無料ガチャ029回目:チャット会話2
「ふわぁ、今日も色々あったなぁ……」
カスミは布団に潜り込み深呼吸をする。少し自分の匂いと混じって薄れてしまったが、その布団からはまだ兄の香りがしていた。昨日はまさか、布団にくるまって悶絶していたところを義姉達に見つかり、更には叱られるでも笑われるでもなく、慰められるとは思ってもみなかった。
「あれは恥ずかしかったなぁ……」
それに、まさか自分が……。
「ああ~~……」
そんなふうに悶絶していると、不意に端末が振動し、カスミはあることを思い出した。
「って、また忘れてた! チャットだよチャット! 昨日は色々とありすぎて完全に忘れてたけど、チームの皆も心配してるはず!」
カスミはチームチャットのアプリを開くと、そこには自分が最後に送ったメッセージの下に、仲間の心配する声で埋められているのを見つけた。途端に彼女は申し訳ない気持ちでいっぱいになり、マイクをONにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇
[カスミ]
テレビに出ていたSランク冒険者がお兄ちゃんかもしれないの!!
だからちょっと第一エリアに行ってくるね! チーム活動のお休みをもうちょっと延長します!!
・
・
・
[カスミ]
皆、連絡遅れてごめん!!
[ハヅキ]
おお、カスミ殿
ご無事で何より
[レンカ]
カスミー! ようやく繋がったー!
ボク、すっごく心配してたんだからねー!
[ハル]
リーダー、良かった無事で
怪我はしてない?
[イリーナ]
カスミ様、今どちらにいらして?
お声が聞きたいですわ
[カスミ]
皆心配してくれてありがと!
私は無事だよ。今はお兄ちゃんの冒険について行ってるんだ。だけど『初心者ダンジョン』の最下層だから電話は使えないの。ごめんね。
[イリーナ]
そうなのですね。お声が聞けないのは残念ですが、今はご無事であることに神に感謝を
[イズミ]
お、カスミちゃんおいすー☆
ようやく落ち着いたのかな? 専属であるあたしには、525支部から連絡きてたから詳細はわかってたんだけど、やっぱ反応あると安心するね☆
[レンカ]
あー! イズミちゃんやっぱり知ってたんじゃん!
なんで教えてくれなかったんだよー!
[イズミ]
うっさい!
たった1日連絡取れなかったくらいで、あんたとイリーナは右往左往しすぎなのよ!
少しはハヅキやハルを見習いなさいな
[ハヅキ]
イズミ殿、そう持ち上げられるな。それがしもまだまだ修行の身
カスミ殿がいないというのは実に不安で、内心ずっとオロオロしておりましたゆえ
[イズミ]
あんたは良いのよ。それを表に出さないだけ十分!
でも他2人はダメダメ。常日頃から言ってるけど、Bランクになったんだから、もっと堂々としてなさい!
[レンカ]
ぶー
[イリーナ]
……確かに、たった一日で酷く動転してしまいましたわ
イズミ様、ご心配をおかけして申し訳ありませんでしたわ
[カスミ]
イズミちゃん、その辺で許してあげて
私も急にいなくなっちゃったから、皆も心の準備が出来て無かったと思うし
[イズミ]
んもー、カスミちゃんってばやっさしー☆
[ハル]
それでリーダー。噂のお兄様は『Sランク冒険者』で間違いなかったの?
[カスミ]
うん、そうだよ!
[ハル]
それはおめでとう。身内が『Sランク冒険者』なんて鼻が高いわね
でも、大好きなお兄様に久々に会えたのが嬉しくて、何の連絡もなしに冒険について行っちゃうのはいただけないわね。そこはまず私達に一報を入れておくべきよ。チームリーダーなんだから、浮かれてもその責務を忘れないで
[カスミ]
ごめんなさい……
[ハル]
よろしい
じゃ、『Sランク冒険者』と並んで戦うなんてそう経験できるものじゃないでしょうけど、それ以上に機密事項も多そうね。話せる範囲で良いから、なにがあったのか聞かせてくれる?
[カスミ]
うん、わかったわ! 一応その辺りは義姉さん達からも許可を貰ってるんだ
えーっと、まずはねー
・
・
・
[イズミ]
さすがカスミちゃんのお兄さんね。その辺の情報はまだ入って来てないけど……
やることなすこと桁違いね
[ハヅキ]
常識では測れない行動力
これが『Sランク冒険者』ですか。それがしも精進せねば
[ハル]
カスミは昔からそのお兄様の話をする時は無条件で褒め称えるから、目が曇ってるのかと思ってたけど、私が間違ってたみたいね
[レンカ]
えーっと、よくわかんなかったけど、お兄さんはレアモンスターいっぱい見つけて、すごいってこと?
[イリーナ]
すごいなんて言葉じゃ言い表せませんわ。明確にスタンピードを止められるだけでなく、それを2日連続で発生させるなんて……!
カスミ様だけでなく、お兄様も神に愛されているのでしょうか
[カスミ]
お兄ちゃんの場合は、尋常じゃない努力の末のものだと思うけどね……。あ、それで話は戻るんだけど、イリーナが言ってたスタンピード抑制に付随する効果の方なんだけど
これ、第二協会でも話題になってたけど、やっぱりスキルオーブのドロップ率にも影響があるみたいなの
[ハヅキ]
おお!
それでは我々の底力を上げるにはまたとない好機ではありませんか?
[ハル]
確か全層のゴブリンと第三層が対象なんだったかしら
[カスミ]
しかも、お兄ちゃん曰くゴブリンに至ってはドロップに要求される『運』の最大値も半減されてるみたいなの!
私もしばらくお兄ちゃんのそばにいたいし、義姉さん達からも許可は貰ってるから、チームのためにも、皆も遊びに来て良いと思うよ
[レンカ]
『運』? の話はよくわかんないけど、僕もカスミのお兄さんに会ってみたいかも!
[ハヅキ]
現役『Sランク冒険者』にお目に掛れるのですか……!
その出会いはきっと、それがし達の成長につながるはずですね
[イズミ]
お兄さんかー
なら、男なんて興味ありませんってすまし顔してたカスミちゃんのメス顔が、ついに拝めるのねー☆
[カスミ]
そんな顔はしないよ!?
[ハル]
どうだか。私もそこや『運』の話は気になるけど、せっかくのリーダーからのお膳立てだしね。皆で行きましょうか。
[イリーナ]
賛成ですわ
これもきっと、神の思し召しです
[カスミ]
もう! そんなんじゃないってば!
……ひゃあ!? ア、アイラ義姉さん!? え、お話ですか?
わかりました……あ、皆ごめん! 今日はこれくらいでお開きにするね。明日もまた連絡入れるから!
じゃあね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます