ガチャ261回目:ヘビの強化体

 2カ所目の沼地で『充電』を終えた俺達は、そのまま真っ直ぐ安全圏の林道へと戻り、3カ所目のヘビ地帯へと向かい、侵入を果たす。そして2カ所目同様、真っ直ぐに沼地へと向かっている最中の事。エンキの頭部にアキが登ってきた。


「ねえショウタ君、ちょっと思ったんだけど」

「ん?」

「今はガチャしなくても『充電』ボタンをぽちっとするだけで簡単にレベルが消費されるんでしょ」

「そうだね」

「ならさ、『充電』をせずに『オロチ』を倒しちゃえば、『ラミア』を低レベルで倒せて美味しいんじゃない?」

「あー、それね」


 言いたいことはわかるが、それって正直あんまり旨味が無いんだよね。


「おろ、鈍い反応」

「だって考えてみてよ。それをすることで確かに貰える経験値が増えて、レベルも増えるかもしれないけど、『ラミア』のレベルってせいぜい90しかないんだよ。相手は『特大魔石』持ちではあるけど、Lv1で倒せたとしても150前後が限界だと思う。でも結局また『充電』しなきゃいけないわけだし、その時に中途半端にレベルが高いと次の『ラミア』戦で貰える経験値が相対的に下がるよね」

「あー……そっかぁ。名案だと思ったんだけど」

「アキの案で、『充電』1回分が2回分に化けるのなら妙案ではあったんだけどね。それにはちょっと相手のレベルが低すぎるかな。先日のスライム戦で試せればよかったんだけど、そうするとデカ虹をキープするアイラ達の負担がヤバイことになるから……」

「ショウタ君も色々考えてるんだねー」

「そりゃね。大事な経験値だし、多く取れるに越したことはないさ。またなんか思いついたら教えてね、アキ」

「にひ。うん!」


 消費なんてせずにレベルを上げ続けるならまだしも、レベルを固定値で消費する必要があり、なおかつレベルが高いと上がりにくくなる。この問題がある以上は、いかに規定値に達しやすくなる稼ぎ方をするかが問題になるんだよな。難しいところだ。


 そんな事を考えている内に、俺達は最後の沼地へと到着。前回同様レアモンスターを出オチさせ、一息つく。


【レベルアップ】

【レベルが14から67に上昇しました】


【レベルアップ】

【レベルが67から113に上昇しました】


 さて、『充電』してっと……。


「それじゃ、このままここで強化体もやっちゃおうか。俺とエンキとアイラでぐるっと回って来るから、皆は休んでて」

『ゴ!』

「おや、私もですか」

「アイテム回収役はアイラにしか出来ないからな。頼りにしてるよ」

「仕方がありませんね」


 そうしてエンキに乗り込んだ俺達は一度壁沿いに北上して、第三層出口を目指す。

 そしてそこからマップに反映されていない場所を埋めつつ徐々に南下して沼地を目指した。


「ご主人様、あと5体です。マップの方はどうでしょうか」

「んー……やっぱりヘビの密集地の中だとこの東側が一番広いな。踏破率でいえば第三層の入口が70%。横断しただけの北側が20%。この東側は埋め立てムーブかましてまだ30%ってとこだ」

「なるほど。このままですと、予備の下着までも簡単に揃ってしまいそうですね」

「それは喜んでいいのか……? まあ、宣言通り『充電』は順調だけども」


 そうして規定数のグリーンスネークを撃破し、出現した煙を追いかける。少し遅れて沼地へと辿り着くと、その中央に鎮座する煙からは、予定通り強めの気配が感じられた。

 今回は初めて相手する強化体だ。情報を確認する必要がある為、出オチさせる訳にはいかない。


『シャアアアアッ!!』


 産まれ落ちた瞬間、俺とエンキ、そして上空からはエンリルによって包囲されている事を感知した『オロチ』が威嚇するように叫ぶ。まあ、目を閉じてるのでその姿は見えないんだが。


「エンキ、頭を頼む!」

『ゴ!!』


『ドゴン! ガガガッ!!』


 目を閉じていてもわかるほどに、巨大な質量をもった何かが激突する音が幾度となく響き渡る。感知能力を全開にして見守っているが、俺に届いている情報から推察するに、間違いなく『オロチ』は通常よりも巨大な気がするんだよな……。


『ゴゴ~』


 そうして黙って殴り合いを聞くこと数分。エンキから合図が送られてきたため目を開けると、そこには頭を押さえつけられじたばたともがく『オロチ』……いや、馬鹿デカいヘビの姿があった。


「なんだこの怪獣は……」


 元の姿の2倍はあるぞ。普通の『オロチ』が子供に見えるくらいの巨体さだった。だがそれも、エンキの前ではなすすべがなかったようで、頭部は抑えつけられ、尻尾は踏みつけられ、ビタンビタンと地面を叩いて暴れる姿からは、強化体としての威厳がまるでなかった。


*****

名前:オロチ

レベル:90

腕力:900

器用:1200

頑丈:675

俊敏:75

魔力:150

知力:150

運:なし


パッシブスキル】酒耐性Lv2

アーツスキル】震天動地Ⅱ

マジックスキル】水流操作Lv3

スペシャルスキル】限界突破


装備:なし

ドロップ:オロチの皮、オロチの霊肉、オロチの霊酒、ランダムボックス、オロチのトロフィー

魔石:特大

*****


 酒……。

 まあ、神話ではよく聞く話だが、本当に酒関係のスキルやアイテムを持ってるなんてな。


「皆、集まっていいよー」


 そうして俺よりちょっと距離を取った状態で、彼女達が再び撮影を再開し、満足の行く絵が撮れたところで俺がトドメを刺した。


【オロチのトロフィーを獲得しました】


【レベルアップ】

【レベルが15から148に上昇しました】


 148……。まあ、『特大』の90の強化体だし、多少は多いか。

 それじゃ『充電』してっと。


『エネルギー残高 12/15』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:48

腕力:12216(+6057)(+6108)

器用:12210(+6051)(+6102)

頑丈:12152(+6025)(+6076)

俊敏:12612(+6255)(+6306)

魔力:11800(+5851)(+5900)

知力:12092(+5997)(+6046)

運:7896


*****


 あと3回、か。

 レベルにしてあと253。マップを埋めていれば勝手に達成できそうなんだよな。

 うーん、今が15時くらいだから、少し頑張れば今日中に……。どうするかなぁ。

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