ガチャ217回目:ユニーク個体

 ピリピリと肌を刺す感覚。

 初めて『甲殻騎士』と対面した時、そして武術館で技を教えてくれた師範代と対峙した時の事を思い出す。戦士として一流の相手というのは、内包するレベルに関わらず特質的な雰囲気を持っているものだが、このモンスターも例に漏れないな。


「『真鑑定』」


*****

名前:ゴブリンヒーロー・ガダガ(ユニークボス)

レベル:130

腕力:1500

器用:1300

頑丈:1200

俊敏:800

魔力:9999

知力:600

運:なし


装備:ゴブリンヒーローの剣、ゴブリンヒーローの盾、ゴブリンヒーローの鎧

スキル:剛力Ⅲ、怪力Ⅲ、阿修羅Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅲ、瞬迅Ⅱ、鉄壁Ⅲ、城壁Ⅲ、金剛体Ⅱ、統率Ⅲ、体術Lv2、格闘術Lv2、剣術Lv4、槍術Lv3、盾術Lv2、王の威圧Ⅲ、決闘Ⅲ

ドロップ:ランダムボックス、ランダムな装備

魔石:極大

*****


「……久々の強敵だな」


 これはタフそうだし、苦労しそうだ。けど、今の俺にはエンキもいるし大切な仲間もいる。きっとどうにかなる。武器を構え、前に一歩踏み出す。

 すると『ゴブリンヒーロー』は俺に向かって指をさし、口を開いた。


『我ヲ起コシタノハ……貴様ダナ』

「「「「「!?」」」」」


 喋った!?


『我、『ゴブリンヒーロー・ガダガ』は、貴様ニ『決闘』ヲ申シ込ム!』


 その瞬間、身体から力が抜けるのを感じるとともに、目の前の光景が切り替わる。


「な、なんだ?」


 場所としては奴が出現したゴブリン集落の中のようだが……。今の一瞬で、移動した?

 奴との距離も5メートルほどに縮んだが、先程よりも感じる圧力が増したように感じるのは、距離のせいではないだろう。恐らく、先ほど力が抜けたのと関係があるはずだ。

 俺は慎重に距離を取りながら、再度ステータスを確認する。


「……『真鑑定』」


*****

名前:ゴブリンヒーロー・ガダガ(ユニークボス)

レベル:130

腕力:1800(+300)

器用:1560(+260)

頑丈:1440(+240)

俊敏:960(+160)

魔力:11999(+2000)

知力:720(+120)

運:なし


装備:ゴブリンヒーローの剣、ゴブリンヒーローの盾、ゴブリンヒーローの鎧

スキル:剛力Ⅲ、怪力Ⅲ、阿修羅Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅲ、瞬迅Ⅱ、鉄壁Ⅲ、城壁Ⅲ、金剛体Ⅱ、統率Ⅲ、体術Lv2、格闘術Lv2、剣術Lv4、体術Lv3、盾術Lv2、王の威圧Ⅲ、決闘Ⅲ

ドロップ:ランダムボックス、ランダムな装備

魔石:極大

*****


 ステータスが2割増しされてる? だが、付近に『統率』持ちはいなかったはず。

 そう思って慎重にマップを開けば、確かに奴以外に赤点は存在せず、逆に俺の背後にはいくつもの白点があった。白点が意味するもの、それは……。


『ドンッ』


 俺の背中に、何かがぶつかる。

 恐る恐る後ろを向けば、そこには半透明な壁が存在し、その向こうには愛する仲間たちの姿があった。


「皆!?」

「……!」

「……!!」


 彼女達は何かを叫び、壁を叩いているようだが、まるで声が聞こえない。こんなにも近くにいるのに、まるでここだけ、世界から切り取られたかのようだ。

 透明な壁はゴブリンの集落を包み込むように展開していて、何者も干渉できないフィールドを形成していた。


『グゲゲ。オ前、強イ。強化ヲ抜キ、弱クシテモ尚、我ヨリ、強イ』

「弱くした? ……まさか」


 奴の言い方に心当たりがあった。この空間に移動する際、力が急激に抜けたからだ。

 俺は自身のステータスも確認する。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:11

腕力:2938(+3658)(-735)

器用:2952(+3676)(-739)

頑丈:2832(+3525)(-708)

俊敏:3000(+3735)(-750)

魔力:2911(+3626)(-728)

知力:2976(+3707)(-744)

運:3982


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅢ、鷹の目Ⅱ、知覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、物理耐性Ⅴ、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、阿修羅、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛体、金剛壁Ⅱ、統率Ⅲ、予知Ⅱ(1/3)、看破、危険感知、二刀流Ⅱ、体術LvMAX、格闘術Lv6、剣術Lv5、槍術Lv8、弓術Lv3、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv3、跳躍Lv2、暗視、衝撃、鎧通し、縮地、忍び足、騎乗(1/3)、反響定位、魔力定位、念動力Lv1、元素魔法Lv3、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv3、砂塵操作Lv4、回復魔法Lv1、極光魔法Lv4、宵闇魔法Lv2、混沌魔法Lv2、魔力超回復Lv2、魔力譲渡Ⅱ、力溜めⅡ、破壊の叡智(1/3)、魔導の叡智、炎の刻印、風の刻印、土の刻印、水の刻印、王の威圧Ⅲ、魔石操作(1/3)、弱体化、スキル圧縮(1/3)


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


管理者の鍵:525(1)、525(2)、810(1)、810(2(1/2))、777


*****


 『統率』がすべて無効にされた上に、そこから更に2割も減少している……!?

 恐らくこれが、奴の言っていた『決闘』。それも『決闘Ⅲ』による効果だろうか。効果としては、強制的に1対1の状況へ移動させ、自分にはバフ、相手にデバフを負わせるという反則級のスキルだ。こんなの、レアモンスターに対して複数人で当たるのが基本戦術な俺達には、とんでもなく不利なスキルだぞ。


「……ふぅー。やるしか、ないよな」


 俺は、覚悟を決めた。


『覚悟ハ、決マッタカ』

「ああ。思えば強敵とのタイマンなんて、いつもの事だと思ってたところだ!」


 俺は剣を二本とも抜き放ち、『紅蓮剣』を使用し、『金剛外装Ⅲ』を張る。その上で、いつでもマジックミサイルやエアウォークを発動できるよう思考に余裕を持たせる。


「全力で、お前を倒すぞ」

『ゲギャギャ! 来イ、人間!』


 戦いの火蓋が切られた。

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