ガチャ381回目:事後処理
本日は書籍販売日なので、13時にもう1話投稿します!
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「……はぁ」
やっちまった。
目が覚めた俺達はしばらくの間悶絶し、そして各々が気怠げに全身を投げ出していた。
いくら『黄金香』の効果とはいえ、やり過ぎだ。カスミはいまだにあられもない姿で悶絶をし続けてるし、ハルは夢心地のような感じでポーッとしている。
逆にハヅキは復帰が早く、乱れた着物を整え、俺のそばに腰を下ろした。これが数日前、俺との関係を想像して顔を赤らめていた女か? 切り替えが早すぎる。
「……兄上、どうかされましたか?」
「いや、気を持ち直すのが早いなと思ってな」
「それがし達は事前に聞いておりましたゆえ。それに、いざ意識してみれば兄上に対して憧れもありましたし、自覚すれば受け入れるのも早いものでした」
「そういうもんなのか……」
「それと兄上。先ほどアイラ殿から『黄金香』の事を聞いておいででしたが、実はあれが全てではございません。『黄金香』は同時使用すると互いに共鳴し合い、効果を膨れ上がらせる事も可能なのです」
「マジで? じゃあさっきは……」
「効果が4乗されたと思われます」
どうりで。
いくら彼女達が魅力的とはいえ、『黄金香』で増幅された程度で心が揺らぐのはおかしいと思っていたんだ。というか、今思い出してもあの時の俺は正気じゃ無かった気がする。なんだよ据え膳て。
まあ、手を出した以上手遅れだし責任は取るけども。
「それもアイラから?」
「はい、口止めされておりました。言えば警戒されるだろうからと」
「はぁ……まったく。とにかく、増幅された感情は無から生み出されたものじゃないのは確かなんだな?」
「捻じ曲げられたものではございません。ただ、少しばかり力強く背中を押されただけかと」
ならもう、諦めるか……。
「……てことは、あとの3人も……」
「はい。全員そのつもりで参加してますので、覚悟は出来ているかと」
「だからって、今日は流石に無理だぞ」
「そうですね、それがし達に何度も想いをぶつけていただけましたし、仕方がないかと。しかし、兄上は戦いだけでなく、そちらも並外れていました。英雄色を好むとはよく言ったものです」
それは『精力増強LvMAX』と『性豪Lv1』を持ってるからであって……。いや、まだこれを言うのはよそう。変な目で見られかねん。
それに、今夜もたぶん寝かせて貰えないだろうし、今から体力は温存しておかなければ……。
「はぁ……。モテるのは素直に嬉しいけど、いくら周囲の期待があるからって、俺としてはあの4人に不満はなかったんだが……」
「兄上、それは違います。アイラ殿も他の奥方様も、それがし達の存在を認めてくださりはしましたが、出来ることなら増やしたくはなかったかと」
「……というと?」
「それがし達は兄上を守る為の予備戦力、といったところでしょうか。……詳しくは、ご本人達から聞いて下さい。それがしの口から伝えるのは憚られますので」
「……そうか」
俺を守るために、婚約者を増やす……?
先日サクヤお義母さんから聞いてたけど、もしかしてまだハニトラを警戒されてるのかな? 近々国外の『Sランク冒険者』も来日するみたいだし。
「……まあ考えても仕方ないし、そろそろ皆のところに行こうか。ハヅキは立てるか?」
「はい、兄上」
ハヅキは何でもないように立ち上がり、2つの魔道具を回収し始めた。
「カスミは動けるか?」
「……ぅー」
「ほら、いつまでも恥ずかしがってないで起きろって」
「だってぇ……」
カスミの状態を確認すると、若干はだけてはいるものの、後始末はちゃんとしてるみたいだった。これなら無理やり動かしても問題は無いだろう。
「ハルは大丈夫か?」
「は、はいっ! も、問題ありません!」
こちらも衣服に問題はないが、勢いよく立ち上がったものの足が小鹿のように震えている。こんな状態で人前……もとい、カップルの集団の中を歩かせるのは、色々と問題あるよな?
ナニしてたか勘繰られるじゃん。……仕方ない。
「よいせっと」
「あっ……!」
「ひゃっ!」
「2人は抱えて持っていく。ハヅキは本当に問題ないのか?」
「……実はやせ我慢しておりました。兄上、甘えても構いませんか?」
「良いぞ。背中は空いてる」
「では……お願いします」
そうして妹達を両腕に抱え、背中にも背負いながら第二層へと向かう。
昼に到着し、結構な時間マップの隅で時間を潰していたものだから、今は結構いい時間というか、営業終了間近だったりする。なので、第二層から帰るカップルや一般客、更には護衛の冒険者に何度も遭遇した。
かなりの注目を集めてしまったが、着物姿の美少女を3人も抱えて移動したら、そうなるのも仕方ないよな。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「お疲れ様です、ご主人様」
見張りの協会員に通され、西側の海岸へとやってくるとメイド服姿のアイラが出迎えてくれた。
「……あれ? 水着は?」
「それは明日のお楽しみです。お疲れの時に見せても、喜びの感情は半減してしまうでしょう?」
「……まあ、そうかもな」
俺達が来たことに他のメンバーも気付いたらしい。それぞれが色々な表情を抱えている。その中でも特に顕著なのは、アキとイズミだな。揶揄う気満々といった感じだ。
早速、カスミ達に群がって質問攻めをしている。俺も気恥ずかしいから、そういうのは向こうでやってくんないかな。
「ご主人様、その様子ですと、スキルも関係性も、問題なく目的は達成されたようですね。無事に済んで良かったです」
「一体何のつもりなわけ? ハヅキに聞いてもはぐらかされたんだけど」
「それは今晩ゆっくり話し合いしましょう。まさか今日は、ゆっくり眠れるなどと思っていませんよね?」
「……お手柔らかに」
その後、夕食・訓練・風呂といつものルーティーンをこなし、嫉妬と『黄金香』の残り香にあてられた彼女達に散々絞られたのだった。
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