ガチャ251回目:褒められ待ち

 6体同時でもレベルアップは出来なかったか。まあ、こっちもレベル94だし、相手のレベルも低いからな。

 現時点では同時撃破に関してボーナスがあるかは分からないけど、少しでも早く『充電』に回せるレベルエネルギーを増やしたいところだし、今後も可能な限りは同時撃破を狙っていくべきだろう。


「そういえば、前回は途中まで5匹のデカスライムと戦ってたんだっけ?」

「そうですね。確か白になる時に4体に減り、黒で2体。虹は2つが1つに交わり誕生したと記憶しております」

「そうか。今回はあまり減らないでくれると助かるんだが……」

「ショウタさん、今の『運』はいくつあるんですか?」

「えっと、今のレベルアップ分の『SP』を注いで……5588だな」

「以前ここで戦っていた時は、3000になるかならないかだったと思います。それを思えば、期待値としてはかなり高いかと」

「にしし。6体全部黒まで行けば、虹色3体も夢じゃないわね」

「1匹で8から200オーバーだったんだよ? それが3匹とか……。やばいな」

「やばいですわ!」

「それこそ、戦闘中に後ろに下がるのを真面目に検討した方が良いレベルよね」

「あー……。そうだな」


 もしも3匹湧いたとして、低レベル補正の兼ね合いも考えれば途中抜けを加味すれば400~500はレベルを稼げるはずだ。危惧するべき点は、あのデカ虹が『ダンジョンボス』であるという点。同種のボスが同時に湧くのか、という懸念と、鍵を入手出来るボスが再出現するのかという点だ。

 ガダガの1ヵ月ルールの点もあるし、その点どうなるか分からないというのが問題だな。


 そして湧いたら湧いたで、奴には厄介な能力がある。


「3体同時に子分を呼び出す分裂技をされたら、さすがに手に負えなくないか?」

「……そうですね。あの技は今思い出すだけでもかなり危険な技でした。それが3倍になると思うと……」


 どうしたものかと悩んでいると、マキが俺の袖を引っ張った。


「ショウタさん、あと30秒です」

「あれ、何でわか……前回計ってたの!?」

「はい。あの時は見守るだけでしたので、念のため全て計ってました。小型の方はノータイムで湧きますが、ヒュージーは虹色含め全て5分です」

「うわ……。うちの専属、どっちも有能すぎる」

「えへへ、はいっ」


 マキを撫でようかと手が伸びるが、それと同時に全ての煙が膨張を開始した。


「おっと。悪いが続きは後で」

「お待ちしてますね」

「アキ、アイラ。頼むぞ」


 そうしてまた6匹のヒュージーを並べて、射抜く。

 だがここでもレベルは上がらず。


 そうしてマキを5分間たっぷり褒めて撫でてもう1戦。


【レベルアップ】

【レベルが94から95に上昇しました】


 緑を倒し、ようやくレベルアップしたところで、後ろからドスドスと足音が聞こえてきた。


『ゴゴ~』

「あ、おかえりエンキ。嫌な仕事させてごめんな~」

『ゴゴ、ゴゴ~……』


 何とも言えない空気感を出すエンキ。やっぱり虹色スライムとのお別れは辛かったんだろうか?

 そうして振り向けば、今度は撫でられ待ちするかのようにアキとアイラがやって来てた。まあ、2人がいなきゃヒュージー連中を上手く纏められないからな。同時に褒める。


 そしてレッド6匹ではまた上がらず。けど、次の紫はLv60だがその次の白はLv80かつ『特大魔石』持ちだ。残りの2種でLv100に到達してくれることを切に願う。

 そんなことを考えていると、アヤネが袖を引っ張ってきた。


「旦那様っ、わたくし、良い事を思いつきましたわ!!」

「お、どうした?」


 ずっと黙っているから、撫でられる理由がなくて拗ねてるのかと思ったが、どうやら何かを考えてくれていたらしい。まあアヤネは俺も甘やかしてる自覚はあるから、飛びついてきたら無条件で撫でるつもりではあったんだが。


「残りの色は紫・白・黒・虹の4色ですわね。そして前回のレベルアップ時の状況も加味して考えてましたの。このまま全て黒まで6体で出た場合の扱いを」

「うん」

「旦那様、仮に白を6体討伐出来たとしたら、レベルはいくつになりそうですの?」

「多分、100を超えてくれるはずだ」


 たぶんきっと。

 そう淡い期待を込めて答えた瞬間、6つの煙は全て膨張を開始した。


「こっちは任せて話を進めてて。エンキ、手伝ってー」

『ゴゴ!』

「2体ずつで行きましょう」


 アキ、アイラ、エンキの3人は出現した『ヒュージーパープルスライム』と対峙し、場を整え始めた。


「旦那様、構えながらで構いませんわ」

「ああ。『紫電の矢』『重ね撃ち』『力溜め』」


 整列が3人分ということもあり、『紫電の矢』も3本同時に呼び出し構える。


「黒の能力は厄介ですし、6体全部となれば維持は容易ではありませんが、4体であればわたくしの魔法と、先輩お二人。それからエンキがいれば可能なはずですの」

「ふむ……」


 ちらりと視線をマキに送れば、力強くうなずいてくれた。

 それを見届けて正面を向けば、ちょうどスライム達の整列が終わる所だった。


『パァン!』


 紫の光は敵の集団を貫き、煙へと変える。


【レベルアップ】

【レベルが95から96に上昇しました】


「ですので旦那様は、黒は6体同時にではなく、2体討伐し、出現した虹を倒す。この工程を3回繰り返してほしいのですわ。その間わたくしと先輩達は、ここでスライムを維持していますわ!」

「なるほど。じゃあ、虹色の子分連中は……」

「エンリルがわたくしの代わりを務めてくれるはずですの。『風魔法』がなくともあんなにすごいハリケーンを出せるなら、同じような事が出来るはずですわ」

『ポポ!』


 アヤネの肩に留まっていたエンリルが胸を張った。任せてほしいそうだ。

 再度確認しても、その作戦に穴はない。見事なメンバー配置だ。これはあとで思いっきり褒めてあげなきゃな。


「よし、その作戦で行こう。皆準備はいいか?」

「「「「はいっ!」」」」

『ゴゴ!』

『ポポ!』

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