ガチャ305回目:管理者レベル2

「質問する。管理者レベル2で実行可能なダンジョン設定の権限を全て教えてくれ」

「不可。管理者様のレベルが足りません」

「ぬぐ」


 やっぱダメか。

 でも、教えてはくれないだけで、実行に移すことは可能なはずなんだよな。となると、当てずっぽうで探してみるしか無い訳だ。

 まずレベル1で出来る事は『スタンピード抑制』『モンスター出現率』『モンスター分布率』の変更。

 他に弄れそうなところとなると……。


「質問する。モンスターのアイテムドロップ率は変更できるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』


 ……ううん、出来ないとも答えないし出来るとも答えないな。どっちかわからんぞ。とりあえず思いついた先から総当たりだな。


「質問する。階層ごとの環境は変更できるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「質問する。出入り口の場所は変更できるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「質問する。階層の入れ替えは変更できるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「質問する。レアモンスターの出現率は変更できるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「質問する。レアモンスターを通常モンスターとして出現させることはできるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「質問する。スタンピードは人為的に引き起こせるか」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「ぐぬぬ……!」


 手強い。

 なんか、何を聞いてもレベル不足と言われる気がして来たぞ。


 ……あれ? そういえば……。


「質問する。管理者レベル2で実行可能なダンジョン設定の権限を教えてくれ」

『許可。『楔システム』が利用可能です』


 ビンゴ! さっき質問した時は『全部』と指定したから駄目だったんだ。レベル1の時みたいに、単一であれば、許可が緩い物なら教えてくれる! やっぱ聞き方には細心の注意を払わないとな……。

 しかし、楔? なんだそれは。


「質問する。『楔システム』の説明を、現在の管理者レベルに合わせて可能な限り教えてくれ」

『許可。こちらをご覧ください』


 目の前に、日本を中心とした世界地図が表示された。

 そして至る所に赤いマーカーが存在していて、それが何を意味するか、説明されるまでもなく理解した。


『そしてこちらの――』

「ストップ! ……これは世界中の、ダンジョンの位置か!?」


 ……良いのだろうか? これって確か、ダンジョンは存在するけどダンジョンの位置は秘匿してる国も、確かあったはずだよな? 全部筒抜けなんだが……。

 そしてダンジョンコアは何も答えてくれなかった。聞き方が悪かったかな?


「質問する。これが現在地球上に存在している1100個のダンジョンなのか?」

『否定。人類が1歩でも踏み込んだことのあるダンジョンのみ表示しております』

「……つまり、未探索のダンジョンや、スタンピードが起きてる最中の新ダンジョンとかは、ここにはないわけか」


 確かに、この1086ダンジョンを除いて、海の中に存在するダンジョンはこの地図には見当たらないな。ここみたいに攻略からの逆侵攻は、まだされてないのか……。にしても、凄い数だな。……写真撮っとこ。


『カシャッ』


 ……うん。ちゃんと機能してるな。

 今まではわざわざ撮るようなものは無かったから意識が向いてなかったけど、よく考えればあのヘンテコ図形も撮影しておけばよかった。

 あ、ついでにこの人魚コアも撮っとこ。

 

『カシャッ』


 ……うん。バッチリ。

 さて、地図はこの辺にして、改めて続きを促すか。


「『楔システム』についての説明を再開してくれ」

『許可。『楔システム』を起動させると、管理者様がお持ちの鍵に連動したダンジョン同士が共鳴します。実行しますか?』

「……ん?」


 俺は説明をお願いしたはずだが……。

 まさか、それをしなければ説明が出来ないということだろうか。


「デメリットは?」

『ありません』

「じゃあ実行してくれ」

『了承。……実行しました。777ダンジョンも遠隔起動できます。実行しますか?』


 地図上で、1086ダンジョンの位置にあったマーカーが光り始めた。


「実行してくれ」

『了承。……実行しました』


 『アンラッキーホール』のマーカーも光り始めた。続けて2つのマーカーが1本の線で結ばれた。


『接続完了。777ダンジョンと同期が完了しました』

「何が変わったんだ?」

『『楔システム』による共鳴は2カ所では意味がありません。3カ所以上のダンジョンで共鳴してください』

「共鳴するとどうなる」

『線で結ばれた内側は境界となり、以後ダンジョン周期が来てもその内部では新たにダンジョンは出現しません』

「なに!? ほ、他に効果は?」

『不可。管理者様のレベルが足りません』

「だー!!」


 くそ、またしても権限不足か。

 だが、本来機能し始めるための最低条件である管理者レベルを思えば、レベル2から使えるようになるのは不自然だな。もしかしたらダンジョンの設計者が、俺達に管理者レベルを3へとあげさせるために、わざと権限レベルを緩くした機能なんだろうか? 

 そうだとしたら、良い趣味してるよ全く。


 さて、一番気になっていた管理者レベル2で解放される権限システムが知れたから、ある程度満足はしたんだが……。せっかくここまで来たんだ、このダンジョンについて聞ける事は、根掘り葉掘り聞いておかないとな!


 そうして俺は、思いつく限りの質問を続けた。

 その結果分かった事は以下の3点。


・このダンジョンは12階構成である。

・管理者権限で、ダンジョン入り口の小部屋に、一番近い陸地へと繋がるワープポータルの設置が可能。

・『グランドクラーケン』は本来、最下層でいくつかの条件を満たす事で出現するボス。


 そして当然、ワープポータルの設置を実行してから、管理者部屋から帰還するのだった。

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