ガチャ382回目:倍化の効果
本日は書籍販売日なので、こちら2話目です。
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俺は彼女達から、今回のカスミ達の行動理由を聞いた。
彼女達が行動できない状態にあってなお、俺がダンジョンに潜る事を選択した場合の予備戦力……か。確かに、
彼女達がまともに活動できなくなったとして、俺が大人しく家庭に傾倒するかと言われると……。どうだろうか? 最初の頃と比べると、彼女達とダンジョンの比重が段々傾いて来てるのは間違いないが……正直言って、わからん。
だが、彼女達はずっと相談して、どうするかを考え続けてきたのだろう。聞けば、不定期に開催される『婚約者会議』でも、最重要議題として挙げられていたらしいし。実を言うと、アイラが完璧に仲間入りした辺りで、その話題はもう出ていたらしいのだ。
話し合いの末、最初にまとまった方向性は以下の2つにまで絞られたらしい。
1:薬などで妊娠する周期をずらして、産休で抜けるメンバーを調整する
2:全員一気に妊娠して、産休時期を決めその間ダンジョンは一切休んでもらう
というものだった。しかし、1はフルメンバーを欠いた状態での探索は安全面から考えて棄却となり、2は俺が我慢できないのではないかと予想され没に。
その結果、苦肉の策として2の産休時期に、代打で行動を共にしてくれるメンバーを加える事にしたらしい。毎晩求められているのも、多分そこが原点なんだろう。今は違うかもしれんが。
そしてカスミとその仲間達の来訪は、この問題に対する光明だったとか。俺の冒険についてくるということは、いずれ俺の秘密を共有する必要が出てくる。そうなると俺との関係も強固にする必要がある。となれば、自分達と同じ婚約者という立ち位置が望ましい。そこには内面の強さと誠実さだけでなく、4人全員が信頼でき、なおかつ俺が納得するメンバーでなければならない。
そんな話を、カスミが仲間達を連れて来ても良いか相談に来た直後に決めたとか。それでその後、俺の反応や彼女達の態度から判別し、最終的にボスエリアでの話し合いへと繋がったんだろう。
彼女達曰く、カスミ達は全員合格であり、全員と関係を結んでも大丈夫だとかなんとか。
まあ、思うところが無いわけじゃないが、終始俺の為として動いてくれた以上、とやかく言うのはやめにした。本当に頭が上がらない。
搾られ切った後にその説明をされたが、そんなこと言われたら頑張らざるをえない。死力を尽くして、やれるだけはやった。『性豪』さまさまである。
しかしそこで、新たな疑問が生まれた。
「……ん? 彼女達は予備戦力なんだよな?」
「はい。ですのでこれからここで修行を行います」
「産休期間の穴埋め要員で合ってるよな?」
「その通りですが、何か問題でも?」
「……昨日、割とガッツリやっちゃったけど」
「それでしたら、事前に薬を飲んでもらってますので、ご心配なく」
「あ、さいですか」
予防策もバッチリだったと。しっかりしてるなホント。
◇◇◇◇◇◇◇◇
朝食を終えたところで、俺は外に追い出された。
なんでも、新しい水着のお披露目をするんだとか。俺の場合脱いで穿くだけだから1分と掛からず飛び出してきたが、女の子の場合はそうはいかないよな。一緒に暮らすようになってそろそろ2カ月くらい経つし、おめかしやらなにやらで、服を脱いで水着を着るだけでも時間が必要であることはわかるようになってきた。
最低10分の……最大30分ほどだろうか? こういう時、俺はどう待つのが正解なんだろうか。
大人しく海を眺めつつボーっとするか? それとも南の方に見えるヤドカリをしばきまわすか? まあでも、最終的に全員分の『泡魔法』は取っておくべきだし、『甲殻騎士』は人数分倒しておくべきではあるんだよな。
でもせっかくの水着を見せる為にいざ出て来たら、俺が居らず遠くで戦闘中ってのもなぁ……。デリカシー無さすぎるし何よりも彼女達に悪い。ここは、我慢の時だな。
『ゴゴ、ゴゴ』
「ん?」
『ポポ』
『プルルン』
「ああ、確かにそうだな。昨日のスキルや戦利品、結局ろくに確認もしないまま腰巾着に入れっぱなしだったな」
『ゴ!』
エンキが力を使うと、砂浜に岩のテーブルが出来上がった。そこに昨日の戦果を並べていく。
『金剛力』10個。
『金剛壁』10個。
『金剛外装』10個。
『金剛外装Ⅲ』10個。
『魔道の叡智』10個。
『風魔法Lv4』10個。
『魔力回復Lv1』10個。
『黄金の種』150個。
『黄金の種(大)』100個。
種シリーズは、恐らく通常が15個、大が10個が最大ドロップなんだろう。何度やっても
そして今の俺には『倍化の腕輪』があった。その為、実際にはこう変化した。
『金剛力』10個。
『金剛壁』10個。
『金剛外装』12個。
『金剛外装Ⅲ』14個。
『魔道の叡智』10個。
『風魔法Lv4』11個。
『魔力回復Lv1』12個。
『黄金の種』270個。
『黄金の種(大)』130個。
「これが『倍化の腕輪』の効果か。貴重なスキルや種シリーズが極端に倍化してるのは、多分『運』が作用してるためだろうな」
結局、種は1個増えるとかではなくて、2倍ドロップがそのまま反映される形になったようだ。
『ゴゴ、ゴゴ』
「だな。こんなにあったら、家の中のプランターじゃ足りないぞ」
『ポポ~?』
『プルルン』
『ゴ!』
「あー、そうだな。頼めるか?」
元々『黄金蟲』は狩るつもりでいたから、腰巾着には相当な量の川砂が入っていた。そしてこの第二層の西エリアは、数日間貸し切りにしてあるので、ここら一帯はしばらく俺達の別荘みたいな扱いになっている。誰も入って来れない以上、ここをちょっとの間リフォームして好き勝手してしまっても、何ら問題ないわけだ。
ダンジョンは破壊すれば修復が入るが、海の家みたいに建物を設置する分には異物扱いされないみたいだしな。なので今回は、エンキ達が協力して、巨大な植木鉢を作ってくれるらしい。
そうして、彼女達が出てくるまでの間、俺達は家の裏手に回って超巨大なプランターを作り上げ、種植に精を出すのだった。
いやー、あの頃はエンキ達が居なかったから『運』の関係上俺一人で種植えと水やりを頑張っていたが、今は皆で協力して出来るから楽で良いなー。
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