ガチャ391回目:デートの約束

「活動報告/近況ノート」にて報告させて頂きましたが

『レベルガチャ』初速売り上げが好評の為3巻の発売が確定しました!

なので本日もまた2話投稿します!(1/2)

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 アイラとゆったりとした時間を過ごし、周囲の気配を探ってみると他の皆はテントにいるのが分かった。そろそろ昼食時ということもあって、テントに集まるため家の外へと出ると、強烈な発光現象が起きていることに気付く。


「あ! そういえば今日で植えてから丸2日経過してたな」

「私も修行やご主人様の事に傾倒して、失念しておりました」


 アイラも忘れてたのか。まあでも、家の裏手という普段目に入れない場所に設置したから、記憶から抜け落ちるのも仕方ないよな。


「……おや? ですがおかしいですね。以前は通常の種は24時間、大は48時間で成熟していませんでしたか?」

「……あれ? 確かにそうだ。もしかしてダンジョンだからか?」

「可能性はありますね。とすると、収穫物にも影響が出ているかもしれません」

「早速確かめてみようか。アイラ、カスミ達の分のサングラスはあるか?」

「はい。本来は宝箱用に用意しておりましたが、無駄にならずに済みそうです」

「じゃ、説明しつつ呼んできて。それと、収穫するためにはエンキ達の力が必要だ」

「畏まりました」


 そうして回収作業に入ろうとした訳だが、飛び込んできた光景は……正直眩し過ぎて何も見えないレベルだった。


「……これはひどい」


 植えた『黄金の種』の数、全部で270個。まるでゾンビのように手を伸ばしつつ、手探りで探り当てると成長した実が目の前に現れた。手近な物はサングラスのおかげで何とか見えるが、他の距離がある発光体はやはり見えない。一体いくつの実が光っているのだろうか。

 そして恐ろしい事に、1つの種から成長した植物に生っている実は、最大の3つではなく、4つの実が出来ていた。単純計算で270×4で1080個。これがもし俺1人で回収しなきゃならないとなれば、本当に地獄だっただろう。


『ゴゴー!』

『ポポ!』

『プルルン』

『~~♪』


 だけど今は、手伝ってくれる仲間がいる。

 さーて、やってやりますか!





 手が増えたとはいえ、数が数だ。それに前も視えない。

 それでも30分ほどで作業を終えられたのは僥倖だったな。そして変化は、生った実の数だけではなく、種から出てきたアイテムにも影響を与えていた。

 前回、種から出てきた成長アイテムは+2か、+3だった。なのに、出てきたアイテムは全て+5だった。


 『腕力上昇+5』178個。

 『器用上昇+5』178個。

 『頑丈上昇+5』181個。

 『俊敏上昇+5』182個。

 『魔力上昇+5』178個。

 『知力上昇+5』183個。


「ふーっ……」

「ご主人様、お疲れさまでした」

「しかしこんな結果になるとはな。例えばダンジョンであれば成長速度は鈍化するが、成果は増えるし良いものが出やすくなる、とかかな?」

「可能性はあるかと。しかし、とんでもない数が出ましたね」

「1080個の成長アイテムですか……」

「ショウタ君、これどうするー?」

「以前はわたくしとアイラで分けましたから、今回は先輩達でいかがですの?」


 その数を前に、俺達ですらどうしたものかと悩んでいるのだ。初見のカスミ達は、フリーズしてしまっていた。


「お、お兄ちゃん。これ、全部本物だよね?」

「ん? ああ、本物だぞ」

「お兄さん、これ全部使ったらどうなるの?」

「全ステータス+900前後だな」

「ふぇぇ……」

「……お兄様。これ、凄い事よ! 『運』特化の人が使ったらステータスがちゃんとしたものになるんじゃない?」


 イズミの言葉にうちの彼女達もハッとなる。


「あー、SPの『運』特化か。確か成長補正にマイナス影響出るんだっけ」


 ガチャのない普通の冒険者の場合、『運』特化にすると他の能力が成長しなくなるから、トドメ役の仕事をしないといけないのに、トドメを刺す為の火力が足りない問題が起きるんだよな。それを回避するには『SP』を一切割り振らずに数十レベル我慢して、一気に『運』に割り振るって荒業を使わざるを得ない訳で。今のイズミとかがまさにソレの究極系だな。


「スキルやら良いアイテムやらを引き当てるにはある程度の『運』は絶対必要だ。そこまで注目してなかったけど、各協会で『運』特化にして、戻れなくなってしまった人達の救済措置にはなるか」

「間違いなくなるかと。ですが、この情報は無作為に発信するとこのダンジョンの方向性を無理やり変える事になります。慎重にする必要があるかと」

「だよな。という訳で、この情報は一旦お口にチャックな。義母さん達に丸投げしよう」


 そう告げると、皆がこくりと頷いた。

 俺達の手に負える案件じゃない。


「さて、アイテムの処理だけど……。このあと『黄金の実(大)』が待ってんだよな」


 どうせこいつも実の数や中身が変化するんだろ?

 そしてその開花タイミングは、普通の種の2倍と換算すれば明後日の朝だ。


「そういう訳だから、一旦保留にしよう」


 そうしてキャンプ裏のイベントは終了。そのまま俺達は昼食を摂ることにした。先ほどの衝撃もあるためか、カスミ達は呆然としたままだし、会話が少ない気がする。何か話題の提供を……あ、そうだ。さっきアイラとゆっくり過ごした時に思ったことがあったので、それを伝えることにした。


「なあ、いきなりでなんだけど、このダンジョンが終わったら、1人ずつデートに行かないか?」

『!!?』


 その言葉を受け、各々が嬉しそうな反応を見せる。その後、約2名ほど苦笑いをしたが。

 なんだなんだ?


「お兄様、それフラグって言うんですよ?☆」

「死亡フラグね。まあショウタ君に限ってそれはありえないけど」

「この戦いが終わったら~ってやつか? 確かフラグとして認識してたら効果ないってセオリー無かったっけ? ……まあ、いつでも油断はせずに行くよ。だからマキも、そう不安そうな顔はするな」

「……はいっ、そうですよね。私達でショウタさんを守ります!」

「ああ、頼りにしてるよ」


 隣に座るマキを抱きしめ微笑み合うと、レンカが手を挙げた。


「ねえねえお兄さん、ボクとのデートはイリーナと一緒でいい?」

「ん? 良いぞ」

「やった!」

「良かったですわ。お兄様とは繋がれましたけど、まだ1対1では心細いですから」

「だよねー」


 そういえばレンカとイリーナは、俺との関係以前に付き合ってるんだっけ。昨日行為の最中にさらっと告白されたけど、まあ恋愛は自由だしな。逆に俺なんかで良かったのかって不安も過ったが、なんでも2人とも、『ウェンカムイ』討伐直後のレベルアップで、俺が発するオーラが強くなった時に趣向が変わったらしい。

 といっても相変わらず2人はみたいだし、そういう関係は続いているみたいだが、その中に例外中の例外として俺が加わったとかなんとか。


 100未満でもオーラが出るって言うけど、レベルが362もあれば人の趣向に影響を与えてしまうと嘆くべきか、その域にならないと効果がないことに驚くべきか。悩ましいところだな。


「アキとマキは別で良いか?」

「うん、そうだね。今までなら一緒が良かったけど……」

「はい。別が良いです」

「分かった。アヤネとアイラも別で良いよな?」

「は、はいですわ!」

「スケジュール調整はお任せ下さい」


 ……うん、皆乗り気みたいだし、提案してよかった。彼女達は今まで俺の都合で色々と振り回し過ぎたしな。少しでも恩返しをしないと。

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