ガチャ214回目:同時出現
『ゲギャ!』
『ギャギャ!』
「だぁ、しつこい!」
『グゲッ!?』
煙を追いかけていたはずなのに、本来煙から遠ざかるはずのゴブリン達から強襲を受けることになるとは。俺はもう、何体目かも分からない敵を切り捨てる。
「ご主人様、お待たせしました」
『ゴ!』
そうこうしている内に最後尾にいたはずのアイラとエンキがやって来た。
ちなみに一緒に走っていたアキと、追いついて来たマキとアヤネにはドロップアイテムを纏めて貰っていた。彼女達がアイラの鞄にアイテムを流し込む様子を尻目に、残ったゴブリンを切り捨てる。
「ショウタ君、まだまだ来るみたいだし、残りは皆に任せて、あたし達はレアモンスターの方に向かっても良いんじゃない?」
アキが諭して来る。それは確かにそうなんだが、せっかくだからもう1つ試してみたいことがあるんだよな。
「……いや、折角だし全部倒していきたいかな。アキ、道中で襲ってきたゴブリンの数は数えてる?」
「え? うーん、多分70は超えてるかも。たった数分でとんでもない数が集まって来たけど、ショウタ君も凄い勢いで切り捨てて行ったからね」
「なら、視えている範囲にいるあの4つの軍団を合わせれば100を超えるな。もう1体湧くかどうかの検証をしつつ、奴らの集落を目指す。皆、ドロップは任せた!」
「「「「はい!」」」」
「エンキは左の2軍団を頼むぞ!」
『ゴゴ!』
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして俺の目論見は成功し、追加の100体目を討伐時にも煙は発生。1回目と同様の方向に飛んでいったためそれを追いかけた。すると、目の前には集落と先ほどの煙、吠えるレアモンスター。更には遠巻きに見守る、見知った顔がそこにはあった。
「え、シュウさん!?」
「ショウタ君? そうか、これは君が湧かせた獲物だったか」
「あ、取らずに待っててくれたんですね。ありがとうございます」
「はは。レアモンスター出現のメカニズムが解明されたばかりだからね。この辺りのルールはまだ確定していないんだ。煙が移動しているシーンを目撃した以上は、誰かの獲物かもしれない。慎重にならざるをえないよ」
そうだよなぁ。その辺のルールが面倒だよなぁ。
特に高ランク冒険者がレアモンスターを沸かせたとして、下位ランクの人達がレアモンスターを狩ったとして、罪に問えるかというとなんともだし。
「まあそういうのは、偉い人達に任せちゃいましょう」
「はは、その通りだね」
『グオオオオッ!』
『グオオッ!!』
「おっとぉ、二体目が湧いたか」
二体のレアモンスターらしきデカいゴブリンが、互いに吠え合っている。
喧嘩している……訳ではないのか。潰し合いが起きるならそれはそれで面白いかなと思ったんだが。
「すごいなショウタ君。狙ってやったのかい?」
「まあ、出ればラッキー程度でしたけどね」
「流石レアモンハンター。名に恥じぬ『運』をお持ちのようだ」
*****
名前:コマンダーゴブリン
レベル:36
腕力:500
器用:450
頑丈:300
俊敏:150
魔力:100
知力:400
運:なし
装備:魔鉄の長剣、魔鉄の鎧
スキル:剛力、怪力、統率、剣の心得Lv5、破壊の叡智
ドロップ:ランダムボックス、ランダムな装備
魔石:大
*****
ふーむ……。聞いていた通り第三層の『オロチ』よりもレベルが低いな。
まあスキルはこっちの方が多いし、お供もいるけど、あっちは『邪眼』があるしな……。
んで、肝心のお供は……。
*****
名前:ヒーラーゴブリン
レベル:18
腕力:70
器用:90
頑丈:60
俊敏:50
魔力:200
知力:200
運:なし
装備:ゴブリンの錫杖、ローブ
スキル:回復魔法Lv1
ドロップ:ランダムな装備
魔石:小
*****
ふむ。雑魚だな。
でも『回復魔法Lv1』はありがたい。しかも、1体のレアに対して2匹のお供だから、合計で4体。
『回復魔法』は品薄だから助かる。
「あ、シュウさん。2匹とも貰って大丈夫ですか?」
「もちろん良いとも。君の戦いを生で見させてくれるだけ十分すぎる対価さ」
「はは、自慢出来るようなもんじゃないですけどね」
ステータスとスキルによる暴力であって、ほとんどが確たる技術もない付け焼き刃だし。
「旦那様、こちらの準備は出来てますわ」
「第二カメラの準備も万全です」
「よし。エンキ、左の1セットはまとめて任せる」
『ゴ!』
「俺は右の1セットを貰う」
俺達が前に出ると、『コマンダーゴブリン』は俺達を認識したようで、剣を掲げ叫ぶ。すると、連中の背後から無数のゴブリン軍団が現れ、こちらに向かって雪崩のように突撃をし始めた。
「な、なんて数だ!」
『グゲゲゲ!』
『グギャギャ!』
シュウさんの驚いた声を聴いて、ゴブリン達は嗤う。
だけど、当人達は奇襲をしたつもりなんだろうが、マップには『コマンダーゴブリン』が出現した辺りで、モンスターの赤点が集まる様子が見てとれていた。それでも俺は、エンキと二人で十分だと判断した。
奴は同族に恐れられるようなタイプではなく、『ジェネラルゴブリン』を超える上位の指揮官なのだろう。その為、煙の段階でも部下をけしかける事が出来、あの短い道中で100体近くも集める事が出来たのかもしれない。
集落から離れた場所で沸かせる際は、この点に注意するよう呼び掛ける必要があるかな。
「エンキ、揺らせ」
『ゴゴォ!』
エンキが踏み込むと、前方にいたゴブリン達のいる地面が大きく跳ねた。途端に奴らはたたらを踏み、派手に転んで上手く立ち上がれずにいた。これが新しいエンキのスキル『震天動地』の効果だ。
そこにすかさずエンキが突撃し、両手に持った盾で殴ったり押し潰したりと暴れ回る。
『ゲギャ!』
『グギャギャ!』
『コマンダーゴブリン』の背後に控えていたお供のヒーラーゴブリンが、支援のために前に出ようとする姿が見えた。雑魚モンスターを瀕死から立て直したところで、もう一度切り捨てれば良い話だが、面倒なことに変わりない。
こういう時は、さっさと潰すに限る。
「させねえよ。2倍マジックミサイル!」
『グギ……!』
『ゲッ!?』
4本の光の線が、ヒーラーゴブリンの身体を撃ち抜く。4つ同時に操作した場合、まだ正確な操作は難しく、頭部などの急所を狙う事はできない。だがそれでも、当たりどころさえ良ければ戦闘能力を奪う事は可能だ。
4体中2体が地面に蹲り、もう2体は煙となった。これで邪魔は入らないだろう。
「行くぞエンキ!」
『ゴゴ!』
その後、『コマンダーゴブリン』が捨て身で特攻してくるが、その時には配下は全て片付けられていて、俺とエンキによって軽く蹴散らされるのだった。
【レベルアップ】
【レベルが68から69に上昇しました】
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