ガチャ325回目:かつての強敵
4つの煙が同時に膨張した。そしてその煙は互いを食い合うように貪り合い、2つの巨大な煙へと進化する。
「これは、『ガダガ』が2体出てくるのか?」
そう警戒したのも束の間、脈動する煙の内の1つが急に動きを止め、萎んで消えてしまった。そして今までのドロップアイテムがその周辺にばら撒かれる。代わりに残った一つは脈動を続けて肥大化して行き、世界が割れる様な音と共に奴が姿を現した。
「……どうやら、『ユニークボス』は同時には存在出来ないらしいな」
そして『ガダガ』がこちらを見つけるよりも早く、俺は奴の眼前へと移動した。
「よぉ、久しぶりだな。俺のことは覚えているか?」
『我ヲ起コシタノハ……貴様ダナ』
前回と一字一句同じ言葉。俺の言葉に対する返事とも取れなくは無いが、こちらを見ている様でこちらを見ていないような違和感を覚えつつ、肯定する。
「そうだ。お前は俺が起こした」
『我、『ゴブリンヒーロー・ガダガ』は、貴様ニ『決闘』ヲ申シ込ム!』
急激に押し寄せる脱力感とともに、俺の能力に制限が掛けられたのを肌で感じる。2度目とはいえ、やはり『決闘』にかかる負荷は慣れないものだな。今回は俺から事前に近付いていた事もあって、『決闘』能力発動直後でも場所の移動なんかは起きずに、そのまま周囲がドーム状に包囲された。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:106
腕力:10585(+13122)(-2646)
器用:10668(+13226)(-2667)
頑丈:10552(+13080)(-2637)
俊敏:10352(+12830)(-2587)
魔力:10507(+13026)(-2626)
知力:10804(+13397)(-2700)
運:12348
【
【
【
【
【
【
【
武技スキル:無刃剣[双連・無刃剣]、紅蓮剣[飛剣・鳳凰]、紫電の矢[雷鳴の矢]
称号:ゴブリンキラー、神殺し
トロフィー:なし
管理者の鍵:525(1)、525(2)、525(3)、525(4)、810(1)、810(2(1/2))、777、1086
*****
ふむ。弱くなってもこんなもんか。
前回よりもステータスは上だし、練度も高い。負ける要素は万に一つもないな。
この『決闘』スキル、扱いが難しくて未だにどんなことが出来るのか検証できていないんだよな。モンスター相手には実験で何度か使った事はあるけど、その場合は倒してしまえば結界は解除されるが、それ以外に結界を解く方法はついぞ見つからなかった。
もし仮に倒すしかないとなれば人間相手には使えないし、もしも使える相手から『決闘』を受けてしまえば、殺すしか解決する手段がないという事になる。モンスター相手だと、意思の疎通が出来ないため、実験しようにも問答無用でこちらを攻撃してくるから、抜け出すための協力を仰ぐこともできない。だから調べられる内容も偏った物になるんだよな。
なので、2個目の『決闘』スキルは喉から手が出るほどに欲しかった。俺だと詳細は見れないが、サクヤお義母さんなら見れるかもしれないからな。
「なあ、お前に意識はあるのか?」
『グゲゲ。オ前、強イ。強化ヲ抜キ、弱クシテモ尚、我ヨリ、強イ』
「……」
そしてもう1つ確信したことがあった。こいつは、あの時の『ガダガ』ではないし、以前のような生気も自我も感じない。まるで前回の『ガダガ』をコピーして出来上がった、お粗末な模造品のようだ。
奴は俺の手で殺した以上、同じ記憶を受け継いで誕生する可能性は低いだろうと予想していたが、このような結末になるとは。
喋るほどに知能があり、なおかつ『ユニークボス』という特異な存在であるならば、ダンジョンの秘密を暴けるチャンスだとも思っていたのにな。
『覚悟ハ、決マッタカ』
「……ちっ。ああ。残念ながらな」
最初に出逢った時に感じた生き生きとした奴はどこにもいない。以前戦った時の録音データを再生しているかのような虚しさを感じる。
だからこそ俺は、『ガダガ』を弔う意味も込めて全力で戦い、首を落としたのだった。
【レベルアップ】
【レベルが106から154に上昇しました】
【ゴブリン種の象徴が撃破されました】
【以後一ヶ月間、該当ダンジョンでスタンピードが発生しなくなります】
【以後一ヶ月間、該当ダンジョンで対象モンスターのステータスが低下します】
【以後一ヶ月間、該当ダンジョンで対象モンスターのドロップ率が上昇します】
そして無事、フィーバータイムを再開する事が出来た。
特異ゴーレムよりも経験値が多いのは『ユニークボス』としての補正かな。もしも次に喋ることの出来る『ユニークボス』と出くわしたら、問答無用で倒したりせず、まずは情報を引き出す必要がありそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます