ガチャ363回目:最後のトロフィー
帰る前に俺は、この洞窟の広間を調べる事にした。
マップではそれ以上の情報はなかったが、もしもの為だ。第三層のような隠し祭壇のようなものがあるかもしれないからな。……まあ、成果はなく空振りに終わってしまったが。
「ただのレアモンスター専用洞窟か」
この広間はドーム型になっているが、端から端まで均一でどこにもムラがなく、奥へ続く道もなければ、妙な窪みなども無いものだった。
せめてこの階層の宝箱があればと思ったんだが、マップには相変わらず緑点の反応は無いし、やっぱり第二や第四のように専用エリアでの獲得になるんだろうか?
まあ何もない事が分かった事だし、『充電』を済ませるか。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:34
腕力:32918(+16422)(+16459)
器用:32926(+16426)(+16463)
頑丈:32714(+16320)(+16357)
俊敏:32014(+15970)(+16007)
魔力:33362(+16646)(+16681)
知力:33704(+16817)(+16852)
運:14944
*****
『5/50』
よし、これでOKだな。レベル減少によるオーラの変動に、いち早く気付いたイズミがまた混乱してるみたいだが、まあ害はないし放っておこう。
「それじゃ帰るか」
「はいっ」
「ゴーですわ!」
そうして道中の雑魚も引き続き俺が殲滅し、洞窟を出たところで討伐数は30ほど。エリアの境界線辺りでちょうど100になるよう調整しつつ、山を降り切ると同時にそれは現れた。
『クルルルルゥ……』
*****
名前:リザードマンハンター
レベル:186
腕力:1350
器用:1500
頑丈:1200
俊敏:1650
魔力:900
知力:900
運:なし
【
【
【
【
装備:黒鉄の漆黒槍、アサシンカメレオンの迷彩ジャケット
ドロップ:ランダムな装備、ランダムボックス、リザードマンハンターのトロフィー
魔石:極大
*****
「おーおー、強そうなのが出たな」
「お、お兄ちゃん? この個体、さっきまでのと全然違うんだけど!?」
「あれ、強化体の話してなかったっけ」
そんな会話をして一瞬意識がそれた瞬間には、もうそいつは視界から消えていた。各種スキルが完全に上位の物に置き換わっていたし、初見だったら手強かっただろうな。
でもコイツは、元の『リザードマンハンター』を強化しただけに過ぎない。だから『予知Ⅳ』もしっかりと働いてくれていた。横合いから頭目掛けて伸びてきた槍を紙一重で回避し、カウンター気味に腹にパンチをぶち込む。
『グルッ!?』
腹を抱えて頭が下がったところに踵落としを叩き込み地面に這いつくばせると、エンキが俺に合わせて張り手を繰り出し相手を押し潰した。
さて、動きを封じた事だし呼ぶか。
「カスミー」
「……えっ?」
「カスミのレベルを皆に合わせるための処置だから、他の子達は手出ししちゃ駄目だからな~」
「あ、そっか。……っせい!」
展開についていけなかったカスミがはっとなって、一撃を強化体にぶち込む。それを見届けたエンキは、追い打ちのパイルバンカーを放ち相手を絶命させた。
【リザードマンハンターのトロフィーを獲得しました】
【レベルアップ】
【レベルが38から266に上昇しました】
「よし。カスミは172からいくつに上がった?」
「……208」
「良いねー、流石『極大魔石』持ち。それに丁度よくハヅキ達にレベルが追いついたじゃないか。良かった良かった」
「よかった……のかなぁ?」
「よかったろー。もう1度仲間全員、同じレベルで歩幅を合わせて歩めるんだ。ちょっと色々すっ飛ばしたし、イリーナとイズミは多少オーバーしちゃったけど……。それくらい強かったらお兄ちゃんも安心だからな」
「お兄ちゃん、もしかしてその為に?」
「ああ。たまに遊ぶ分には良いけど、やっぱ俺とカスミ達とじゃ目的が違うしな。修行兼遊びが終わればまた別行動になるだろうし、カスミだけじゃなくその友達全員が強けりゃ、並大抵の苦難は弾き返せるだろ」
やってみて思ったが、やっぱりこの高レベルレアモンスターを使ったブートキャンプは凶悪だな。冒険者にとって、色々と大事な物をすっ飛ばせてしまう。幸いにも、カスミ達は90前後のレベルになるまでかなりの修羅場をくぐって来たみたいだし、今回の事に甘えてズルズルいく事も無ければ、力に溺れるような子達にも見えない。
でも逆に、低レベルの人間でも、身動きの取れない相手に一撃さえ入れられれば大幅なレベルアップが見込めるが、本来そこに辿り着くまでに成長するはずの精神性までは、レベルアップしたりはしない。急激に強くなったステータスを鍛錬して自分の物にするため、絶え間ない努力が出来る人じゃないと、必ず身を滅ぼすことになりそうだ。
まあイズミは……急激にレベルを上げられてプリプリと怒ってるが、そこまで悲観はしてなさそうなんだよな。見るからに芯もありそうだし、なんだかんだ言いつつもカスミの専属になるくらいだし、波長が近いんだろう。皆と一緒なら、努力を惜しまないでくれそうではある。
さて、そろそろか。
「じゃ、うちのチーム全員集合ー!」
「はいっ!」
「はいですわっ!」
「にししっ!」
『ゴゴ』
『ポ!』
『プルル~』
『~♪』
待ってましたと言わんばかりに皆が引っ付いてくる。
アイラだけはすっと隣に立っただけだが。
「えっ、えっ。なになに??」
「ご主人様、彼女達は帰されますか?」
「そうだな。カスミ達は先にテントに帰ってていいぞ」
「何か用事なの?」
カスミがそう聞いて来た瞬間、目の前にメッセージが現れる。
【管理者の鍵 525-5の取得条件が揃いました】
【対象者を専用エリアに移動させます】
「おう。ちょっとボス戦行ってくるわ」
「ボ、ボス戦?」
【3】
「お兄様、あれだけ手強いレアモンスターとバトったのに、まだなにかするの?」
「ボク、見てるだけだったのにヘトヘトだよー……」
「全員こっちに集合! カスミも来なさい」
俺達から少し離れたところにハルが移動し、号令を出す。俺がさっき集合をかけた事で、何かを察してくれたようだ。
ハルは未知の現象に巻き込まれまくっても周りをよく見れてるな、俺も見習わないと。
【2】
「アヤネ様、お兄様。よくわかりませんが勝利を祈っていますわ」
「イリーナ、ありがとうございますわ! 精一杯頑張ってきますわ!」
【1】
「お兄ちゃん、何だかよくわからないけど、無事に帰って来てね。絶対だよ!」
「おー。任せろ」
サムズアップをし、彼女達の声援を受け取りながら俺達の視界はブラックアウトした。
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