ガチャ316回目:環境変化
書籍化、コミカライズが決定しました!!
詳細は最新の『近況ノート』をご覧ください!
https://kakuyomu.jp/users/hiyuu10/news/16817330665037228647
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「ご主人様。回収終わりました」
「ああ、ご苦労様」
「え? え?」
カスミは目の前で起きている事象に理解が追いついていないのか、『100体討伐』⇒『レア』⇒『レアⅡ』という1つの工程が終わっても混乱した様子だった。まあカスミの視点からしてみれば、アヤネがモンスターを大魔法で殲滅したと思ったらレアモンスターが湧いて、俺が超長距離射撃を成功させて撃破したら今度は『レアⅡ』が湧いて、それも倒したと思ったら大量のアイテムを抱えてアイラが戻ってきた訳だからな。
「『砂塵操作』は今ので1と3をゲットか。『ジャイアントロックゴーレム』の他スキルは美味しいけど、強化体を狩るメリットは少ない。このままここで連戦しようか」
「承知しました」
「では一休みですね。カスミちゃん、こちらへどうぞ」
「は、はい……」
しっかし、砂場地帯が水に飲み込まれてだいぶ光景が様変わりしたなぁ。『海魔法』はその名の通り海を呼び出す魔法のようで、どれもこれも大規模な現象を引き起こすものらしい。位階としては、完全に『水魔法』や『元素魔法』のスキルレベル10を超える規模の魔法だろう。
「はう、旦那様。ちょっと張り切り過ぎたかもしれませんわ。この状態で、モンスターは湧くのでしょうか?」
「どうだろうな。俺もここまで激変するとは思ってなかったが、一応これも俺が試したかったことではある。だから気にしなくて大丈夫だぞ」
「はいですわっ!」
アヤネを抱き寄せて撫で回す。
ダンジョンに生えている木々も、へし折られたとしても数日かけて再生するって話だし、砂場地帯が大量の水に飲み込まれたこの環境も、日数を置けば修復されそうではあるけど……。果たしてゴーレムは出現するのだろうか? それともゴーレムが形を成す為の『砂』が存在してないから、リポップしなかったりとか?
1028のダンジョンコアに聞いたように、環境変化を『管理者権限』で起こすことが出来るかを聞いたが、その答えは不明だった。だから自分達の手で環境を変えた場合に、何か変化が起きるのではないかと試してみたくなったんだよな。もしここで変化があるのであれば、例えば『ハートダンジョン』で森を焼き払えば綿毛虫も出現しなくなるかもしれないし、1086ダンジョンでも水を全て蒸発させてしまえば魚モンスターも出現しなくなるかもしれない。
まあ、後者はともかく、前者を実行しようものなら非難囂々だろうが。
そんな事を考えていると、目の前の泥沼地帯に変化が生じた。至る所で
「『真鑑定』」
*****
名前:マッドゴーレム(変異種)
レベル:30
腕力:280
器用:50
頑丈:300
俊敏:20
魔力:20
知力:20
運:なし
装備:なし
スキル:なし
ドロップ:ゴーレムコア
魔石:小
*****
「おお……!?」
現れたのは、全く知らない別種のモンスターだった。
その上、埋もれる為の砂がないからか、マッドゴーレムは寝そべって隠れていたりせず、普通に直立した状態で出現した。そのため、マップや気配で探すまでもなく、全てが目視出来てしまっていた。
泥のゴーレムが100体ほど並ぶその光景は、かなり異様であり得体の知れない恐怖を感じさせた。
「新モンスターですわ!」
「アヤネ、お手柄だ!」
「はうぅ~、旦那様~!」
アヤネの頭をわしゃわしゃと撫でる。
モンスターが出現しないか、今まで通り出現するかの2択だと思っていたが、まさか環境に沿ったモンスターへと変異するとは。これはすごい発見だぞ!
しかし、レベルは高めだけどスキルは何もなしか。……ちょっと残念だが、レアの方がどう変化するか見ものだな。
「マキ」
「はい。出現の瞬間から録画しています」
「控えめに言って最高」
「ありがとうございますっ。それとこのモンスターですが、私の知る限り完全新種です」
「マジか。テンション上がるな……!」
マキの頭も続けて撫でていると、端末に高速タップしていたアキが顔を上げた。
「こっちもステータスは書き写したから、討伐に移って良いよー」
「了解」
マップでも確認すると、元砂場地帯のここに再出現したのは116体のマッドゴーレム。先ほど討伐したゴーレムと同じ数だから、全てのゴーレムが変異したらしいな。
もう1度、大規模な攻撃で一気に巻き込んで討伐しても問題は無さそうだ。
けど、こんな泥水が溢れる中をアイラに走らせるのは気が引ける。それに、この環境を更に変化させればまた別の姿のモンスターが生まれるかもしれない。
よし。もう1度津波を起こして、ここを完全に海に沈めてしまおう。
「そんじゃ、アヤネ。さっきのをもう1発ぶちこんでくれ。セレンはアヤネのサポートを頼む」
「はいですわっ!」
『~~♪』
そうしてもう一度放たれた『海魔法』は、泥の人形達を飲み込み煙へと変えて行く。そしてセレンのスキルは、足元の泥だけでなくアヤネの魔法にも干渉し、バラバラに出現していたマッドゴーレムを一カ所に引き寄せつつ、タイダルウェイヴの範囲と威力を大幅に上昇させていた。
結果、ゴーレムの出現地帯は更なる津波により増水し氾濫。それにより、泥よりも海水の方に割合が傾き、元砂場は今や巨大な溜め池のような様相へと変化していた。
「これなら、また別種のモンスターが湧きそうだな……」
「ご主人様。奥側にて煙の発生を確認しました。中央に向かっています」
「なら、近くでその面を拝んでやるか。アヤネ」
「はいですわっ。『海割り』!」
俺達の立つ位置から中央の岩場地帯までの短い距離ではあるが、海が割れ地面が顔を出す。
割れた海の深さは2メートルもないくらいだが、それでも泳ぐのも面倒だし、凍らせて渡るのも大変だからな。特にエンキが。カスミも一緒になって全員で海を渡り、中央の岩場へと辿り着くと、丁度煙から中身が出て来ていた。
*****
名前:マッドロックゴーレム(変異種)
レベル:60
腕力:750
器用:400
頑丈:1100
俊敏:300
魔力:1000
知力:100
運:なし
【
【
装備:なし
ドロップ:ゴーレムコアⅢ
魔石:大
*****
見た目としては『ストーンゴーレム』がそのまま泥になった感じで、ステータスは『ジャイアントロックゴーレム』に近い強力なモンスターだ。だが、注目すべき点は新スキルが2種類もある所だ。
これは良いな……。実に良い!
「さあ、戦闘開始だ!」
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