ガチャ299回目:海のアーティファクト

「セレン、『クラーケン』が触手を鞭のようにしならせて攻撃してたから『弁天術』のスキルを与えたが、どうだ? 上手く扱えそうか?」

『~~♪』

「そうか。ならイリスも同じように問題なさそうだな。そっちは消化の方はどうだ?」

『プルル……』


 こっちはもうちょっと時間がかかりそうだな。


「んじゃ、アイラ。宝箱を出してくれ」

「畏まりました」


 アイラがテーブルに置いた宝箱は、3つ。

 『エメラルドの宝箱』が2つに、紫色に光る宝箱が1つ。これは……。


「『アメジストの宝箱』ですね。私の武器もこれから出ました」

「マジで? それは、期待しちゃうな」

「アイラのチームが出した『運』と、旦那様の『運』では天地ほどの差がございますわ。きっととんでもないものが出ますわー!」

「武器が出てくれると嬉しいんだけどねー」

「ショウタ君のことだから、きっととんでもないアイテムが出るわね」

「楽しみですね」

「そんじゃ、早速『エメラルドの宝箱』から……。あ、サングラス貸して」

「おや、覚えておいででしたか」

「流石に3回目だしね」


 サングラスを装着し、改めて宝箱を開ける。中には緑色の輝きの奥に、ほんのりと輪っかのような物が見えた。暗闇ではなさそうだな。

 アイテムを掴んで持ち上げると、不思議な見た目をした腕輪だった。まるで腕時計の時計部分がコンパスになったかのような形状をしていて、誰もが疑問を感じる。


 なんだこれは、と。


「『真鑑定』」


 名称:ダンジョンマーカー

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:アーティファクト

 説明:ダンジョンに眠る秘宝の1つ。白の指針がダンジョンの登り階段を、黒の指針が下り階段を指す。最下層であれば白の指針のみ現れ、ダンジョン外であれば黒の指針のみ現れ一番近いダンジョンを指し示す。


「……あれ? これ神アイテムじゃね??」


 念の為もう1個の方を開けてみても、同じ物が入っていた。

 やっぱ俺が開けると、最低確率の物を確実に汲み上げてる感じがするな……。正直武器が欲しかったけど、有能すぎるアイテムで文句が言えないわ。


「神アイテムってもんじゃないわ! 世界中の人が待ち望んでいたといっても過言じゃないアイテムよ?」

「誰もが新しく出現するダンジョンの位置が分からなくて困ってましたからね。これがあれば、今回のようなスタンピード騒ぎは起きにくくなるでしょうし」

「2つとも黒の指針が海の方を指してますわ。という事は、あっちの方向に『1086ダンジョン』があるのですわね?」

「これがあるなら、奥様に伝える必要はなかったように思えますが……後の祭りですね」

「それじゃ、せっかく2個出たんだし、1つは協会に寄贈しようか。こういうのって、サクヤお義母さんのほうが良いのかな?」

「そうですね、奥様であれば間違いなく有効に使って下さるかと」

「そんじゃ、『アメジストの宝箱』も開けちゃいますか」


 ぱかりと開けると、中から飛び出すのは紫色の光だった。エメラルドの輝き以上に目に悪いな。そしてその奥には暗闇が広がっている。これは……期待出来そうだな。

 暗闇の奥へと手を伸ばすと、何やら棒状の物が手に触れた。それを掴み思いっきり引き上げると、紫色の輝きは消え去り、一本の杖が現れた。

 その杖は先っぽに青い宝玉が埋め込まれていて、持っているだけで不思議な圧力を感じさせた。


「『真鑑定』」


 名称:モーセの杖

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:武器

 武器レベル:54

 説明:ダンジョンに眠る秘宝の1つ。海を割ったとされる伝説の杖。使い手の知力と魔力を参照し、水を自在に操る。水系魔法の威力3倍。消費魔力半減。破壊不可能。武技スキル『海割り』が使用可能。


「おー……」


 武器は武器だけど、これはアヤネ用かな。彼女だけずっと、出会った時に装備していた市販の杖のまんまだったし、いつか新調してあげたいとも思っていた。

 ちょうど良い機会だな。


「アヤネ」

「……!」

「今日からコレがアヤネの武器な」

「……はいですわ」


 いつもとは打って変わって、アヤネは神妙な表情で受け取った。


「いつかはわたくしの番が来ると思っていましたが、こんな風に思いがけないレベルの武器が来ると、落ち着きませんわ……」

「ああなんだ、緊張してたのか」

「お嬢様の武器は、武器工房製ではありましたがこのチームでは今まで一番弱かったですからね」

「まあ、それが急に誰のどの武器よりも強くなったもんね。アヤネの気持ちもわかるわ」

「アヤネちゃん、深呼吸だよっ」

「はぅぅ」

「そう背負い込むなって。俺もちょっと試してみたいから、後で海を割らせてくれ。もし上手くいくなら、海を割った状態でダンジョンに潜り込めるかもしれないしな」

「海底ダンジョンに徒歩でですか。面白そうですね」

「『泡魔法』は浅瀬でしか試してないから、水圧に耐えられるかわからないもんねー。安全を期すなら、その方が良いのかも」


 そんじゃ、ガチャが終わったらそのままダンジョンに潜り込むとしますかね。

 あんまりのんびりしてると日が暮れちゃうし。


『プルルッ!』

「おっ」


 そうこうしていると、イリスの消化が終わったらしい。

 彼の全身からは、並々ならぬ力の波動を感じる。


「『真鑑定』」


*****

名前:イリス

存在位格:『伝説レジェンダリー

コア:大魔煌石


レベル:280

腕力:3200

器用:3200

頑丈:3200

俊敏:3200

魔力:3200

知力:3200

運:なし

ブーストスキル】鉄壁Ⅴ、城壁Ⅳ、金剛体Ⅱ

パッシブスキル】身体超強化Lv1、物理耐性Ⅴ、自動回復Ⅳ、★弁天術Lv2、水泳LvMAX

PBパッシブブーストスキル】破魔の叡智

アーツスキル】★粘液生成Ⅲ、ウェポンブレイク、アーマーブレイク、チャージアタックⅡ、悪食LvMAX

マジックスキル】極光魔法Lv2、★宵闇魔法LvMAX、★濁流操作Lv2

*****


 ふむ……。大化けしたな。


「また随分と強くなったな、イリス」

『プルプル』

「ダンジョンボスと遜色ないですね」

「味方で良かったですわ~」

『ポポ』

『ゴゴ』

『~~♪』


 ついでにエンキ達も視ておくか。


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:鉄鋼

 魔力:1600

 装備:神威の爪

 スキル(8/8):物理耐性Ⅴ、自動回復Ⅳ、★怪力乱神Ⅱ、★城壁Ⅴ、★武闘術Lv2、砂鉄操作Lv1、震天動地Ⅲ、★巨人の腕

 武技スキル:覇王爪


 名前:エンリル

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:風雷魔装体

 魔力:1600

 スキル(8/8):物理耐性Ⅴ、自動回復Ⅳ、★俊足Ⅴ、★迅速Ⅳ、ウォークライⅡ、追跡者Ⅳ、風雷操作Lv1、風魔法LvMAX

 武技スキル:真空斬り


 名前:セレン

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:流水魔装体

 魔力:1600

 スキル(8/8):物理耐性Ⅴ、自動回復Ⅳ、★弁天術Lv2、神槍術Lv4、破壊の叡智Ⅲ、★水魔法LvMAX、★濁流操作LvMAX、★海魔法Lv4

 武技スキル:激流槍、水鉄砲


「ってセレン、『グランドクラーケン』の武技スキル、両方覚えてるじゃないか」

『~~?』


 ああ、うちの子達皆強すぎ。

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