ガチャ237回目:再び見た草原

 一瞬の空白を挟み、意識が覚醒すると同時に視界が晴れていく。目を覚ますとそこは、いつかの日に見た、左右の景色が歪んで見える不思議なあの草原だった。

 2回目ということもありアヤネとアイラはすぐに目を覚まして落ち着いている様子だったが、アキとマキは不安そうに周囲を見渡していた。


「二人とも、安心して」

「「ひゃっ」」


 肩を掴むと姉妹が同じように驚く。彼女達は目を瞬かせ、俺を認識すると安心したように息を吐いた。


「落ち着いた?」

「うん、ありがと」

「はいっ。もう大丈夫です。ここがショウタさんの言っていた、特殊空間なんですね」

「ああ、こんな場所、見間違えようがない。きっと奥に進めばまたボス戦だろうな」


 アヤネをみると、エンキによじ登って遠くを眺めていた。そこから何か見えるのだろうか?


「なーんにもありませんわ!」

「はは、そうか」

「ねえショウタ君。前回戦ったっていうボス戦は、強化体との再戦だったんでしょ? それなら別に怖くなくない?」

「同じだったらね。前回がそうだったからと言って、今回も同じ条件とは限らないでしょ」

「それもそっか」

「それに『悪臭』付きの『ハイ・オーク』に『極光魔法』の使い手と『宵闇魔法』の使い手が同時に来るんだよ? 割と面倒なことになりかねない」

「あ、そういえばそうでしたわ。今回の強化体は、どれも旦那様が動く前に先手必勝していましたもの。直接対峙するとなれば、危険性は計り知れませんわね」


 そう。ここの強化体に関しては、まともに戦ったと言えるのは『コマンダーゴブリン』くらいなんだよな。あとは遠距離で早々に潰したくらいで、直接相手をした場合、どう苦戦するのかまるで想像がつかない。


「……あれ、その気を付ける対象に『コマンダーゴブリン』が入ってなくない?」

「まあね。でも、あいつに出来る事って、せいぜい『統率』くらいじゃないか?」

「……そうかも。それはそれで厄介ではあるけど、スキルのドロップはないんだっけ。なら、アイラさんに任せちゃっても良いのよね」

「はい、お任せください」

『ゴゴ!』

「お、エンキは『ハイ・オーク』をなんとかしてくれるのか」

『ゴゴ、ゴゴ』

「ん? 最後までやりたいか。なら好きにやっていいぞ。でもちょっと距離を置いてくれな」

『ゴ!』

「じゃああたし達は……そうだ」


 アキは何か閃いたようで、手を合わせる。


「もし前回と同じで強化体とそのお供だけが来るようだったら、ショウタ君は何もしなくていいよ。あたし達が全部やっつけるから」

「え?」

「良いですわね! 旦那様に成長したわたくし達の姿を観て貰うチャンスですわ」

「そうですね。いつもはショウタさんに任せっきりですが、私達もちゃんと戦えるところを見て貰わないと」

「それなりに見てると思うんだけど……」


 『ラミア』戦の映像とか、レアモンスターとは別種の通常モンスターに出くわした時とか、それなりに……。


「それだけじゃ足りませんわ。旦那様も日々成長しているように、わたくし達だって日夜進化しているのです。旦那様には、常に新しいわたくし達の姿をご覧になって頂く必要がありますわ」

「アヤネ……。わかった、強化体との再戦だった時は、任せるよ」

「はいっ!」

「楽しみにしててね」

「頑張りますわ~!」


 まあ、たまには有りか。

 レアモンスターと戦う機会はめったにないし、普通のモンスターと違っていい経験になるもんな。普段はドロップの関係で俺ばっかり戦っているし、多少は心配だけど彼女達が強い事はちゃんとわかってる。今回は任せてしまおう。


「んじゃ、意気込んでるところ悪いけど、進む前にガチャを引いとくね」


 ガチャ筐体の前で胡坐を組むと、皆が俺を囲むように座った。


「あ、そういえば次のガチャで更新だっけ?」

「Lv80消費ガチャもついに完遂ですのね!」

「また色が変わるのでしょうか」

「どう変わるか楽しみですね」

『ゴ!』


 オークのトロフィーを取得するまでに2回回した分も併せると、結果としてはこうなった。

 白6、緑9、紫12、赤3。ここ最近ずっと同じ数で出ているが、恐らく今のガチャと『運』では、これが最高効率の出現ラインナップなのだろう。


『SR 腕力上昇+55』

『SR 頑丈上昇+55』

『SR 知力上昇+55』

『SSR 器用上昇+155』

『SSR 俊敏上昇+155』

『SSR 魔力上昇+155』

『SSR 腕力上昇+90、器用上昇+90』x2

『SSR 魔力上昇+90、知力上昇+90』

『SSR スキル:二刀流Ⅱ』x2

『SSR スキル:自動マッピングⅢ』

『SSR スキル:騎乗』

『SSR スキル:重ね撃ちLv1』

『SSR スキル:魔力感知』

『UR 腕力上昇+190、器用上昇+190』

『UR 頑丈上昇+190、俊敏上昇+190』x2

『UR スキル:知覚強化』x2

『UR スキル:スキル圧縮』

『UR スキル:身体超強化Lv1』

『UR スキル:空間魔法Lv1』

『UR スキル:空間把握Lv1』

『SUR 腕力上昇+250、器用上昇+250、頑丈上昇+250』

『SUR 俊敏上昇+250、魔力上昇+250、知力上昇+250』x2

『SUR スキル:地の刻印』

『SUR スキル:人の刻印』

『SUR スキル:神の刻印』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが6個、赤色のカプセルが9個。


『R 腕力上昇+25』

『R 器用上昇+25』

『R 頑丈上昇+25』

『R 俊敏上昇+25』

『R 魔力上昇+25』

『R 知力上昇+25』

『SR 腕力上昇+60』x2

『SR 器用上昇+60』x2

『SR 頑丈上昇+60』x2

『SR 魔力上昇+60』

『SR 知力上昇+60』x2


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:15

腕力:12150(+6057)(+6075)

器用:12138(+6051)(+6069)

頑丈:12086(+6025)(+6043)

俊敏:12546(+6255)(+6273)

魔力:11734(+5851)(+5867)

知力:12026(+5997)(+6013)

運:5430


ユニークスキル】レベルガチャ、真鑑定Lv4、鑑定偽装Lv4、★自動マッピングⅣ、鷹の目Ⅱ、魔石操作、弱体化、★スキル圧縮Ⅱ、充電

ブーストスキル】金剛外装Ⅲ、剛力Ⅴ、怪力Ⅳ、阿修羅Ⅱ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、瞬迅Ⅲ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅳ、金剛体Ⅱ、金剛壁Ⅱ、力溜めⅡ

パッシブスキル】★身体超強化Lv4、物理耐性Ⅴ、★知覚強化Ⅱ、思考加速、★二刀流Ⅲ、体術LvMAX、格闘術Lv6、剣聖Lv3、盾術Lv2、槍術Lv8、弓術Lv3、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv3、姿勢制御Lv1、★空間把握Lv2

PBパッシブブーストスキル】統率Ⅲ、破壊の叡智Ⅱ、魔導の叡智、炎の刻印、風の刻印、土の刻印、水の刻印、雷の刻印、氷の刻印、光の刻印、闇の刻印、空の刻印、天の刻印、★地の刻印、★人の刻印、★神の刻印

アーツスキル】予知Ⅱ(1/3)、克己、看破、気配感知、生体感知、★魔力感知、危険感知、跳躍Lv4、暗視、衝撃、鎧通し、★重ね撃ちLv2、縮地、忍び足、ウォークライⅡ、追跡者Ⅴ、★騎乗Ⅱ、反響定位、魔力定位

マジックスキル】念動力Lv1、元素魔法Lv3、外典魔法Lv1、★空間魔法Lv2、泡魔法Lv1、水流操作Lv3、砂塵操作Lv4、風塵操作Lv2、回復魔法Lv1、極光魔法Lv4、宵闇魔法Lv2、混沌魔法Lv2、魔力超回復Lv2、魔力譲渡Ⅱ

スペシャルスキル】王の威圧Ⅳ、決闘Ⅲ


武技スキル:無刃剣、紅蓮剣[飛剣・鳳凰]、紫電の矢[雷鳴の矢]


称号:ゴブリンキラー

トロフィー:コマンダーゴブリンのトロフィー、★ハイ・オークのトロフィー

管理者の鍵:525(1)、525(2)、810(1)、810(2(1/2))、777


*****


『ボックスの残り 0/140』


 刻印シリーズも随分出たな。『外典魔法』と『無刃剣』を除けば、『SUR』から出たスキルは全部このシリーズなんだよな。……うん。そろそろ『圧縮』出来そうな気がする。

 『圧縮』も『Ⅱ』になった事だし、後で試してみるか。


 そしてボックス残量もついに0に。

 Lv10、Lv20、Lv40、Lv60と来て、遂にLv80も全消費か。

 ここまで長かったようで、まだ『レベルガチャ』と出会ってからひと月も経ってないんだよな。


「……はは、今までじゃ想像もできないくらい濃密な毎日だ」


 さーて、何が出て、どう変わってくれるかな。

 俺達は光を放ちだした筐体を見守った。

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