ガチャ371回目:ひとまずの帰還

「ふぅー……」


 剣を収め残心を解くと、疲労がドッと押し寄せてくる。

 ビーチで仮想敵相手に練習していた時も1回ごとに疲労は溜まっていたが、扱える力が増して『双連・無刃剣Ⅱ』になった事で、威力と一緒に技後の反動も増してしまったな。正直動くのも億劫どころか、全身の筋繊維が悲鳴をあげていて身動きが取れないし声を出すことも叶わない。


「ショウタさん、お疲れ様でした!」

「旦那様っ、回復しますわー!」


 いつもなら飛びついてくる彼女達も、俺の状態を理解してくれているからか、回復を優先してくれた。暖かい光が左右から広がり身体の内側をじんわりと癒してくれる。

 ……ふぅー、生き返るー。


「2人とも、ありがとう。もう大丈夫だよ」


 お返しにハグで返すと、今度こそ全力で抱きついて来る。強敵戦後に行われるいつものルーティンだ。

 アキとアイラともハグを済ませ、それからエンキ達を順番に撫でつつ消耗した『魔力』を補給していく。そうしてようやく妹達の様子を見に行った。さっきから腰が抜けたみたいに尻もちついて微動だにしてないけど、大丈夫だろうか?


「皆、ぼーっとしてるけど大丈夫か? やっぱり怖かったか?」


 そう問いかけると、カスミはぼーっとしたような目で俺を見上げてきた。


「お、お兄ちゃん……だよね?」

「え? 俺は俺だが、どうしたんだ?」

「えっと、その……」

「なんだ、歯切れ悪いな」


 しどろもどろになるカスミに変わって、イズミがプリプリしながら前に出てきた。


「お兄様、今とんっでもなく強いオーラを出してる自覚あります? それで皆びっくりしてるんですよ☆」

「あー……」


 そういや、今の俺のレベルは362に上がったんだったか。『グランドクラーケン』戦直後は381だったから、過去で2番目に高いレベルではあるな。

 レベルが高いとそれ相応のオーラを放つという話だし、さっきまで俺はレベル66相当のオーラだったのに、急激に存在感が増したもんだから、彼女達はそれをダイレクトに感じたのか。皆顔が赤いし、それはカスミやイズミも同様だった。


「あたし達はショウタ君のオーラがコロコロ変わるのは慣れてるけど、感受性の高い子達だと結構クルかもしれないわね」

「つまり?」

「ショウタさんがそれ以上近付くのは、彼女達にとって毒になるという事です」

「毒て」

「ですが慣れてもらうためにも、ご主人様はしばらくそのままでお願いします」


 まあ慣れは大事だよな。じゃあしばらく『充電』はせずにこのままでいるか。


「旦那様の格好良さに気付いてしまったら、あとは秒読みですわ!」

「ふふ、そうですね」

「何の話してんのさ。それはともかく、ようやくここの鍵を取れたわけだけど、どうしようかね」


 今から『ダンジョンコア』に移動するべきか、少し休んでから行くべきか……。


「ご主人様、まずは一度戻りませんか? ここで『ダンジョンコア』に移動した場合、再び戻ってくる場所がここだとは限りませんし」

「ああ、そうか。確かにこの空間は一時的なボス空間だもんな。一度帰って、スキルの整理をしてからでも遅くはないか」

「はい、帰りましょう」

「さあ皆さん、帰りますわよ! 立ってくださいまし!」


 アヤネの呼びかけを受けて、カスミ達はなんとか立ち上がり、俺達はまっすぐに何もない草原を歩き続けた。どうにも熱っぽい視線を背中に受けながら進み続けていると、いつの間にか景色は岩と砂利の広がる空間へと遷移し、マップを開けば山の麓にまで辿り着いていた。

 後ろを振り向けば誰一人として欠ける事無くボス空間を抜けたらしい。ほっと一息入れつつ、そのまま俺達はキャンプへと戻って行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 スキルやアイテムの確認は彼女達もどうかと誘ったんだが、今日は色々とありすぎて皆疲れてしまったとかで、カスミだけが代表して参加する事になった。


「カスミも疲れてるんなら休んでても良いんだぞ?」

「ううん、大丈夫。今回の事は私からお願いした事だもん。最後まできちんと聞いて帰るよ。それにスキルやアイテムは全部お兄ちゃん達の手柄であって、私達は部外者だからね。知らない方が良いと思って、皆は休ませようと思ったの」

「カスミは良い子だなー」


 カスミの頭を撫でて可愛がっていると、アイラが机の上にゴトゴトとスキルオーブを並べ始めた。


「では、まずこちらがハイドハンターからのドロップになります」


 『隠れ身Lv1』300個。

 『気配遮断Lv1』300個。


「きっちり数を決めて狩ったから、わかりやすい数字になったな。とりあえずまとめて『圧縮』だ」


 『隠れ身LvMAX』30個。

 『気配遮断LvMAX』30個。


「山が一瞬で消えた……!?」

「すごいですわー!」

「LvMAXがこんなに……。凄いわね」

「んで、これを『圧縮』すれば……」


 『隠形』30個。

 『気配断絶』30個。


「こうなる訳だ。やっぱり『隠形』は『隠れ身』の上位互換だったか」

「どちらもLv10でMAXですね。しかし、Lvタイプから非レベルタイプに変化ですか……。となると、以前のような下位スキルの複数取得をするとどうなるんでしょうか?」

「あー……。そういえばそうだな」

「今回まとめて『圧縮』しちゃったから確認のしようが無いわね」

「アキ先輩が懸念した通りになってしまいましたわ」

「でも成長させられるとしても、『隠形』を『隠形Ⅱ』にするのに『隠れ身Lv1』が30個以上必要になるとか、そういうレベルだよな……? 面倒そうだし、それはまた今度と言う事で」


 まああいつらを30匹狩ってくるくらい訳ないが、今はそれをする元気はない。


「では、テーブルが空いた事ですし、残りのスキルもまとめて出して行きましょうか」


 そう言ってアイラがレア、『レアⅡ』、強化体、ボスのスキルを並べ始めた。


 『鑑定偽装Lv2』1個。

 『気配偽装Lv2』1個。

 『剛力Ⅱ』2個。

 『剛力Ⅳ』1個。

 『剛力Ⅴ』1個。

 『怪力Ⅱ』2個。

 『怪力Ⅳ』1個。

 『怪力Ⅴ』1個。

 『阿修羅』2個。

 『阿修羅Ⅲ』1個。

 『阿修羅Ⅳ』1個。

 『怪力乱神Ⅱ』2個。

 『俊足Ⅴ』1個。

 『迅速Ⅴ』1個。

 『瞬迅Ⅳ』1個。

 『鉄壁Ⅴ』1個。

 『城壁Ⅴ』1個。

 『金剛体Ⅳ』1個。

 『難攻不落Ⅱ』1個。

 『身体強化Lv3』2個。

 『身体強化Lv5』2個。

 『身体超強化Lv1』2個。

 『風耐性Lv5』1個。

 『闇耐性Lv2』2個。

 『魔法耐性Ⅲ』1個。

 『体術LvMAX』1個。

 『武闘術Lv1』1個。

 『槍術Lv5』2個。

 『神槍術Lv2』1個。

 『狩人の極意Lv2』3個。

 『暗殺Lv5』2個。

 『暗殺の極意Lv2』3個。

 『姿勢制御Lv2』3個。

 『重力抵抗Lv2』2個。

 『悪鬼羅刹』1個。

 『蛮勇Ⅱ』1個。

 『性豪Lv1』1個。

 『破壊の叡智Ⅳ』1個。

 『隠形』32個。

 『隠形Ⅲ』3個。

 『気配断絶』32個。

 『気配断絶Ⅲ』3個。

 『認識阻害』2個。

 『反響定位』2個。

 『暗視Ⅲ』3個。

 『衝撃Ⅲ』1個。

 『鎧通し』2個。

 『鎧通しⅢ』2個。

 『ウェポンブレイクⅡ』1個。

 『アーマーブレイクⅡ』1個。

 『忍び足』2個。

 『壁走りLv4』2個。

 『チャージアタックⅣ』1個。

 『追跡者Ⅲ』2個。

 『追跡者Ⅴ』1個。

 『神通力Ⅱ』1個。

 『王の威圧Ⅳ』1個。

 『巨人の腕』1個。


「そして宝箱ですが、『レアⅡ』が金の宝箱を2つ。強化体がエメラルドの宝箱を1つ。『ダンジョンボス』がアメジストの宝箱を1つドロップしました」

「……多いなぁ」

「多いですね……」

「流石ショウタ君ね……」

「種類豊富ですわぁ……」

「お兄ちゃんの『運』、ほんとどうなってるのよ……」

「知りたい?」

「知りたくない……」


 にしても、『山神の怒り』は出なかったか。

 まあでも、悪口言われてステータスが伸びるとか、永続だったらやばいし、『限界突破』同様モンスター専用スキルなのかもしれないな。

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