ガチャ264回目:充電完了

 スキルの精算も終わったし、次は宝箱な訳だが……。

 案の定、『ラミア』の宝箱からは俺が開けても、じゃんけんで勝ったアキが開けても、上下の下着が入っていた。


「この時点で考えられることは、以下の4つです」


 1:ドロップ時点で確定している。

 2:極小確率で大当たりを引いた。

 3:そもそもコレしか出ない。

 4:ご主人様のスケベ心が影響している。


「そろそろ怒るよ」

「冗談です。しかし、余ってしまいましたね。


 そう。『オロチ』強化体の宝箱からも、前回同様『酒神の盃』が出てきてしまったのだ。


「なあ、義母さんってお酒は嗜むかな? もし良かったら、日ごろからお世話になってるしプレゼントしたいんだけど」

「それなりに飲むかなー。あたしのコレもお母さん譲りだし」

「きっと喜んでくれます!」

「そっか。……あっ」


 そうだ。

 義母さんにあげる以上、サクヤお義母さんにも何かしら渡すべきだろう。


「アヤネ。サクヤお義母さんってお酒は?」

「祝いの席ならまだしも、それ以外では見ませんわね」

「そっかぁ……」


 どうしたものかと思って視点を彷徨わせていると、一瞬、下着の方に目が行ってしまう。だが、それは駄目だと思ってすぐに逸らしたのだが……。見てしまった時点で手遅れだったらしい。

 周囲からジト目が飛んでくる。


「ショウタさん……」

「スケベ」

「やはり親子丼がご所望ですか」

「お母様にこれを渡すのは、流石のわたくしも気が引けますわ……」

「ごめんなさい、許してください」


 いや、そりゃね? あんな美人だし、絶対似合うなとは思ったけども。

 さすがに義理の母親にソレを贈るのがどれだけ非常識かくらい俺でもわかるって。


「常識以前に想像するだけでギルティーです」

「サイテー」

「ショウタさん……」

「旦那様……」

「スイマセンデシタ」


 そうして軽いお説教の後に、サクヤお義母さんに何を贈るのかという話で盛り上がるが、結局また何か見つかる事に賭けて一時保留という事になったのだった。最悪先ほど予備に置いておいた『酒耐性Lv2』をプレゼントするという妥協案もあるにはあったが……。どうするかな。


「あ、そうだショウタ君」

「んー?」

「キリがないから昨日の時点で考えないようにしてたけど、ヘビ地帯にはどれくらい宝箱があったの?」

「ああ、ここ二層だからナマの情報じゃないけど、いい?」

「いいよー」


 帰還途中にマップに映っていた情報を思い出す。


「あ、それはわたくしも気になってましたわ」

「沼地の近辺は、少し進むだけで『銀の宝箱』が発見出来ましたね」

「昨日は見つけるたびちょっとはしゃいじゃってたけど、流石に有り過ぎると慣れてくるわよね」

「あの辺りには人が来ていない証明なのでしょうが、探知スキルの無い我々でも簡単に見つけられるほどとなると、相当数ありそうです」

「……確か50個くらいはあったかな」

「「「おおー」」」

「私達もいくつか回収したとはいえ、50ですか。これでも第三層の1/3も参照していないのですから、恐ろしい物です」


 アイラ曰く、宝箱がこれだけ密集しているエリアというのは相当珍しいらしい。

 彼女が昔潜っていたダンジョンでも、エリアに10個あれば多い方という扱いらしかった。いくら俺のスキルがリアルタイムでその階層の情報が全て見れるとはいえ、50は多すぎる。単に何年も放置され続けてきた結果溢れているだけなのか、それともフィールド難易度が高すぎて本来以上の出現率になっているのか。

 まあ、それはこのダンジョンをクリアすれば分かる事か。……たぶん。


「よし、それじゃ本日の〆として、今から『充電』するよ」

「ドキドキ」

「ワクワクですわ」


 俺は『レベルガチャ』の筐体を呼び出し、『充電』を押した。いつものように全身から若干力が抜ける感覚と共に、目の前の残高が変化する。


『エネルギー残高 15/15』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:46

腕力:12212(+6057)(+6106)

器用:12206(+6051)(+6100)

頑丈:12148(+6025)(+6074)

俊敏:12608(+6255)(+6304)

魔力:11796(+5851)(+5898)

知力:12088(+5997)(+6044)

運:8492


*****


「……ん?」


 しかし、何も変化が起きない。

 皆も不思議そうに顔を見合わせていると、ゆっくりと筐体が輝き始めた。


「おお?」


 光が収まると、さまざまな変化が起きていた。

 まずは筐体のボディーだが、初期更新時の青色に戻ってしまっているのだが、よく見ればそれ一色ではなく、左右に一本の黒線が入っているのが見える。恐らくこれが『充電』をこなした証なのだろう。

 そしてボタンは『10回ガチャ』と『無料ガチャ』2つのボタンが戻って来ていて、正面の張り紙には以下のことが記されていた。


『レベルエネルギーの充電、誠にありがとうございました』

『おかげさまで当レベルガチャは、再び稼働する事と相成りました』

『1度目の充電が完了したことにより、当レベルガチャのランクが向上しました』

『最大数がリセットされました』


『バージョンアップ! 出現する増強アイテムの効果が高まりました!』

『バージョンアップ! ガチャの消費レベルが12に上昇しました!』


『管理者権限を確認。一部の特殊アイテムがアンロックされました』

『管理者権限を確認。一部の特殊スキルがアンロックされました』


『ボックスの残り 100/100』


「ふぅん? ……色々と突っ込みたいところだが、また値上がりしたかぁ」

「1度目の『充電』ってことは、またその内枯渇するってことよね?」

「そうですね。それがいつなのか明記されていないのが怖い所ですが」

「また100レベルであれば『アンラッキーホール』で稼げるのでしょうけれど……。今回の消費レベルは『充電』期間中の時よりも増えていますもんね」

「旦那様、スキルの方に変化が起きてるかもしれませんわ。ステータスを見せて貰えませんこと?」

「ん、いいよ」


 偽装を解除して、と。

 俺も見ておくか。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:46

腕力:12212(+6057)(+6106)

器用:12206(+6051)(+6100)

頑丈:12148(+6025)(+6074)

俊敏:12608(+6255)(+6304)

魔力:11796(+5851)(+5898)

知力:12088(+5997)(+6044)

運:8492


ユニークスキル】★レベルガチャⅡ、真鑑定Lv4、鑑定偽装Lv4、自動マッピングⅣ、鷹の目Ⅱ、魔石操作、弱体化、スキル圧縮Ⅱ、充電

ブーストスキル】金剛外装Ⅲ、剛力Ⅴ、怪力Ⅳ、阿修羅Ⅱ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、瞬迅Ⅲ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅳ、金剛体Ⅱ、金剛壁Ⅱ、力溜めⅡ

パッシブスキル】身体超強化Lv4、物理耐性Ⅴ、知覚強化Ⅱ、思考加速、二刀流Ⅲ、格闘術Lv6、剣聖Lv3、盾術Lv2、槍術Lv8、弓術Lv3、狩人の極意Lv3、★暗殺の極意Lv1、姿勢制御Lv1、空間把握Lv2、★精力増強LvMAX

PBパッシブブーストスキル】統率Ⅲ、破壊の叡智Ⅱ、魔導の叡智、★万象の刻印

アーツスキル】予知Ⅱ(1/3)、克己、看破、気配感知、生体感知、魔力感知、危険感知、跳躍Lv4、暗視、衝撃、鎧通し、重ね撃ちLv2、縮地、忍び足、ウォークライⅡ、追跡者Ⅴ、騎乗Ⅱ、反響定位、魔力定位

マジックスキル】念動力Lv1、元素魔法Lv3、外典魔法Lv1、空間魔法Lv2、泡魔法Lv1、水流操作Lv3、★砂塵操作Lv5、風塵操作Lv2、回復魔法Lv1、極光魔法Lv4、宵闇魔法Lv2、混沌魔法Lv2、魔力超回復Lv2、魔力譲渡Ⅱ

スペシャルスキル】王の威圧Ⅳ


武技スキル:無刃剣、紅蓮剣[飛剣・鳳凰]、紫電の矢[雷鳴の矢]


称号:ゴブリンキラー

トロフィー:★オロチのトロフィー

管理者の鍵:525(1)、525(2)、★525(4)、810(1)、810(2(1/2))、777


*****


「お、『レベルガチャⅡ』になってる!」

「やりましたわ!」

「でも見た目的に変化は……黒い縦線が入ったくらいね?」

「色も青色ですし、最初からやり直しという事でしょうか?」

「となれば、記載の通り出るアイテムが更に上質なものになったと考えるべきかと。今までも規格外でしたが何が出て来るやら」

「その為には……レベル120か。そう簡単には回せそうにないかな」


 だが、そろそろあのガチャを回した時の昂ぶりが恋しくなっていたところだ。

 明日からは第三層のイノシシゾーンでもあるし、楽しみで仕方がないな。

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