを優先するのも珍しいな。

 まあそれだけ、難儀な相手だったか。


「ああ、アイラもお疲れ。皆も怖くなかったか?」


 そう聞くとアキ、マキ、アヤネの3人が飛びついてきた。そんなに怖かったのかと思ったが、よく見ればそれは恐怖からくるものではないようだった。


「んん? どうしたんだ?」

「だって、嬉しかったもん!」

「えへへ、ショウタさん~」

「旦那様旦那様旦那様ー!!」


 念のため確認してみたが、カスミ達も同様に嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった様子で顔を赤らめていた。


「??」

「ご主人様は意識していなかったかもしれませんが、はっきりと私たちを『俺の物だ』と断言してくださいました。それが嬉しいのです」

「あー……」


 そういえばそんなことを口走った気がする。まあでも嘘じゃないしな。取り繕うのもなんか違う気がするし。昂る彼女達を順番に宥め、落ち着いたところで確認を入れる。


「それで、アイラ。あれが例の1人で間違いはないのか」

「はい。『スピードスター』こと、『Sランク冒険者』エルキネスで間違いありません。フルネームは初めて聞きましたが、この場での自己紹介に、誤情報を織り交ぜるという事はないでしょう」

「どういう逸話をもった奴なんだ?」

「外国の冒険者であるため入ってくる情報に信憑性が欠けますが、性格も能力も今日見た通りの人物像とそうかけ離れたものではありませんでした。その名が与えられた経緯は諸説ありますが、冒険者になってから『Sランク冒険者』に到達するまでの速度が過去最速だったことがあげられるようです」

「ふむ、素早さでは無かったか」


 そしてと来たか。

 俺は万年Fだったから、EからSへの上昇は俺の方が速いだろうけど、最初からとなれば話は別だ。あの動きもそうだし、を、冒険者になる前後に手に入れた可能性がある。


「性格は良く言えば爽やか、悪く言えば軽薄なイメージを持たれることが多いようですが、頭のキレる人物のようで、その実力も本物です。私も、アレの存在にはまるで気付けませんでしたし……」


 アイラは少し悔し気だった。

 俺も戦闘していたからこそ、周囲には気を配っていた方だったが、それでも気付けなかったしな。お相子だ。


「ひとまず、今日の所は帰ろうか。第三層の鍵も手に入れたし、ここに用はもうないしな」


 そうして俺達はゆっくりと来た道を戻り、第二層の拠点へと戻るのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 拠点へと戻って来た俺達は、カスミ達に貸しているテントに集まっていた。

 帰りは気分転換も兼ねて、山中の『フォーリングフルーツ』も集めたので、テーブルにはすでに20個近くのフルーツがあった。


「てへ、取りすぎちゃったね」

「仕方ないよー。だって、キャッチするの楽しかったもん」

「まあダンジョンの植物だから、枯渇の心配はない。どうせまた生えてくるだろ。それよりもアイラ、スキルの確認がしたい」

「では、今回戦った『レイクサーペント』及び『レイクナーガ』のドロップはこちらとなります」


 『剛力Ⅲ』1個。

 『剛力Ⅳ』1個。

 『怪力Ⅲ』1個。

 『怪力Ⅳ』1個。

 『阿修羅Ⅱ』1個。

 『阿修羅Ⅲ』1個。

 『力溜め』1個。

 『力溜めⅡ』1個。

 『身体強化Lv5』1個。

 『身体超強化Lv2』1個。

 『水耐性Lv3』1個。

 『水耐性LvMAX』1個。

 『物理耐性Ⅲ』1個。

 『物理耐性Ⅴ』1個。

 『魔法耐性』1個。

 『魔法耐性Ⅲ』1個。

 『状態異常耐性』2個。

 『酒耐性Lv5』1個。

 『水泳Lv5』1個。

 『破壊の叡智Ⅱ』1個。

 『破壊の叡智Ⅲ』1個。

 『魔導の叡智Ⅱ』1個。

 『魔導の叡智Ⅲ』1個。

 『気配断絶』1個。

 『気配断絶Ⅲ』1個。

 『気配感知』1個。

 『気配感知Ⅲ』1個。

 『反響定位』1個。

 『反響定位Ⅲ』1個。

 『チャージアタックⅢ』1個。

 『チャージアタックⅣ』1個。

 『震天動地Ⅱ』1個。

 『震天動地Ⅲ』1個。

 『水流操作Lv5』1個。

 『濁流操作Lv1』1個。

 『水魔法Lv5』1個。

 『水魔法LvMAX』1個。

 『魔力回復Lv5』2個。

 『魔力回復LvMAX』1個。


 倍化で増えたのは『状態異常耐性』と『魔力回復Lv5』か。中々良いチョイスだな。


「「「「「「おぉー」」」」」」

「そういえば『物理耐性』だけど、以前のスライム戦で得たスキル達は……」

「まるまる残ってます。出しますか?」

「頼む」

「では先ほどのと合わせて……」


 『物理耐性』31個。

 『物理耐性Ⅱ』2個。

 『物理耐性Ⅲ』16個。

 『物理耐性Ⅳ』1個。

 『物理耐性Ⅴ』3個。 


「こうなりました」

「なるほど」

「そして『エメラルドの宝箱』と『アメジストの宝箱』。最後にドロップアイテムの『大蛇の蛇酒』ですね」

「『ダンジョンボス』ですらないのに宝箱のランクが高いな。隠れていたっていう補正でもあるのかな」

「かもしれないわね~」

「けど、旦那様の見つけた特殊なスキル枠はやっぱり出ませんでしたわね」

「『スペシャルスキル』の『蛟竜毒蛇』もな。まあ戦ってた感じ、恐怖感を煽られているような感覚を受けたから、多分そういうスキルなんじゃないかな」

「距離を置いて見てるだけだったあたし達も、すっごく怖くて近寄れなかったからね。多分お兄様の言う通りなのかも☆」

「『蛟竜毒蛇こうりゅうどくだ』はもともと、強い力を持った蛇は恐ろしい。といった意味ですからね。ショウタさんや私達4人は『恐怖耐性』のスキルがあるので、緩和されていたんだと思います」

「ある意味で、『スペシャルスキル』ではなく『エクススキル』寄りのスキルだった、ということですか」


 そうして話が盛り上がる中で、アイラが何かを思い出したかのように腰巾着をゴソゴソし始めた。


「それとお忘れだと思うので、昨日の第二層の魚系統から得られたスキルがこちらになります」


 『剛力』4個。

 『怪力』8個。

 『怪力Ⅲ』1個。

 『身体強化Lv1』5個。

 『身体強化Lv3』1個。

 『槍術Lv1』6個。

 『槍術Lv2』4個。

 『槍術Lv5』1個。

 『水泳Lv1』4個。

 『水泳Lv2』4個。

 『水泳Lv4』1個。

 『水流操作Lv1』6個。

 『水魔法Lv2』4個。

 『水魔法Lv5』2個。


「あとカニと騎士の分も」


 『身体強化Lv3』18個。

 『剛力』14個。

 『剛力Ⅲ』15個。

 『怪力』14個。

 『怪力Ⅲ』15個。

 『鉄壁』14個。

 『鉄壁Ⅲ』15個。

 『城壁』14個。

 『城壁Ⅲ』15個。

 『統率』22個。

 『体術Lv2』13個。

 『槍術Lv3』13個。

 『投擲Lv2』13個。

 『泡魔法Lv1』11個。

 『水魔法Lv1』8個。


「ああ……忘れてた」

「魚人の種は、昨日帰ってすぐにセレンが45個すべてを栽培エリアに植えていた様子でしたので、ご安心ください」

「そういえば今日収穫した時にそれっぽいのがあったな……。セレン、ご苦労様」

『~~♪』

「さて、ご主人様。そろそろスキルの数がとんでもない事になってきましたので、使っていきませんか?」

「……だな」


 第一層からここまで、『魔力回復』やいくつかの『泡魔法』、雑多なスキルを配ったくらいで、ほとんどのスキルが倉庫の肥やしになっていた。『初心者ダンジョン』に潜った時の在庫も併せるととんでもないことになってきてるし、振り分けていかないとな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る