ガチャ260回目:出オチする強敵

 宝箱を開ける前に、今の『運』を確認するついでに『充電』もしておくか。


『エネルギー残高 9/15』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:9

腕力:12138(+6057)(+6069)

器用:12126(+6051)(+6063)

頑丈:12074(+6025)(+6037)

俊敏:12534(+6255)(+6267)

魔力:11722(+5851)(+5861)

知力:12014(+5997)(+6007)

運:7218


*****


 7218か……。ふーむ。

 んでこっちはと。


「『真鑑定』」


 名前:金の宝箱

 品格:『最高エピック

 種別:モンスタードロップ

 説明:ラミアのアイテムリストから抽選


 以前『甲殻騎士』の時に見た時と表示は変わらず、か。

 あの時は『真鑑定』のレベルは3だったし、今もまだレベル4だもんな。思えば『真鑑定』のレベルって全然上がってないよなぁ。ガチャの中でもそれだけレアなんだろうか。


「旦那様?」

「ああ、悪い。今開けるよ」


 『高速思考』するのを忘れて、普通に考え込んでたみたいだな。

 さて、お宝の中身は何かなーっと……。


 宝箱を開けると、そこには……。


「ん? ……ハンカチ?」


 折り畳まれた布のようなものが2枚入っていた。

 おもむろに掴んで広げてみると……。


「うげっ!?」

「うわっ、何それ!?」

「これ、『ラミア』の身に付けてたものですわ! 間違いありませんの!」

「ショウタさんのえっち……!」

「流石ご主人様です」

「いや違う! 俺は悪くない!!」


 広げたそれはなんと、水着みたいなブラジャーだった。


 名前:魅惑のブラ

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:衣服

 説明:装着すると異性を魅了するフェロモンを発生させる。自動補正機能付き。


 そう言えばラミアって下半身がヘビの、上半身が女性のモンスターだったよな。『石化』する時はハッキリとは見えなかったけど、映像の中では確かにこのブラを装着していた気がする……。

 んで、もう1つは……。


 名前:誘惑のパンツ

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:衣服

 説明:装着すると異性を誘惑するフェロモンを発生させる。自動補正機能付き。


 効果は対になってる感じか。でも『ラミア』は履いてなかったよな……。つまりは人間用にカスタマイズされた物ってことか。

 俺は紐ビキニのようなソレを折りたたみつつ、記載されてる効果を皆に伝えた。


「武器以外の装備もいつかは出ると思ってたけど、最初がコレとはな……。良い物、なのか?」

「効果はさておき、とっても良い物ですよ!」

「そうそう。前に言ったよね、『鑑定妨害』のスキルが付与された装備があるって話。これもその類の物で、『魅了』と『誘惑』のスキルがついた物はどっちもとっても希少なの。効果はショウタ君もよくわかると思うけど」

「うん」

「効果次第では、これを持ってるだけで咎められる代物になりかねないわ」

「だろうね」 


 『誘惑』はさておき、『魅了』は良い思い出がないよな。


「それに、着用者の体型に応じて自動的に大きくも小さくもなってくれる補正機能付きだもん。すっごいレアなのよ」

「ほへー。……んで、コレはどうする?」

「「「……」」」

「では私が」


 皆が遠慮する空気の中、アイラが率先して手を挙げた。


「理由を聞こうか」

「まず、これが対になってドロップしたということは、今後も『ラミア』と戦えばドロップする可能性が高いですよね」

「……まあ、そうなるな」

「そしてこの装備は効果が弱ければジョークアイテムに分類されますが、強ければ最悪準禁制品に分類される可能性があります。そうなると、下手にオークションに流してしまうと色々と問題が出てきてしまいます」

「だから試しに使ってみると」

「そういう事でございます」


 確かに、下手にコレを市場に流すわけにはいかないか。場合によっては量産する事になる訳だし。てか、エンリルの『風魔法』の為にも少なくともあと2回は戦っておきたいしな。


「……で、本音は?」

「ご主人様の反応が見たかったので」

「さいですか」

「それに、効果がほどほどに良ければ、全員でご主人様を挑発するのも良いかと思います」


 とそこで、背後から期待するかのような視線が送られてくるのを肌で感じた。

 ……まあ、結局そうなるか。この装備からは危険な気配は感じないし、今夜の情事に、誰かが装備できずにはぶれてしまって、それがもとで喧嘩になったら嫌だしな。


「……わかったよ。今日中に全員分集められるか分からないが、やるだけやってみるか」

「流石は私のご主人様です」

「旦那様!」

「ショウタさん、頑張ってください」

「無茶しちゃだめだからねっ」

「ああ」


 飛びついて来たアヤネの頭を撫でつつ、俺は覚悟を決めた。今日中に『充電』を終わらせる覚悟で取り掛かるか。


 そうして、早めの昼食を取った俺達は、すぐに2カ所目のヘビ地帯を目指した。

 1カ所目では既に40体を倒していたので、イノシシとの境界線辺りから真っ直ぐに奥の沼地地点を目指した。到着までに足りなければ沼地周辺で狩りをしつつマップを埋めれば良いかと考えていたのだが、それは杞憂に終わる。

 どうやらこの第三層、思っていた以上に誰も狩らないからか、どこもかしこもモンスターが大量発生しているようで、エンキが数歩進めば新しい敵とエンカウントするような状態だった。まあエンキが巨体なのと、グリーンスネークが小柄の為に、スライムのように密集して出現しやすいのかもしれないが。

 沼地に辿り着く頃合いで追加の60体の討伐を完了させ、出現した『オロチ』、そして『ラミア』を順番に屠った。


【レベルアップ】

【レベルが12から68に上昇しました】


【レベルアップ】

【レベルが68から112に上昇しました】


 討伐も実にあっさりとしていた。『オロチ』は煙の真横で待機し、出現と同時に『無刃剣』でバラバラに。

 『ラミア』は、少し離れて、気配が出現すると同時に『雷鳴の矢』を『重ね撃ち』で3本用意し、一斉発射。1回目の動画と2回目の動画で、『ラミア』がどのように出現するかしっかり見返すことが出来ていた為、全ての矢が頭部・胸部・脚部を貫いていた。


「よし、このまま次に行こう!」

「「「「はい!」」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る