ガチャ253回目:ボス狩りラッシュ

 俺は通り過ぎたボスの煙を追いかけつつ、先程の事を考えていた。

 レアモンスター達は、俺が筐体を出した瞬間殺意を剝き出しにして攻撃を仕掛けてきた。やはりというか、俺の懸念は当たっていたらしい。モンスター達にとって、あの筐体は最優先で破壊するべき対象であるということだ。

 もしも今までにその懸念に気付かず、エンキを仲間にするより前に戦闘中で呼び出していたら、破壊されるような事態も起きえたかもしれない。改めて、エンキを仲間にしてよかった。彼のようなタンク役は、『レベルガチャ』の安全を確保する上で必須だな。


 まあ、だからといってエンキと全く同じ土系統のゴーレムを、もう1体作るのは芸がないというか……。からやりたくはないが。


「ご主人様」

『ポポ』

「あ、お待たせ」


 どうやら、考え事をしている内に目的の広場へと到着したらしい。

 広場の中央では、見た事のある煙が周囲のスライムを手当たり次第に喰らい尽くしている最中だった。


「なにかございましたか?」

「ああ。でもその説明は後だ。まずはこいつをやる」

「畏まりました」

「エンリル、雑魚が現れたら所定の通りに頼む」

『ポポ~』


 そうして待っていると、膨張しきった煙に亀裂が入り、中からドロリと虹色のボスが現れる。

 だが、いくらレベルの高い相手だろうと、2回目という事もあるし、あの時よりもこちらの練度は高い。分裂した雑魚はエンリルが一カ所に集めてそのまま切り刻み、本体はアイラが相手をする隙をついて『雷鳴の矢』で撃ち抜く。

 ただそれだけで、ボスは崩れ落ちるのだった。


【レベルアップ】

【レベルが68から183に上昇しました】


 俺は周囲にモンスターが居ない事を確認し、すぐさま筐体を呼び出して『充電』。そしてさっさと筐体を仕舞うのだった。


『エネルギー残高 3/15』


「その反応……。もしや筐体が狙われましたか?」

「ああ、以前予想した通りになっちまった。いや、むしろあんな殺意増し増しで来られるとは思ってなかったから、予想より酷かったかもな」

「なんと……。それだけ、『幻想ファンタズマ』スキルが特別という事でしょうか」

「かもなー」

『ポポ』


 アイラの肩にちょこんと留まったエンリルを撫でると、気持ちよさそうに目を細めた。


「ご主人様、今の戦闘で『運』はどうなりましたか?」

「んーと、ちょっと待ってな」


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:83

腕力:12286(+6057)(+6143)

器用:12274(+6051)(+6137)

頑丈:12222(+6025)(+6111)

俊敏:12682(+6255)(+6341)

魔力:11870(+5851)(+5935)

知力:12162(+5997)(+6081)

運:6166


*****


「6166だな」

「素晴らしいですね」

「ああ。それじゃ、皆を待たせてるし、このままお代わりを持って来るよ」

「はい、お待ちしております」


 そうして俺の往復作業が始まった。

 まずは戻ってすぐに『ヒュージーダークネススライム』を2匹同時に撃破し……。


【レベルアップ】

【レベルが83から118に上昇しました】


『エネルギー残高 4/15』


 そして本日2度目の『ヒュージーレインボースライム』を下し……。


【レベルアップ】

【レベルが18から202に上昇しました】


『エネルギー残高 6/15』


 再び戻って最後の『ヒュージーダークネススライム』を2匹同時に撃破し……。


【レベルアップ】

【レベルが2から168に上昇しました】


『エネルギー残高 7/15』


 そして本日最後の『ヒュージーレインボースライム』を全員で撃破し……。


【レベルアップ】

【レベルが68から183に上昇しました】


『エネルギー残高 8/15』


「……ふぅー。みんなお疲れ様」

「「「「はいっ!」」」」


 皆と順番にハイタッチをしていき、その後ハグして回る。


「さて、今日だけで『充電』の半分を埋める事が出来たわけだが……。やっぱり、こいつらの相手は楽で良いな」

「それも全部、このダンジョンに誰も訪れていないからってのが大きいのよね?」

「となると、今後の事も踏まえて、ショウタさんの言っていたようにこのダンジョンには誰も立ち入らせないよう入場規制するべきでしょうか」

「俺としては、そっちの方がありがたいかな。なんせ、今回の『充電』が最後で、二度と『充電』の必要がないとも限らないわけだし」

「そうですわね。また2週間ほどあけて訪れた時に、スライムがいなかったらと思うと、とっても悔しいですわ」

「幸い、このダンジョンでは今後、スタンピードを心配する必要がありません。もしもそれを理由に協会側から渋られた際は、その点だけ伝えてしまってよいかと。その事実を確認する術は誰にもありませんが、ご主人様には既に、スタンピード抑制の実績がありますから」

「うん、そうだね。……という訳で、アキ、マキ。頼むよ」

「任せて!」

「任されました!」


 んじゃ最後に、俺の『運』がどこまで成長したか再確認するか。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:83

腕力:12286(+6057)(+6143)

器用:12274(+6051)(+6137)

頑丈:12222(+6025)(+6111)

俊敏:12682(+6255)(+6341)

魔力:11870(+5851)(+5935)

知力:12162(+5997)(+6081)

運:7166


*****


 ついに『運』も7000を超えたか。

 単純計算で、『充電』が完全に完了すれば8400近くになるのかな。今から楽しみだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る