ガチャ343回目:共闘
「あれがそうか」
*****
名前:ビッグキラーハイブ
レベル:――
腕力:0
器用:0
頑丈:4500
俊敏:0
魔力:0
知力:0
運:なし
【
【
【
装備:なし
ドロップ:キラーハイブの巣壁Ⅱ、キラーハイブの蜂の子、キラーハイブの甘露煮、キラーハイブの特濃蜜、キラーハイブのトロフィー
魔石:なし
*****
まさか強化体がそっちでくるとはな。
まあでも、巣はマップには表示こそされないものの、元々この森に3つ出現していて、こいつはそれらを全て撃破する事で出現した。一応今までの強化体出現と似たような条件であることは間違いないか。
『キラーハイブ』は回数を重ねるほど、出現する防衛隊の数は膨れ上がっていった。こいつを先遣隊こそいないものの、攻撃する事で出てくる相手も、生半可な集団ではないのは間違いない。それに、一度攻撃したらそれで打ち切りとなる保証もどこにもない。『眷属招集』もⅢあるしな。
まずは軽く一発入れて、そこから防衛隊の反応を鑑みつつ慎重に削っていくとしよう。削りすぎて一気に複数回分呼ばれたら超絶面倒だし。
「全員、準備はいいか? ……よし、行くぞ!」
『ガギイィン!』
まずは袈裟斬りを一発入れる。
フルブーストなしの全力斬りだったが、俺の扱えるステータスよりも相手の『頑丈』の方が高いのか、たいした損傷は与えられなかった。
「……かってぇな!?」
蜂の巣というより金属の塊に斬りかかったかのような感触に、思わず顔を顰めてしまう。だが、それでも攻撃の扱いとしては認められたらしい。周囲にモンスターが現れ始めるのを感じた。
そしてその中に、一際攻撃色の強い、赤色の蜂が混じっているのが見えた。
「『真鑑定』」
*****
名前:レッドキラービー
レベル:140
腕力:1440
器用:1440
頑丈:1440
俊敏:1440
魔力:144
知力:144
運:なし
【
【
【
武技スキル:デストラクトスピア、クラッシュスピア
装備:なし
ドロップ:殺人蜂の赤毒針
魔石:特大
*****
「あれがここの『レアⅡ』相当か」
しかもそれが2体もいて、普通の『キラービー』も4体いる。幸い、マルーンビーの数はたいした事ないな。だが、『レアⅡ』を放置するのは危険だ。早めに何とかしないとな。
「では行きますわ。クラッシュテンペストですわ!」
先手必勝、アヤネの魔法が炸裂する。
いつものように巨大な竜巻が大量の雑魚と共に、2体の『キラービー』と1体の『レッドキラービー』を巻き込む。だが、『レッドキラービー』は切り刻まれる前に魔法の効果範囲から脱出し、アヤネに向かって突っ込んできた。
『ヴヴ、ヴヴヴ!!』
「させるか!」
『ガキン! ガガガガン!』
アヤネとの間に割り込むと、奴はガトリングのように針を飛ばして来る。俺はそれらを全て切り落とすと、再び『レッドキラービー』が攻撃をしようとするが、技後の隙を突くようにアイラが背面から短剣を突き刺し、絶命させた。
【レベルアップ】
【レベルが94から156に上昇しました】
「ナイス、アイラ!」
「流石ですわー!」
そういうアヤネも、『レアⅡ』に襲われたというのに魔法の制御は一瞬たりとも手放さなかったようで、展開した風魔法を最後まで発動しきり、『キラービー』2体を完全に撃破して見せた。
「お嬢様も、肝が据わりましたね」
「当然ですわ。絶対に旦那様が護って下さると信じてますもの!」
「ああ、任せろ!」
「ようし、あたし達も負けてられないわね。マキ、カスミ、行くわよ!」
「うん、姉さん!」
「は、はい! 頑張りますっ!」
俺達の戦いに感化されたのか、どうやら彼女達3人でもう1匹の『レッドキラービー』に挑むようだった。まあ『レアⅡ』といってもレベル140だし、アキとマキの2人がいるなら大丈夫だろう。
なら俺は、周りから邪魔が入らないように、他の『キラービー』から片付けようかな。
そうして蜂の殲滅は順調に進み、最後に『レッドキラービー』と長期戦を繰り広げていた3人は、アキとマキの武技スキルによって決着がついたようだった。
【レベルアップ】
【レベルが156から158に上昇しました】
連戦中だからガチャを回せないな。なんて考えていたら、カスミが飛び上がるように驚いた。
「わぁっ!?」
「ん? どうした?」
「……すっごく、レベルが上がっちゃった」
「ああー」
そういえばさっきまで、カスミには雑魚の相手しかさせてなかったもんな。だから、昨日からずっとレベルは96のままだったはず。そんなカスミが、いきなりレベル140の『レアⅡ』と戦ったりしたら……。
うん、爆上がりするよな。
「ひゃ、155になっちゃった」
「おめでとう?」
「あ、ありがとう……?」
大幅なレベルアップにカスミも半ば放心しているようだった。
「てか、経験値は欲しくないんじゃなかったっけ」
「そ、そうだったんだけど……。お兄ちゃんが戦ってるのに、私は何もしていないのは辛かったし、義姉さんが苦戦してたから私がなんとかしなきゃってつい前に出ちゃったの」
「カスミちゃんは良い子ねー!」
「カスミちゃん、守ろうとしてくれて嬉しかったよ。ありがとう」
「あ、えへへ……」
カスミもアタッカーだもんな。守られてばかりじゃ辛かったか。それに……。
「なんだよ、つまり俺と一緒に遊びたかったのか? それならそう言えばいいのに」
「あそ……。え、遊び!? 危険が伴う冒険者業が、お兄ちゃんにとっては遊びなの?」
「ん、何か変か? ダンジョンに潜るのも、謎を解明していくのも、ほとんど趣味みたいなもんだしな。戦闘も遊びの延長線というかだし」
カスミが周りに目を向けると、皆笑って頷いていた。
「ショウタ君だし?」
「ふふ。ショウタさんはこういう人ですよ」
「旦那様にとってダンジョンは生活の一部ですわ!」
「ご主人様からダンジョンを取ったら、何も残りません」
「残るわ! ……たぶん」
アイラの発言にはついツッコミを入れたが、正直何も間違ってはいない気がするんだよな。
……あれ、マジで何も残んなくない? なんだか悲しくなって来たぞ……?
「……遊び、か」
1人で落ち込みそうになっていると、カスミがぽつりとつぶやいた。
「そっか。私、寂しかったんだ……。昔みたいに、私も……」
「カスミ?」
「……お兄ちゃん。私も義姉さん達と一緒にお兄ちゃんと遊びたい! だから、私も冒険に連れてって!」
カスミは必死に、すがるような目で俺を見てきた。
その姿はまるで、10年前、俺の後ろをついてきていたカスミにそっくりだった。
俺はそんな彼女の手を掴み、引っ張り上げる。
「ああ、いいぞ。置いて行かれないよう、しっかりついてこいよ!」
「うん!!」
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