ガチャ318回目:ゴーレムコアⅤ

書籍化、コミカライズが決定しました!!

詳細は最新の『近況ノート』をご覧ください!

https://kakuyomu.jp/users/hiyuu10/news/16817330665037228647

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「ご主人様、お疲れさまでした」

「お疲れさま!」

「旦那様、素敵でしたわ~!」

「ショウタさん、カメラでの撮影もばっちりです。次からは一気に倒してしまって大丈夫ですよ」

「ああ、皆ありがとう」


 出迎えてくれる彼女達と順番にハイタッチをしていると、カスミが順番待ちしていたかのようにやってきた。


「お兄ちゃん凄い!! アヤネちゃんやマキさん達も凄かったけど、お兄ちゃんはもっとすごいよ! いつのまにこんなに強くなったの!?」

「いやー、まあ。色々あってな」

「うぅー。気になるぅ……! ああ、こんな事ならお兄ちゃんが高校卒業した時に追いかけて、一緒にダンジョンに入るんだった」

「俺とカスミが……?」


 その場面を想像したが、たぶん追いかけられていたら絶対に拒絶していただろうな。今は俺の方がステータスで上回っているからこそ余裕があるが、あの時の俺はカスミに対して負い目を感じていたし、負けたくない気持ちでいっぱいだった。連れ回すたびに周りから余計なやっかみも受けていただろうし、カスミには悪いが百害あって一利なしだ。

 そんな元凶である妹と一緒に暮らすとか、多分耐えられなかっただろう。こんなこと、正直に伝えるわけにもいかないし、どう伝えればいいやら。そう考えていると、アキが軽い感じに答えた。


「いやー、止めといた方が正解だったと思うな。ショウタ君がうちに来て3年間、ほとんど専属みたいな感じでお世話してたけど、彼と同じことをしようとしたら普通の人は1ヵ月ともたずに発狂してると思うよ」

「は、発狂ですか?」

「そ。ショウタ君の場合それしかなかったってのもあるんだろうけど、あたしが同じことをやれと言われたら3日で辞表を叩きつける自信あるわね」


 スライム狩りの事かな?

 まあ同じ事の繰り返しだし、変化も今に比べればまるで起きなかった。あの時はそれしか出来る事が無かったからやっていただけで、目まぐるしく変化していくこの楽しみ方を味わった今、改めてもう1度同じ事をしろと言われても、たぶん無理だろうな……。


「お兄ちゃんが遠い目をしてる……。やっぱり、あんな状態から立ち直るためには、生半可なことじゃ辿り着けなかったんだね」

「まあ、そうなるな」


 納得してくれたかな?

 アキの援護は普通にありがたかった。口で言う訳にもいかないので視線を送ってみると、ウインクで返してくれた。……可愛いな。


「……わかった。約束だもん。何も聞かないし、詮索しない。ただ、昔みたいに強くて、カッコイイお兄ちゃんに戻っただけなんだって」

「カスミ……」


 そんな殊勝なことを言うカスミの頭を昔のように撫でてあげると、幸せそうに微笑むのだった。


「えへへ、幸せ」

「カスミちゃんって、昔はこんな風にお兄ちゃんっ子だったんですか?」

「あー……。そうだな、何をするにもついてきてたな」

「そうなんですね。カスミちゃん、仲直りできてよかったですね」

「マキさん……。はいっ!」


 さて、と。当初の目的だった『砂塵操作』に関しては予想外の『変異種』の出現によって集まったのは良いが、新たに2つほど優先したい問題が現れたんだよな。

 1つは、この水没状態ではゴーレムはどうなるのかという純粋な興味。

 もう1つは『ゴーレムコアⅤ』の確保という必要不可欠なものだ。ただでさえ強いエンキ達が強くなるチャンスなのだ。コレを逃す機はない。


 だがまあ、何をするにしてもコレはいの一番に済ませておくべき儀式だろう。俺はアイラから『ゴーレムコアⅤ』を受け取りエンキの前に立つ。


「エンキ、コアの交換をしようか」

『ゴ? ゴゴ!』

「何言ってるんだ、俺にとっての始まりはお前だ。他の子を優先したりはしないさ」

『ゴゴー』

『ポポ!』

『プルル』

『~~♪』


 周りから祝福される中、エンキはコアを自身の身体へと取り込む。そして入れ替わる様にして『ゴーレムコアⅣ』が排出された。


『ゴゴー。ゴゴ?』

「いや、もう要らないとしても1ヶ月以上お前の心臓部だったものだ。捨てたり売ったりなんてしないよ。そうだな……俺の部屋にでも飾っておくか?」

『ゴ! ゴゴ!』


 嬉しそうにするエンキを撫でながら魔力を流し込む。やはり、『魔力』の最大値もステータスも2倍に増えているし、スキルのストック数も2つ分増加している様だ。となれば、何のスキルを与えるべきか……。


「そうだな……。予備として外しておいた『盾術Lv2』と『ウォークライⅡ』をひとまず入れておくか」

『ゴゴ~』


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅤ

 材質:鉄鋼

 魔力:3200

 装備:神威の爪

 スキル(10/10):物理耐性Ⅴ、自動回復Ⅳ、怪力乱神Ⅱ、城壁Ⅴ、★盾術Lv2、武闘術Lv2、★ウォークライⅡ、★砂鉄操作Lv2、震天動地Ⅲ、巨人の腕

 武技スキル:覇王爪


 ふむ、まあこんなとこか。

 『水流操作』を覚えさせることもできたけど、そうするとエンキが泥まみれになるからな。そしたらもういつもみたいに抱き上げることができなくなっちゃうし、それは嫌だという理由でその案はボツになった。


「アイラ、砂鉄」

「はい、ここに」


 魔鉄を砕いて得た砂鉄を取り込み、エンキの身体の鉄含有率が上昇して行く。今までは両拳だけだったが、Lv2になった今、鉄は肘の辺りまでが覆っていた。

 これなら、火力にも期待できるし、小型状態でも1メートルくらいまでなら全身鉄の状態になれそうだな。逆に50センチの持ち運びサイズの時は、重量がまた増しただろうが、俺なら持てるし、家も丈夫に作ってあるから問題は無いだろう。


「さて、ご主人様。これからどうなさいますか?」

「今何時?」

「午前の10時半頃です」

「ふむ……。まあ大丈夫だろ。このままここであと2個『ゴーレムコアⅤ』を確保するぞ」

「畏まりました」


 そうして話していると、ガチャを回す時間を確保し忘れてしまったようだ。周囲を囲む海水の内部に、モンスターの気配が発生した。それも至る所で。

 しかし泥沼の時とは違い、目視はできずにいた。恐らく砂の時と同様に、完全に水の中で擬態していて見えなくなっているのだろう。

 エンリルやイリス、セレンに任せて殲滅してしまうのも良いが、その前にその姿を拝んでやるべきだよな。


「……これで良いか」


 俺はその辺の石を適当に掴み、前方へ向けて水切りをしてみる。

 すると、水音を感知したのか複数のゴーレムが、水の身体を持ちながら起き上がった。


「『真鑑定』」


*****

名前:ウォーターゴーレム(変異種)

レベル:30

腕力:280

器用:50

頑丈:300

俊敏:20

魔力:20

知力:20

運:なし


装備:なし

スキル:なし

ドロップ:ゴーレムコア

魔石:小

*****


 全身が水で構成されたゴーレムは、我が家に2体ほどいるが、それから愛嬌をなくして大きくさせたらあんな感じになるだろうか?

 ステータスは先ほどの泥ゴーレムと一緒だが、明確に違うところが1つだけあった。それは、コアが剥き出しではなく、水の中に浮かんでいるということだ。剥き出しになりがちな弱点を克服したタイプとなれば、同じレベルやステータスでも討伐難易度はこちらのほうが上だろう。

 だが、コレで完全に証明されたな。モンスターは環境が変われば、それに適応した姿で出現すると!

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