ガチャ223回目:宝箱の開封

【該当のスキルを圧縮成功】

【SSRスキル『剣術LvMAX』を圧縮。SURスキル『剣聖Lv1』に圧縮成功しました。以後、該当スキルは元のランクからは出現しません】


「おお、カッコいい!」

「『剣聖』。やはり『剣術』の上位スキルでしたか」

「ああ、見つかってはいるんだね」

「はい。とても希少で宝箱からの発見のみでしか見つかっていないようですが」

「ほへー。あ、宝箱といえば……」


 そう言うと、アイラはスキルオーブを鞄にしまい、俺の前に5つの宝箱を並べてくれる。

 『銀の宝箱』2個。

 『金の宝箱』2個。

 『エメラルドの宝箱』1個。


 まずは銀からだな。

 同時に宝箱を開くと、中にはそれぞれ2つずつスキルオーブが入っていた。


「『勇猛』と『思考加速』?」


 この前同種のキングを倒した時は『算術』が出たけど、『勇猛』はさておきまた頭がよくなりそうな雰囲気のスキルが出たな。


「どちらも有名なスキルですね。まず『勇猛』所持者は戦闘中に勇気が湧き、『腕力』に補正が乗るスキルです。前に出るのが怖い、けれど成長係数が前衛向き。そんな人が覚えるスキルです」

「つまり、取得すると恥を掻くってこと?」

「一時期はそのような扱いを受けていましたが、『腕力』の補正が入ることが知られてからは、前衛志向の者なら欲しがる者が増えて行きましたね」


 名前:勇猛

 品格:≪希少≫レア

 種別:パッシブスキル

 説明:戦闘時、恐怖を抑え込み前へと踏み出す力を得るスキル。腕力に微量のボーナス。


「数値は不明だけど、パッシブだから消費はなしか。確かに有能だな」

「んー、あたしは反対かな。恐怖って、戦いの中では割と大事な感情だから、それが自分の意思とは無関係に押さえ込まれると、危険を危険と判断できなくなる可能性があるわ」

「そうですね。ショウタさんには十分勇気は備わっていますし、強敵を相手にしても自らを奮い立たせて前に出ています。そこにもしも蛮勇さが加味されると、逆に正確な判断が出来ずに怪我をしてしまいそうです」

「オンオフが出来ないスキルですと、かえって危険を招くのですわね……」

「ふむ。皆がそう言うなら、覚えるのはやめておこうかな」

「そうですね。このチームには必要無さそうですし、これはオークションに流してしまいましょう」


 次は『思考加速』か。


 名前:思考加速

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:パッシブスキル

 説明:思考速度が増す。


「単純明快な事しか書いてないんだけど……」

「いえ、大当たりのスキルですね」

「単純だからこそ強力というものです」

「頭の回転って、伸ばし方は色々あると言われてるけど、徐々に伸びていくものだし自分ではなかなか実感しづらいわ。けど、このスキルは覚えた瞬間自分でもわかるくらい加速するらしいの」

「ですがデメリットも存在しますわ。思考速度が増すという事は、処理する側もそれに耐えうる耐久性が求められますの。何年か前に、出土したこのスキルを一般の人が使って、負荷に耐えられなかったという話がありますわ」

「うへぇ」

「ですが私達であれば心配は無用です。元々の思考速度でスキルを得た際の加速度と、耐えられる限界値が変動するそうですが、『知力』が500もあれば問題ないそうです」

「なら、誰が覚えるべきだ?」

「まずはご主人様ですね。戦闘中も色々と考えながら動いておられますし。次点は……」


 アイラが悩んでみせる。この4人の中で一番頭を動かしてるのは……。


「なら、アイラが取るべきだな」

「よろしいのですか?」

「アイラが一番忙しそうにしてるじゃん。皆もそれでいいか?」

「ええ、アイラさんなら納得よ」

「もちろんです」

「賛成ですわ!」


 満場一致で決まった。俺とアイラは『思考加速』を取得した。

 すると思考がクリアになる感覚を得た。色々とスキルを得て、検証の優先度を決めかねていた事項も、いつもならうんうん唸ってから決めるのだが、今なら即断即決で決められそうだ。


「確かに、これは便利だ」

「そうですね。それに『思考加速』は意識してオフにする事も可能なようです。常に加速していては疲れますから」

「なるほどな」

「それにしても、宝箱からスキルオーブ、しかも2個かぁ。『コマンダーゴブリン』が銀箱を落とすってそれなりに聞く話だけど、スキルオーブが入ってたことなんて本当に稀だった気がするわ」

「ふふ、そうだね姉さん。でも、ショウタさんだもん」

「超低確率でも、大当たりを引き当ててくれる安心感がありますね」

「流石旦那様ですわ!」


 アヤネを撫でつつ、次の宝箱を引き寄せる。今度は『金の宝箱』だな。

 1つ目をぱかりと開けると、中には赤色のポーションが入っていた。


「ここで赤ポかぁ。レベルは6、と……」

「うわ、珍しい」

「あれ、そうなの?」


 『金の宝箱』からのポーションって、何だか外れっぽいイメージだけど。


「以前ショウタさんが見つけたように、Lv1やLv2まではそれなりに出現するのですが、それ以降はほとんど見つかりません。Lv6ともなれば尚更です」

「へぇ。でもうちには、アヤネもマキもいるからね。必要ないかな」

「いえ、アヤネちゃんはステータスが高いので条件を満たせてるかもしれませんが、私はまだ……」

「あ、そうなの? でも俺と一緒にいればすぐだよ」

「はいっ」

「ではこれはオークションに流すとして、もう1つの宝箱もお願いします」

「ああ」


 そして2つ目の宝箱を開けると、そこには暗闇が広がっていた。


「おっ。これは久々に来るか?」

「ドキドキですわね!」

「何が来るかしら」


 暗闇の中に手を突っ込むと、金属的な物が手の中に吸い込まれた。それを強く握り、引っ張り上げると、煌びやかな籠手が2つ出て来た。


 名称:エンペラーペイン

 品格:≪最高≫エピック

 武器レベル:38

 説明:使用者の魔力を30消費して武技スキル『破拳』が使用可能。装備者の腕力と器用にボーナス。


「噂をすればなんとやら……。両方とも、籠手の先に剣みたいなのが伸びてる」

「カタール型ですね。それにしても名称にエンペラーですか。ご主人様のカイザー武器とは対になっているのかもしれませんね」

「エンペラーがカイザーを落として、今度はその逆だもんな。相互関係はありそうだけど、武技スキル付きだからこっちの方が上位だな。アキ」


 アキに手渡すと、彼女は恐る恐るといった感じでこちらを見た。


「え、えっと。もらっていいんだよね?」

「もちろん」

「ありがと! 大事にするね!」

「それとマキ」


 俺は、アキを羨ましげに見つめるマキに声をかける。


「は、はいっ」

「いつも持ち歩いてるその黒い槍って、大事な物だったりする?」

「え? いいえ、こちらは冒険者時代に使っていたお古ですけど……」

「せっかくだから、マキにも武器を受け取って欲しいな。『槍術』は覚えたけど使ってないし、俺の予備武器で悪いけど。アイラ、『激流の三叉槍』を」

「はい」


 アイラから受け取り、それをマキに手渡した。


「あ、ありがとうございます! 大事にします!」


 喜んでもらえて良かった。だいぶ前からマキにはこの槍をプレゼントしようかとは思ってたんだけど、機会が無かったんだよね。どうせプレゼントするならアキにも何か渡したかったし。

 そんじゃ、最後に『エメラルドの宝箱』を開けますかね。


 今までと同じように箱を開けると、中からエメラルドグリーンの輝きが溢れ出た。

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