ガチャ298回目:魔力枯渇の危険性
「アヤネ、イリスをこっちに」
「はいですわ」
『プルル?』
『ポポ』
「別に叱る訳じゃないさ」
『プルル』
イリスを膝の上に乗せて優しく撫でる。相変わらずプルプルしていて触り心地は抜群だった。
「さて……」
俺は彼の視えない魔石に向けて『魔力』を送ってみる。
今までなら送ってすぐイリスの全身へと流れて体外へと流出していったところだが、今回は違った。明らかに流れ出る『魔力』の量が減っている。相変わらず彼の魔石がどこにあるのかハッキリとは分からないが、ぼんやりとした感覚で掴むことが出来ていた。
おそらくこの曖昧な存在が、煙になった時にドロップする魔石の前形態なのかもしれないな。
俺はその曖昧な部分に狙い澄まして、一気に『魔力』を送り込んだ。
『……プルル??』
「……お?」
『プルル』
「んん?」
『プル~ン』
「おー」
……なんか、ちょっとだけイリスが何を思ってるのか、分かるようになった気がする。それはどうやらイリスにも伝わっているようで、何かを必死にアピールしてきた。
『プルッ、プルプル! プルルン!』
「えー、あー……んー? つまり、『グランドクラーケン』の魔石が欲しいのか?」
『プルル!!』
「確か『魔煌石』だっけ」
「ご主人様、こちらですね」
アイラがとんでもなく巨大な魔石をテーブルに置いた。『極大魔石』ですら2、3キロくらいだったのに、この『大魔煌石』は10キロぐらいはあるんじゃないか?
「あー、これこれ。マキ、知ってる?」
「はい。上位のモンスターが有する魔石の上位版になります。『上級ダンジョン』の深層など、一部ダンジョンの更に限られたモンスターでしか確認が取れていない非常に希少な魔石です」
「もしそれが納品されたら、ショウタ君のランクも『A+』からSランクに上がると思うよ」
「へぇー……」
Sランクか。
そう言えば来日するお客さんもSランクなんだっけ。
「でも功績って意味なら、1086ダンジョンのスタンピード鎮圧に加えて『コアホルダー』ってだけでも、十分に貢献してる気がするんだけど」
「あー、確かにね。『コアホルダー』はまだ一般的じゃないにしろ、スタンピードを鎮圧したのは大きいわね」
「スタンピードの規模もモンスターレベルも高かったですし、行ける気がします。念のため『クラーケン』と『グランドクラーケン』は動画も撮っておきましたし」
「バッチリですわ!」
「さすが。抜かりないね」
なら、イリスに与えても問題はないな。
「という訳でイリス、与えても良いんだけど……いきなり大サイズでいいのか? 最初みたいに小さいサイズの『魔煌石』から順番に取得した方が良いんじゃないか?」
『プルル、プル』
「今なら喰える気がするって? 『悪食』スキルのせいかね」
『プルル!』
「じゃ、遠慮なく喰え」
イリスは『魔煌石』に覆いかぶさるようにして飲み込むと、ゆっくりゆっくりと消化していった。本来の順番を無視して取り込むわけだから、完全に飲み込むのには少し時間がかかりそうだな。その間に、こっちはスキルの内容調査と分配をしておくか。
「まずは一番気になっていた『魔力超回復』からだな」
名前:魔力超回復
品格:≪固有≫ユニーク
種別:マジックスキル
説明:魔力を15秒に1回の頻度で(12xレベル値)ずつ回復する。
「ほー。『魔力回復LvMAX』で15秒に10ずつだったから、結構回復するんだな」
「ご主人様が以前パッシブ系スキルを行使した際に気持ち悪くなっていた時は、『魔力超回復』のスキルはLv1でしたね。15秒ごとに12回復する状態で、同時に維持していたのは、『ゴーレムコアⅣ』のエンキと、『ゴーレムコアⅡ』のゴーレム4体、『ゴーレムコア』のゴーレム1体。……単純に考えれば、15秒ごとに『ゴーレムコア』のナンバーと同じ量の『魔力』が消費されていたことになりますね」
「ってことは、あの時の俺って、4+8+1で回復するどころか常に減ってたってこと!?」
「そうなるかと。ですので、パッシブスキル1つで気持ち悪くなっていたと思われます」
「うへぇ、よく保てたな……」
「ご主人様の魔力はあの時点で6000を超えておりましたから、1分で4消費するとした場合、1時間で240。24時間でも削りきる事は出来ません。途中でレベルアップも挟んでましたし、『運』が良かったです」
「ほんとにな……」
あの時、割とギリギリだったんだな……。
「それじゃ、他に気になるものとして……『海魔法』『再生』『恐慌の魔眼』『巨人の腕』だな」
名前:海魔法
品格:≪遺産≫レガシー
種別:マジックスキル
説明:海を操り、大海を召喚する大魔法。最低知力1800
名前:再生
品格:≪遺産≫レガシー
種別:パッシブスキル
説明:失われた身体を再生させる。
名前:恐慌の魔眼
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:スペシャルスキル
説明:視線を合わせた相手の恐怖を煽り、戦意を喪失させる魔眼。格下の相手ほど発動しやすい。オンオフ可能。
名前:巨人の腕
品格:≪遺産≫レガシー
種別:スペシャルスキル
説明:巨人の腕を顕現させ、相手を叩き潰すスキル。
読んだ内容を皆に伝えるが……正直、扱いに困るものばかりだな。
「『海魔法』は強そうなのは良いけど、『再生』は今度こそ人間辞めちゃいそうだし、『巨人の腕』は取るの怖いし……。そもそも『魔眼』って、モンスター専用の特殊スキルじゃなかったんだな」
「私も初耳ですが、スキルとして出た以上そうなのでしょうね」
「ショウタさん、どうしますか?」
「うーん……。まあオンオフ可能ってわざわざ書いてる訳だし、有用そうなら『魔眼』は俺が取得しようかな。格下の判定がステータスなら、使い勝手は良さそうだ」
「確かにねー。でも、人に使っちゃだめだからね」
「わかってるって」
さて、改めてスキルの『鑑定』が終わったところで、皆にスキルを割り振って行く。
俺は『怪力Ⅳ』3つで『怪力Ⅴ』に。『阿修羅Ⅳ』1個。エンキの『怪力乱神』1個と在庫2つを合わせて『怪力乱神Ⅱ』に。『俊足Ⅳ』3つで『俊足Ⅴ』に。『迅速Ⅳ』3つで『迅速Ⅴ』に。『城壁Ⅳ』3つで『城壁Ⅴ』に。『金剛体Ⅳ』1個。『身体超強化Lv1』2個と『身体超強化Lv2』1個で『身体超強化LvMAX』に。『水耐性Lv2』2個と『水耐性Lv5』1個で『水耐性Lv9』に。『貫通耐性Lv1』2個と『貫通耐性Lv3』1個で『貫通耐性Lv5』に。『体術Lv5』1個で『体術LvMAX』に。『格闘術Lv4』1個で『格闘術LvMAX』に。『水泳Lv2』5個で『水泳LvMAX』に。『破壊の叡智Ⅱ』3個で『破壊の叡智Ⅲ』に。『暗視Ⅳ』1個。『衝撃Ⅳ』1個。『水流操作Lv1』5個で『水流操作Lv8』に。『魔力超回復Lv2』1個で『魔力超回復Lv7』に。最後に『恐慌の魔眼』1個。
アヤネは『怪力Ⅳ』1個。『水泳Lv2』5個で『水泳LvMAX』に。『混沌魔法Lv4』1個で『混沌魔法LvMAX』に。『海魔法Lv4』1個。『魔力回復Lv2』3個で『圧縮』し『魔力超回復Lv1』に。
アイラは『剛力Ⅳ』3個で『剛力Ⅴ』に。『怪力Ⅳ』3個で『怪力Ⅴ』に。『鉄壁Ⅳ』3個で『鉄壁Ⅴ』に。『城壁Ⅲ』3個で『城壁Ⅳ』。『金剛体Ⅲ』1個。『体術Lv8』1個で『体術LvMAX』に。『水泳Lv2』5個で『水泳LvMAX』に。『解体Ⅲ』1個。『魔力回復Lv2』1個で『魔力回復Lv3』に。
アキは『剛力Ⅳ』3個で『剛力Ⅴ』に。『怪力Ⅲ』3個と『怪力Ⅳ』3個で『怪力Ⅴ』に。『鉄壁Ⅳ』3個で『鉄壁Ⅴ』に。『体術Lv5』1個で『体術LvMAX』に。『水泳Lv2』5個で『水泳LvMAX』に。
マキは『剛力Ⅳ』3個で『剛力Ⅴ』に。『怪力Ⅴ』1個。『鉄壁Ⅳ』3個で『鉄壁Ⅴ』に。『槍術Lv1』5個で『圧縮』し『神槍術Lv1』に。『水泳Lv2』5個で『水泳LvMAX』に。『風魔法Lv3』1個で『風魔法Lv7』に。『水魔法Lv3』1個で『水魔法Lv9』に。『土魔法Lv4』2個。『魔力回復Lv2』2個で『魔力回復Lv5』に。
エンキは『怪力乱神Ⅱ』1個。『城壁Ⅳ』3個で『城壁Ⅴ』に。『格闘術Lv4』1個と『格闘術Lv6』1個を『圧縮』し『武闘術Lv2』に。『ウォークライⅡ』を外して『巨人の腕』1個。
エンリルは『俊足Ⅳ』4個で『俊足Ⅴ』に。『迅速Ⅲ』を外して『迅速Ⅳ』に。
セレンは『弁天術Lv2』1個。『水魔法Lv3』1個と『水魔法Lv7』で『水魔法LvMAX』に。『海魔法Lv2』2個で『海魔法Lv4』に。それら3つを入れる代わりに『怪力乱神』『金剛体Ⅱ』『水泳LvMAX』を外す。最後に『濁流操作Lv5』1個で『濁流操作LvMAX』に。
イリスは『鞭術LvMAX』2個を『圧縮』し『弁天術Lv2』に。『粘液生成Ⅲ』1個。『宵闇魔法Lv2』2個と『宵闇魔法Lv4』1個で『宵闇魔法LvMAX』に。『混沌魔法Lv2』2個で『混沌魔法Lv4』に。『濁流操作Lv2』1個。
ふぅ……こんな所か。各種感知スキルと聖印、それから『再生』は保留だ。
しかし有用なスキルが増えて来たのは、討伐難易度が上昇することを差し引いても良いことではあるんだが、エンキ達のスキルストックがな。いつまでも上限値が『8』だと困るな。増やしてあげたいところだが、そうすると上位のゴーレムを探す必要があるわけで……。うーん。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます