ガチャ354回目:呼び鈴
甘ったるい匂いを充満させた部屋で行われる長く険しい戦いを乗り越えた翌朝。俺達はハチ調査の最後を締めくくる事にした。なんでも、彼女達曰くお昼ごろにちょっとした予定があると言うので、どうせならとハチは午前中に終わらせようと判断したのだった。
結局、昨日できなかった事として先遣隊を釣り出した際に、道中に蜂蜜の香りがしない人間がいた場合、そちらにターゲットが向かうのかという実験。そして巣を叩き防衛隊が出現した状態で、巣を破壊する事で防衛隊は消失するのかの実験だ。
前者は、昨日ハチミツの香りが充満している時に試したら道中の人間は襲われなかったが、完全に香りを落とした今日は襲われることが確定した。また、後者の消失実験だがこちらも成功。
巣の破壊と同時に防衛隊が出現した場合は消えないが、防衛隊出現後であれば巣の破壊で道連れに出来る事が分かったのだった。
これは通常の巣、強化体の巣問わず発生するようなので、数が多すぎて対処しきれない場合の対処策としてはまあありなんじゃないかな。ただ、一般の冒険者が巣に手を出すなら、ハチミツを全身に塗りたくるのは必須事項だが。
結局昨日と合わせて、討伐したマルーンビーは無数であり、『キラービー』36体。『レッドキラービー』10体となった。
カスミはレベルが167まで上がり、俺は最後の強化体戦で出てくる『レッドキラービー』の1ウェーブ目と2ウェーブ目でしか『充電』レベルに到達できず、『充電』の結果は『2/50』。レベルも75止まりだ。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:75
腕力:33000(+16422)(+16500)
器用:33008(+16426)(+16504)
頑丈:32796(+16320)(+16398)
俊敏:32096(+15970)(+16048)
魔力:33444(+16646)(+16722)
知力:33786(+16817)(+16893)
運:14426
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まあ、ガチャがないからスキルもステータスも伸びないが、『運』が上がるのは良いよな。あと『充電』は48回分。レベル換算で4800レベル分。『運』換算で+9600だ。
そんなぶっ飛んだ『運』になれば、レアモンスターの出現条件とかドロップとかには、もう十分な気がする。かなり先は長いが、難易度の高めなダンジョンならその分レアモンスターのレベルも高くなるだろうし、そう遠い話じゃないはずだ。
そうして拠点に戻ると、アイラはおもむろに拠点横に設置していた俺のテントを回収し、チームで使っていた巨大テントを設置し始めた。
「なにしてんの?」
「準備です」
「だからなんの」
「秘密です」
「えー……」
なんだよ、気になるな。
周りを見たら皆、訳知ったる顔だし、俺に内緒で何を進めてるんだろうか。まあその時になったらわかるか。
そうして拠点に戻るとマキとアイラが昼食の準備を始める。しかし、どう考えても量がいつもの2倍くらいあるし、カスミも落ち着きがなくソワソワしている。
これも先ほどのテントの件と関係があるのかもしれないが、ひとまずそれを気にせず『圧縮』に集中することにした。『スキル圧縮』がⅢになったことで、進化させられるスキルが増えた他に、同種のスキルを一括で進化させることが出来るようになっていた。
その個数には制限はなくなり、昨日と今日で集まっていた『毒抗体』36個を一度に圧縮し、『毒抗体Ⅱ』が9個になった。一発でこの変化は本当にありがたい。正直涙が出そうである。
「一気に変化するのは壮観ですわー」
「楽できるようになったのは良いことだけど、今後は予定にないものまで一括変換しちゃわないようにだけ注意する必要があるわね」
「だなー」
とりあえず、イリスに『毒生成Ⅲ』3個と『麻痺毒生成Ⅲ』3個と『毒抗体Ⅲ』3個で全部Ⅳにしてしまって、俺にも『毒抗体Ⅲ』を3つ取ってⅣに。あとは1レベル不足していた『狩人の極意』を1つ取ってMAXにしておこう。これで残るは、2日前に在庫として抱えていた分と合わせて……。
『毒生成』78個。
『毒生成Ⅲ』11個。
『麻痺毒生成Ⅱ』8個。
『毒抗体』10個。
『毒抗体Ⅱ』9個。
『毒抗体Ⅲ』4個。
『飛剣術Lv3』12個。
『狩人の極意Lv1』9個。
『暗殺の極意Lv1』10個。
うん、十分だな。
けど、後者の3つは在庫で抱えるよりも使える人材に配っておきたいな。
「アイラ、極意2種と『飛剣術』を覚えておくか」
「おや、極意はイリスにあげるものだと思っていたのですが」
「『狩人の極意』は元はと言えば『投擲』からの派生だし、『暗殺の極意』も『体術』と『暗殺術』でしょ? 『暗殺術』単体ならありだけど、『投擲』も『体術』もイリスのイメージからは離れるんだよね」
『プルル』
「イリスも後回しでいいって」
「ではありがたく頂戴します。『飛剣術』は2余りしますが、4つ取ってしまって構いませんか?」
「いいよ。どうせ余ってるし」
そしてアイラは『狩人の極意』『暗殺の極意』の2つはどちらもLv1だったので、どちらも問題なくLvMAXになったのだった。
『ピンポーン』
そうしてスキル配分が終わると同時に、玄関から呼び鈴が鳴った。
お客さんかな?
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