ガチャ321回目:一旦の持ち帰り

 予定にない突発的なレアモンスター戦ではあったけど、有意義な時間を過ごせたと思う。まあ、予定では午前中に第四層まで潜ってのんびりしてから『ガダガ』を狩りに行くつもりではあったが、もう既に正午近い時間になってしまったので、一旦報告も兼ねて協会へと戻って来ていた。

 まあ第四層で待たせてる彼らには悪いが、あのままウォーターゴーレムが出現する地帯を報告せずにほったらかしにするわけにもいかないからな。報告と昼食が終わったら、例の秘宝を使って第三層出口付近の、人がいない場所にワープすればいいだろう。カスミは口も義理も堅いから信頼できるし、秘宝くらいなら教えても問題はないだろう。


「何かあったのかと心配したけど、本当に君は行く先々で事件を起こして帰って来るわね……」

「いやー」


 そう褒められると照れるな。


「その探求心と、真実を見つけられる嗅覚は素晴らしいものだと思うわ。でも、少しは自重してくれないとこっちの身も持たないわよ……」

「ハイ、ゴメンナサイ」

「ふふっ、まあ良いわ。動画データとステータス詳細は確かに受け取りました。モンスターの情報公開や編集なんかの諸々はこっちに任せてちょうだい。新種のレアモンスターについては、定例会議で……と思ったけど、条件さえ整えば他のダンジョンでも出現しそうではあるのよね。だから早速今晩、緊急会議で通達させてもらうわ。君がまたやらかしたと言っておけば、皆興味津々で集まってくれるでしょう」

「んふふ。ショウタ君は人気者ね」

「ショウタさんですから」

「第一エリアの支部長達を振り回すなんて……お兄ちゃんすごい」


 報告を終えた俺達はそのまま会議室で食事を摂り、スキルの精算を行う事にした。ミキ義母さんとカスミが見守る中、アイラはテーブルにスキルを並べていく。


「今回、一部はエンキが既に取得しましたがスキルとしてはこの様な状態です」


 『剛力Ⅲ』1個。

 『剛力Ⅳ』3個。

 『怪力Ⅲ』1個。

 『怪力Ⅳ』3個。

 『阿修羅』1個。

 『阿修羅Ⅱ』3個。

 『鉄壁』1個。

 『鉄壁Ⅳ』1個。

 『鉄壁Ⅴ』3個。

 『城壁』1個。

 『城壁Ⅳ』1個。

 『城壁Ⅴ』3個。

 『金剛体』1個。

 『砂塵操作Lv1』1個。

 『水流操作Lv2』3個。

 『水流操作Lv5』3個。

 『風塵操作Lv2』2個。

 『風塵操作Lv5』2個。

 『破壊の叡智』1個。

 『泥人形Ⅱ』1個。

 『泥人形Ⅳ』1個。

 『風の鎧』1個。

 『風の鎧Ⅱ』2個。

 『魔力回復Lv2』3個。

 『魔力回復Lv5』3個。

 『無形流転』3個。

 『無形流転Ⅱ』3個。


「す、すごい数……!」

「カスミ、余ったスキルはいるか?」

「えぇ!? だから要らないってば! それに、義姉さん達やアヤネちゃんも使うんでしょ? 私が貰う訳にはいかないわ」


 軽い冒険と食事を経た事で、カスミと彼女達はかなり打ち解けたらしく、皆の事を義姉と呼ぶようになっていた。ただ、アヤネだけは義姉というよりは可愛い妹感がぬぐえないのか、ちゃん呼びではあるが。

 まあアヤネだしな。


「いやあ、それでも余ってるスキルがごまんとあるんだが。皆も良いよな?」

「スキルを与える分には全く問題ないですが、最終的にカスミちゃんに選んでもらう形にしましょう。レベル上昇しなくても、スキルを複数持つだけでも戦闘手段の幅が広がりますから」

「まあ、あって困る事はないしね。けど、毛色の違う物を貰っても困るだけだから、慎重に行きましょ」

「旦那様はどうしてもカスミ義姉様を甘やかしたいのですわね」

「まあ、大事な妹だしな」

「お兄ちゃん……」

「カスミ様。チームメンバーは、カスミ様を含めて全部で5人というお話でしたね。では無駄に余らせている『統率Ⅲ』を5個持ち帰って頂きましょう」

「ええ!?」


 いきなり『統率』かよ。

 オークション価格が未だ天井知らずのスキルだけど、まあ実際使う当てがなさ過ぎて肥やしになってるもんな。一応、意識する事でチーム内でも対象のステータスを増強させるかどうか選択する事が出来るから、高いステータスに慣れるまでは各自で切り替えていくのもありだろう。

 話に聞く限りでは、カスミのチームメンバーは誠実で真面目な女の子ばかりみたいだし。てか、男のメンバーがいたら心配で仕方がなかったから、正直ほっとした。


「拒否権は……ないんですか?」

「ありません。ご主人様が安心出来る最低ラインがこちらです。ですよね、ご主人様」

「んー……。まあ、確かにそうかも?」

「レベルを上げる事を拒否される以上、スキルを受け取ることは決定事項ですのであしからず」

「うう、アイラ義姉さんはお兄ちゃんの味方なのね……」

「その通りです。ですので、ご主人様のご親族であろうと、私の義妹であろうと遠慮はしません」


 まあ、与えるスキルの選抜は彼女達に任せるとして、俺は新スキルの確認を行うか。

 今回の目玉は3点。『泥人形』『風の鎧』『無形流転』だ。


 名前:泥人形Ⅱ

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:マジックスキル

 説明:指定した範囲に泥の人形を無限に生み出す泥の沼を発生させる。スキルレベルに応じて泥沼の範囲、一度に湧きだす上限、個体の大きさが異なる。


 名前:風の鎧

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:マジックスキル

 説明:風の鎧を身に纏い、他者からの攻撃に対して高い防御能力を得る魔法。風属性に分類される魔法の所持数、及びスキルレベルに応じて効果上昇。


 名前:無形流転

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:スペシャルスキル

 説明:正しい形を持たない身体を持つ者の防御力・貫通力・各種耐性を向上させるスキル。効果量は(5xレベル値)%。他のスキルと併用可能。


 ふむ……。

 確かに『泥人形Ⅱ』は、アキとマキが戦っていた時、せいぜい程度の妨害しか出来ていなかった。それが『泥人形Ⅳ』になれば無数に人形を生み出し戦いに参加させていた。足止めの魔法としてはかなり有用だし、他にも活躍の機会は多そうだ。

 続いて『風の鎧』の脅威度は経験済みだし、『風魔法』や『元素魔法』、それから『風塵操作』や『風雷操作』などのスキルを複数所持していれば効果が高まると言う。ちょっと防御力が不安だったエンリルには必須のスキルと言えるだろう。

 最後に『無形流転』は、イリスとセレンに必須の能力だな。直感だが、エンリルならいけそうな気配を感じるが、完全に物質として形を成しているエンキには効果が無さそうだ。


 んじゃ、これを配ったらガチャを回すとしますかね。

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