ガチャ295回目:スタンピードのボス

 エアウォークを使っていの一番に先行していると、『真鑑定』の有効射程距離よりも先に触手が飛んで来た。


「くっ!?」


 アイラを抱えながら多面的な動きで回避し、相手との距離を詰めていると、彼女は嬉しそうな声をあげる。


「ご主人様、しっかり私の言いつけを守り、『金剛外装』に頼らず回避が出来ているようですね。ここまで出来るようになり、私も鼻が高いです」

「まあな。アレに頼りっきりは俺も情けないと思ってたし」


 今までの修行では、扱えるステータスの向上のほかに、回避する技術も伸ばして来た。もしものために『魔力』は温存しないとだし、『魔力超回復』があるとは言え無駄遣いは出来ない。今後、『ガダガ』のような特殊な力で、スキルが使えない時が来るかもしれないしな。まあでも、アイラにしてみればまだ、危なくなったら使えると言う甘えが俺にはあるらしいが……。


「ご主人様、ようやく『鑑定』が届く距離に来ましたよ」

「あいつの足、何本あるんだ!? 視ている余裕が、まるで無いんだが!」


 ようやく有効的な距離にやって来ても、近ければ近いほど触手攻撃の密度が上がり、『並列処理』と『思考加速』を併用しても、回避する事に精一杯だった。


「そのようですね。私の方ではスキルの確認ができましたし、そろそろ分かれて行動しましょうか。後続のエンリルとセレンも到着したようですし」

『ポポー!』

『~~♪』


 エンリルは上空から、セレンは水中から攻撃を始める。それだけで、敵の注意と触手攻撃は分散され始め、俺にかかる負担はかなり軽減されていた。


「よし、頼む!」


 アイラが飛び立つと同時に『真鑑定』を使用。『並列処理』と各種探知スキルで回避を任せつつ、俺は目の前に出てきた相手のステータスボードを確認した。


*****

名前:グランドクラーケン(ダンジョンボス)

レベル:278

腕力:3000

器用:3200

頑丈:2700

俊敏:1000

魔力:9999

知力:2500

運:なし


ブーストスキル】剛力Ⅴ、怪力Ⅴ、阿修羅Ⅳ、怪力乱神Ⅱ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅴ、金剛体Ⅳ

パッシブスキル】身体超強化Lv2、水耐性Lv5、貫通耐性Lv3、物理耐性Ⅳ、自動回復Ⅳ、再生Lv3、体術Lv8、格闘術Lv6、弁天術Lv2

PBパッシブブーストスキル】破壊の叡智Ⅲ、水の聖印Ⅲ

アーツスキル】気配感知Ⅱ、危険感知Ⅱ、粘液生成Ⅲ、暗視Ⅳ、衝撃Ⅳ、解体Ⅲ、反響定位Ⅱ

マジックスキル】濁流操作Lv5、水魔法Lv7、海魔法Lv4、宵闇魔法Lv4、混沌魔法Lv4、魔力超回復Lv2

スペシャルスキル】恐慌の魔眼、巨人の腕


武技スキル:激流槍、水鉄砲


装備:なし

ドロップ:グランドクラーケンのゲソ、グランドクラーケンのイカスミ、ランダムボックス、管理者の鍵(1086)

魔煌石:大

*****


 『ダンジョンボス』!? まさかスタンピードでお目に掛れるなんてな。未知のスキルが多数に加え、武技スキルに初めて見る魔石の種類。

 強敵だが……それでもやるしかない!


 なんたって、鍵持ちだからな!!


「こいつはダンジョンボスだ! 気を引き締めて行こう!」

「「「「はい!!」」」」


 自らを奮い立たせるために叫んだが、どうやら他の皆も到着したようだ。アキとマキは複数枚からなる色付きのエアウォークに乗りながら、背にタカ義姉を隠しつつ飛んでくる触手を『武技スキル』で攻撃したり、『金剛外装』で弾いている。こちらの担当触手は6本だな。

 そしてアヤネはユキ義姉にサポートしてもらいつつ、魔法で触手を攻撃している。時折相手の『宵闇魔法』で周辺が暗くなるが、アヤネが即座に闇を払ってくれる為俺達に害はなかった。彼女達は皆、先程までの戦いを見ていたから、本体じゃなく触手への攻撃なら、討伐に影響がないことは把握しているのだろう。俺のトドメに影響がない分、全力で攻撃出来ているようだった。その上、奴はアヤネの攻撃を防ぐのに相当必死なのか、こちらの担当触手は脅威の7本だ。

 ああやって、本体を守る触手を幾本か受け持ってくれるだけでもかなりありがたい。


 そしてアイラは相変わらずあっちこっちと動き回って、さらに多くの触手をいなしている。多くて9本は受け持ってくれているし、位置取り次第で前後するが少なくとも7本は常時引っ張ってくれていた。

 逆にエンリルは、触手の届かない高所から攻撃をする代わりにイカスミ攻撃を受け持ってくれていた。


 最後に、加入したばかりのセレンは、水中から貫通性の高い触手を伸ばしたり、ウォータージェットを発射して『グランドクラーケン』の4本の触手を相手するだけでなく、本体にもダメージを与えていた。


 回避しながら数えたところ、『グランドクラーケン』の触手は全部で30本。それが今では各人が受け持ち、俺を直接攻撃してくるのは4~6本しかいなかった。

 この程度の数なら、攻撃をかき分けつつ本体に攻撃を通すなど造作もない。だが、あまり長期戦をしてしまうと彼女達の負担が増す。もう一気に決めてしまおうか。


「フルブースト! 『雷鳴の矢』『重ね撃ち』!!」


 3本の束ねた『雷鳴の矢』の危険性をすぐに察知したのだろう。それを防ぐように、残った触手が防御の為に立ちふさがる。これを突破したとしても、あまり悠長にしていては、他に割り振られている触手もこっちに回されるかもしれない。

 だが今の俺ならば、この技の上に別の攻撃を混ぜるくらいの余裕があった。

 

「更に……4倍マジックミサイル!!」


『ドドド!!』

『ズパァン!!』


 『並列処理』で複数のマジックミサイルを真っ直ぐに飛ばし、貫き生まれた空間を紫電の光が貫いた。


『……!!』


 『雷鳴の矢』が貫いた衝撃が重なり合い、『グランドクラーケン』の目から上が消し飛んだ。

 残った触手は力なく倒れ込み、その全身は煙を噴き出し消滅した。


【管理者の鍵(1086)を獲得しました】


【レベルアップ】

【レベルが37から381に上昇しました】

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