ガチャ190回目:エンキ、巨大化する

「アイラ、ドロップは」

「はい、こちらに」


 アイラの両腕に抱えられたスキル群から『砂塵操作Lv1』と『砂塵操作Lv3』を抜き取る。


「エンキ、このまま『砂塵操作Lv1』を取得したらどうなる?」

『ゴ?』


 エンキのスキル容量はMAXだ。ここに成長可能スキルを組み合わせるとLv上昇が発生するのか、それとも取得できないのか、取得出来てもエラーが起きて合成出来ずオーブが消失するのか。

 失敗したらちょっと勿体ないが試したくなった。


『ゴ!』


 スキルをコアに押し当て、しばらくするとエンキは嬉しそうに手を挙げた。俺も改めてチェックしたが、どうやらスキルは問題なくレベルアップしたらしい。


「んじゃ、このまま『砂塵操作Lv3』も取得して、石からグレードアップ出来るか確かめてくれ」

『ゴゴ!』


 エンキは同じように砂場に飛び込むと、今までと比にならない速度で砂を集め始めた。最初がふわふわと浮かぶ程度の速度とするならば、今はまるで掃除機のようだ。エンキは砂を集めれば集めるほど体格も身長も成長していき、最終的に6メートルほどのマッチョな巨人へと変貌を遂げた。サイズとしては『ジャイアントロックゴーレム』より少し大きいくらいだが、その身に纏う風格は先ほどまでのエンキとは桁違いだった。

 今なら、『ジャイアントロックゴーレム』すらも圧倒できるかもしれない。


「『砂塵操作』のレベルが4上がっただけなのにな」

「なんでしたら、エンキと組手されますか?」

『ゴ?』

「それもありかもなぁ……」

『ゴゴ!』

「エンキ、また身体に登らせてくださいまし!」

『ゴ!』


 エンキがデカすぎてアヤネの身長の低さが際立つな。単純計算で4倍差だし。

 それにより、外から見れば仲睦まじげに遊ぶ少女と巨人という、童話にありそうな感じに。うーん、絵になるなぁ……。

 おっと、どう変化したか見ておくか。


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:重層岩

 魔力:1600

 スキル(8/8):物理耐性Ⅲ、怪力Ⅲ、鉄壁Ⅳ、城壁Ⅳ、迅速Ⅲ、統率Ⅱ、自動回復Ⅳ、砂塵操作Lv5


 『重層岩』?

 知らない名称だが、めっちゃ強そうな事だけはわかる。


「エンキ、サイズはそれで頭打ちな感じか?」

『ゴ? ……ゴ!』


 ちょっと考え込んだが、エンキが頷く。となれば、後は材質や能力が強化されていく感じだろうか?

 まあ6メートルもあれば威圧感はばっちりだ。初心者たちには怖がられそうだけど、エンキはうちのチームメンバーだと徹底周知しないとな。


「よし、じゃあ移動を――」

「ご主人様。楽しくなっているところ申し訳ありませんが、ガチャのお時間です」

「あ、そっか」


 やべ、エンキの成長が楽し過ぎてガチャを回せるレベルになった事を忘れてた。


「ふふ、エンキは旦那様のお気に入りですわね」

『ゴゴ!』

「エンキ、座って壁役になってくれ」

『ゴ!』


 今ここは安全地帯ではあるが、折角ならエンキを壁として使わなきゃな。

 俺達はエンキの胡坐の中で座り込む。そしていつもの様に筐体を呼び出してガチャを回した。


『ジャララ、ジャララララ!』


 結果は白1、緑3、紫4、赤2だった。


『SR 器用上昇+60』

『SR 知力上昇+60』

『SSR 腕力上昇+85、器用上昇+85』

『SSR 頑丈上昇+85、俊敏上昇+85』

『SSR スキル:衝撃』

『SSR スキル:騎乗』

『UR 腕力上昇+300』

『UR 魔力上昇+190、知力上昇+190』

『UR スキル:魔石操作』

『SUR スキル:風の刻印』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが4個、赤色のカプセルが1個。


『R 腕力上昇+25』

『R 器用上昇+25』

『R 頑丈上昇+22』

『R 魔力上昇+22』

『SR 頑丈上昇+55』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:3

腕力:6084(+3374)(+2704)

器用:5629(+3121)(+2502)

頑丈:5350(+2966)(+2378)

俊敏:5870(+3255)(+2609)

魔力:6264(+3476)(+2784)

知力:6473(+3592)(+2877)

運:3646


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅢ、鷹の目Ⅱ、知覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、物理耐性Ⅴ、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、阿修羅、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛体、金剛壁Ⅱ、統率Ⅲ、予知Ⅱ、看破、二刀流Ⅱ、体術LvMAX、格闘術Lv6、剣術Lv5、槍術Lv8、弓術Lv2、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv2、跳躍Lv2、暗視、衝撃、鎧通し、縮地、忍び足、騎乗(1/3)、反響定位、魔力定位、念動力Lv1、元素魔法Lv3、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv2、砂塵操作Lv4、回復魔法Lv1、極光魔法Lv4、宵闇魔法Lv2、混沌魔法Lv2、魔力超回復Lv1、魔力譲渡Ⅱ、力溜めⅡ、破壊の叡智(1/3)、魔導の叡智、炎の刻印、風の刻印、王の威圧Ⅲ、魔石操作(1/3)、弱体化、スキル圧縮(1/3)


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


トロフィー:ホブゴブリン、マーダーラビット、ボスウルフ

管理者の鍵:525(1)、810(1)、810(2(1/2))、777


*****


 エンキの『統率Ⅱ』が合わさって1.8倍になったからか、ステータスがおかしなことになってるな。


「アイラ、『衝撃』ってわかるか?」

「はい。名称そのままの効果で、武器による攻撃に『衝撃』を付与するスキルです。上位の冒険者が使えば、衝撃波を生み、武技スキル『真空斬』の真似事も可能になるとか」

「ふむ……。ぜりゃっ!!」


 『衝撃』を意識して剣を思いっきり振り下ろすと、遠くにあった岩山に亀裂が入った。分断するほどでは無かったが、腕力系のスキルを駆使すれば威力が跳ね上がりそうな雰囲気を感じる。


「おお」

「す、すごいですわ!」

「でもこれ、練習しないと仲間に当ててしまいかねないな」


 不可視の攻撃は確かに強力だが、使用者の俺にすら太刀筋が見えないというのは困りものだ。


「はわわ、危ないですわ……」

「そうですね、練習あるのみです」

「最近ガチャを回せば回すほど、練習が必要なスキルが増えて来てるような……」

「旦那様、ファイトですわ!」


 まあ、やりがいはあるか。

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