ガチャ252回目:筐体ヘイト
『ズパァン!』
放たれた2本の『雷鳴の矢』が、6体の『ヒュージープリズムスライム』を貫き煙へと変えた。
【レベルアップ】
【レベルが96から104に上昇しました】
よし、期待通り100を超えてくれた!
これで『充電』が出来るぞ。
「ふぅー……」
俺が満足気にしていると、それを見ていたアヤネが動き出す。
「では作戦開始ですわ! アイラとエンリルは先行して奥の広場へ向かってくださいまし」
「畏まりました」
『ポポッ!』
エンリルを肩に留めたアイラは、一瞬の迷いもなく奥へと駆けて消えた。
「旦那様は、奥側で『充電』して、待機していてくださいまし。他の皆さまは旦那様の前で戦闘準備を」
「わかった」
俺は煙を通り抜け、少し距離を置いた辺りで『レベルガチャ』を起動した。
さて、現在の俺のレベルは104。これを使って初の『充電』をするわけだが、どうなるか。
今の俺のステータスはこれだ。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:104
腕力:12328(+6057)(+6164)
器用:12316(+6051)(+6158)
頑丈:12264(+6025)(+6132)
俊敏:12724(+6255)(+6362)
魔力:11912(+5851)(+5956)
知力:12204(+5997)(+6102)
運:5608
*****
アイラは洞窟の奥へと進んだが、この程度の距離では『統率』の効果は消えたりしないので、増強ステータスは2倍のままだ。改めて現在のステータスを確認し、筐体正面にある『10連ガチャ』の代わりに配置された『充電』というボタンを前に一息入れる。
「ふぅー……よしっ!」
俺はそれを勢いよく押した。
『カチッ』
『エネルギー残高 1/15』
特に何かメッセージが出るでもなく、残高の数値だけが0から1へと変化した。それと同時に、ほんの少しだが、身体から何かが抜ける感覚を覚える。不安に思い、改めて自分のステータスを確認する。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:4
腕力:12128(+6057)(+6064)
器用:12116(+6051)(+6058)
頑丈:12064(+6025)(+6032)
俊敏:12524(+6255)(+6262)
魔力:11712(+5851)(+5856)
知力:12004(+5997)(+6002)
運:5608
*****
……良かった。『SP』や『運』には影響ないみたいだし、100レベル分のステータス上昇値は全ステータス100のみ。『統率』分を加味しても200ずつしか減ってない。となれば、この『充電』期間中は『運』だけがガンガン伸びて、ステータスの最大値は大きく変動はしないようだ。
これなら、しばらくは調整が楽になりそうだな。
「旦那様、よろしくて?」
「ショウタさん、あと30秒です」
「ああ、OKだ。……『雷鳴の矢』!」
『バチバチバチッ!』
「あたしとマキで一旦1匹ずつ引き剥がすわ。残りの4匹はエンキ、大変だけどお願いね」
『ゴゴ!』
狙い通りというか、予定通りというか、6つの煙は全て膨張を開始。そして中身が現れるよりも先に、世界が闇に覆われた。
「『フラッシュライト』!!」
しかし、この闇も一度すでに経験済みだ。
アヤネの魔法により闇を払われ、強い光に照らされた『ヒュージーダークネススライム』はプルプルと震えている。そしてちょうど良く、俺の射線上には2匹が連なっていた。
「そこだっ!」
『ズパァン!』
【レベルアップ】
【レベルが4から168に上昇しました】
2匹の『ヒュージーダークネススライム』が貫かれ、煙へと変わる。そこに入れ替わるようにエンキが前に出て2匹を同時に相手取った。その奥では、アキとマキが1匹ずつ対峙し、再び世界が闇に包まれそうになるとアヤネが割って入る。
俺が早々に2匹を減らせる事が出来たから、余裕を持って維持できているな。
「とりあえず、煙はまだここに居座ってるし、様子見しながら『充電』するか」
俺はその場に座り込み、『レベルガチャ』を起動した。
「――ッ!?」
その瞬間、俺は得体の知れない悪寒に襲われた。
それとほぼ同時に、皆の慌てる声が聞こえてきた。
『ゴゴ!?』
「「きゃ!?」」
「ちょっ!?」
4体の『ヒュージーダークネススライム』が突如として膨張し、明確な殺意を持ってこちらへと触手を伸ばして来ていた。そしてその狙いは、明らかに『レベルガチャ』の筐体だった。
アキとマキは濁流のように伸びる触手を止められないと判断し回避するが、エンキは逃げも隠れもせず立ちはだかる。
『ゴゴゴ!!!』
エンキは力を開放し、地面・天井・壁。その全てから岩を隆起させ、隔壁を降ろすかのように触手を封じ込める。
『ドドドッ!』
『ガガガン!』
エンキの壁によって、触手は1本たりともこちらには届かずに済んだ。完全にシャットアウトしてくれたようで、彼が防波堤となってくれたおかげで、最悪の事態は避けられたらしい。
だが、この頑丈そうな隔壁も急ごしらえのもの。いつまでもつかわからない。
俺は急いで『充電』ボタンを押して、ガチャの筐体を仕舞う。
「……」
様子を伺っていると、隔壁を叩いていた音は次第に小さくなっていき、再び皆が戦う音が聞こえてきた。
「……収まったか?」
心配になり隔壁に近付くと、そこに小さく穴が開けられた。
「旦那様、こっちは大丈夫ですわ!」
「ショウタさん、あとはお願いします!」
「気にせず戦ってきなさい!」
『ゴ!』
姿は見えないが、皆無事らしい。
そう安心したのもつかの間、その穴からモヤのような何かが飛び出してきた。いや、あれはボスの煙だ。どうやら、今のドタバタで5分が経過していたらしい。
「それじゃ、行ってくる!」
「「いってらっしゃい!」」
「ファイトですわ!」
『ゴゴー!』
俺は、洞窟の奥へと飛び去った煙を追いかけたのだった。
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