ガチャ216回目:警戒態勢

「皆、恐らく『レアⅢ』が来る! 警戒態勢!」

「「「「はい!」」」」


 そう返事した彼女達の行動は素早かった。まずアヤネは足場の邪魔になりそうな、雑魚がドロップした装備品を遠くに放り投げ、アイラはスキルオーブの回収作業。

 アキとマキは周辺で観客と化していた複数のチームに声をかけ、遠くに離れてもらう。それでも残る連中は実力に自信があるか、ただの命知らずかのどちらかだ。ちなみに『一等星』は近くで観戦するらしい。


「エンキ、ドーム形態!」

『ゴゴッ』


 俺はというと、戦場から少し離れた地点で、四つん這いになったエンキの内側へと潜り込む。あとは岩の鎧を液状に広げ、隙間を埋めるカーテンのように全体を覆う。そうやって俺を周囲から見えなくした。

 採光は空気穴をちょこちょこ開けてる程度なので、ほんのりと薄暗いが、『レベルガチャ』を回すくらいならこのくらいでも問題はない。


『ジャララ、ジャララララ!』


 結果は白1、緑2、紫5、赤2だった。


『SR 腕力上昇+60』

『SR 器用上昇+55』

『SSR 器用上昇+150』

『SSR 腕力上昇+90、器用上昇+90』

『SSR 頑丈上昇+90、俊敏上昇+90』

『SSR スキル:予知Ⅱ』

『SSR スキル:危険感知』

『UR スキル:水流操作Lv1』

『UR スキル:魔力超回復Lv1』

『SUR スキル:水の刻印』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが3個、赤色のカプセルが2個。


『R 腕力上昇+22』

『R 器用上昇+25』

『R 頑丈上昇+22』

『SR 器用上昇+60』

『SR 俊敏上昇+60』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:11

腕力:7344(+3658)(+3672)

器用:7380(+3676)(+3690)

頑丈:7078(+3525)(+3539)

俊敏:7498(+3735)(+3749)

魔力:7276(+3626)(+3638)

知力:7438(+3707)(+3719)

運:3982


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅢ、鷹の目Ⅱ、知覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、物理耐性Ⅴ、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、阿修羅、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛体、金剛壁Ⅱ、統率Ⅲ、予知Ⅱ(1/3)、看破、危険感知、二刀流Ⅱ、体術LvMAX、格闘術Lv6、剣術Lv5、槍術Lv8、弓術Lv3、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv3、跳躍Lv2、暗視、衝撃、鎧通し、縮地、忍び足、騎乗(1/3)、反響定位、魔力定位、念動力Lv1、元素魔法Lv3、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv3、砂塵操作Lv4、回復魔法Lv1、極光魔法Lv4、宵闇魔法Lv2、混沌魔法Lv2、魔力超回復Lv2、魔力譲渡Ⅱ、力溜めⅡ、破壊の叡智(1/3)、魔導の叡智、炎の刻印、風の刻印、土の刻印、水の刻印、王の威圧Ⅲ、魔石操作(1/3)、弱体化、スキル圧縮(1/3)


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


管理者の鍵:525(1)、525(2)、810(1)、810(2(1/2))、777


*****


『ボックスの残り 90/140』


「随分とスキルが出たな」


 だけど、彼女達の言う通り『魔力超回復』が出てくれた。これでしばらくは、あの気持ち悪さともおさらばだ。けど代わりに、状態異常対策アイテムは出なかった。

 まあ、緊急で必要なのはどちらかと言われたら、圧倒的に前者な訳だが。


『ゴゴ?』

「ああ、もう良いぞエンキ。助かった」

『ゴ!』


 俺は『レベルガチャ』の筐体をしまい、エンキの外に出る。俺が隠れていたのは数分にも満たないはずだが、もう戦いのための準備は整えられていた。

 山程あったドロップで埋められていた地面は顔を出し、アヤネとアイラはすぐ側で待機してくれていた。アキとマキは他チームの誘導がちょうど終わったのか、戻ってくる姿が見えた。


「皆、整えてくれてありがと」

「はいっ」

「んふふ。どういたしまして」

「当然ですわ」

「恐縮です」


 どうやらまだ煙は膨張していないらしく、2つの巨大な煙は気味悪く蠢いていた。


「また2体で現れた場合はアイラはエンキの方を援護してくれ。必要なら撃破優先でも構わない」

「畏まりました」

「旦那様、覚えたての支援魔法をかけますわ。『プロテクトサークル』!」


 足元に光の方円が現れ、俺たちの身体に吸収されるようにして消えていった。


「アヤネ、今のは?」

「『回復魔法Lv5』で使えるようになった魔法ですの。物理と魔法、両方のダメージに耐性が得られるそうですわ」

「『回復魔法』……。ああ、そっか。元々それを取りに来たんだっけ」


 さっきの『ヒーラーゴブリン』がスキルを4つ落としたことになるから、アヤネのスキルは全部使ってLv6になっているのか。


「そうですわ。旦那様は忘れん坊ですわね」

「ご主人様の記憶データベースはすぐに主目的が入れ替わりますし、想定通りですが」

「うっ……」

「「ふふっ」」


 アキとマキも同意するかのように微笑んでるし、ぐうの音も出ない。どうせ俺の頭の中は、ダンジョンの事でいっぱいだよ。


『ゴゴッ!』


 緊張を孕んだエンキの声に、前を向くと2つの煙が膨張を始めていた。

 来るか。


「……!?」


 2つ同時かと警戒していると、2つの煙は1つへと混じり合い、巨大かつ強大な力を秘めた煙へと変貌を遂げた。取得したばかりの『危険感知』の機能だろうか。アラームのような危険信号が脳内に鳴り響く。

 武器を持つ手に力を込めると、中からゆっくりと、筋肉隆々な3メートルほどの体躯を持つ、緑の巨体が現れた。


 俺はそいつから、いつぞやの『ヒュージーレインボースライム』と似た雰囲気を感じ取るのだった。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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