ガチャ188回目:エンキ、超強化

「よくやった、エンキ!」

「すごいですわー!」

『ゴ!』


 ……ふむ。レベルは上がらなかったか……。まあ俺のレベルは72だしなぁ。35のレアモンスターじゃ物足りないか、それともゴーレムでは経験値が入らないのか。あと気になる点としては、このまま『レアⅡ』が出現するかどうかか。

 まあでも、『運』の参照先が製作者の俺にあるのなら、何とかなる気がするが……。


 そうしてアイラにエンキを紹介したり、エンキの身体をジャングルジム代わりに登って遊んでみたりと、アヤメと一緒に童心に帰って楽しんでいると、『ストーンゴーレム』の煙は膨張することなく霧散した。

 その代わり、スキルやコアⅡはしっかりとドロップしてくれたが。


「ふむ……」

「ご主人様、どう見ますか?」

「普通に確率に負けた可能性の方が高いんだよな。レベル45の『ワーウルフ』でさえ50%くらいなんだ。レベル70の『ジャイアントロックゴーレム』なんてもっと低いだろう」

「ではこの場で連戦致しますか?」

「いや、強化体がエンキを挟んでも湧くかどうかも併せて検証したい。このまま次のエリアに移動する。頼りにしてるぞエンキ」

『ゴ!!』


 ……あ、そうだ。


「アイラ、ドロップしたスキルなんだけどさ、全部エンキに覚えさせられるか試してみたいんだが」

「エンキにですか? ……なるほど。確かに覚える事が出来れば最強の盾役の完成ですね」

『ゴ?』

「そうですわね、モンスターもスキルを覚えていますし、旦那様の『真鑑定』にも人間専用とは明記されていませんもの!」

「よし、じゃあまずは『砂塵操作Lv1』だな」

『ゴゴ!』


 エンキは自身のコアにスキルを当てると、魔石を食べる時と同じように消えていった。改めて確認してみる。


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:砂

 魔力:1600

 スキル(2/8):自動回復Ⅳ、砂塵操作Lv1


「……ん?」


 色々と突っ込む点があるが、スキル(2/8)? これは単純に考えて、スキルの取得限界数か?

 もしそうだとしたら、あれもこれもと詰め込むわけにはいかないな。そういえば、『ジャイアントロックゴーレム』もスキルの数は8個だったような……。

 それに『川砂ゴーレム』の時みたいな説明書きが無い。これは名付けの結果か? 思えばリヴァちゃんとかも、昨日のスキル取得後もそうだが、名付け後は改めててはいなかったな。

 

「旦那様、如何されましたの?」

「何やら特殊な何かが見えたのですね」

「ああ、話すよ」


 2人に見えた内容を教えた。


「なるほど……」

「では、エンキはエンキとしてこの世界に認められたという事ですわ。今晩リヴァちゃん達も視てあげてくださいまし。もしかすると、本当の意味で『固有ユニーク』な存在として認められてるかもしれませんわ」

「ああ、そうしてあげよう。しかし8個までか……何を与えるか悩むな」

「そうですわね。そう考えると、『ジャイアントロックゴーレム』が取得していた物が一番バランスが取れていたのかもしれませんわね」

「攻撃と壁役、両方の性能を備えた構成ですね。ですが、現状このチームに足りていないのは盾役でしょうから、あくまで参考に留めるだけで十分かと」

「そうだな。……『金剛外装』って余ってたか?」

「申し訳ありません。先日のオークションで全て販売済みです」

「そっか。コア周りを外装で守れたら最強だなと思ったんだが」

「確かにそうですね。ですが、もし使ってみて全身を覆うようであれば枠を1つ潰してしまいかねませんね」

「ああそうか、そうなる可能性もあるのか……」

『ゴ?』


 俺達がスキルの談義をしていると、エンキは自身のコアに手を当てた。するとその手に光が集まり、塊となって次第に玉の形へと成っていく。何が起きているのかと全員で見守っていると、エンキの手にはスキルオーブが存在していた。

 それは『自動回復Ⅳ』のスキルオーブだった。


「は? し、『真鑑定』!」


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:砂

 魔力:1600

 スキル(1/8):砂塵操作Lv1


「……まじか。エンキお前、スキルの取り出しが出来るのか!?」

『ゴ!!』


 エンキは先ほどまでよりも高音で返事をした。心なしか得意げな様子だ。


「すごいですわー!」

「これなら……今出来る組み合わせで最高の物をチョイスして、後で調整するなんて事も可能ですね」

「そうだな。エンキ、実演ありがと。そのスキルは一番重要だから改めて取得しておいてくれ」

『ゴ!』

「それと、『砂塵操作Lv1』を手にしたことで何か変わったか?」

『ゴゴ? ……ゴゴ!』


 エンキは砂場へと飛び込み、自分の全身を砂で包み込んだ。まるで砂風呂を堪能しているかの様子に微笑ましく思っていると、砂はどんどんエンキへと取り込まれて行き、次第にその全身は石の材質へと変化していった。


「「「おおー!」」」


 皆で拍手するとエンキは嬉しそうに両腕を突き上げた。心なしか、身体のサイズも一回り増した気がする。


『ゴゴー!!』


 そんな彼に俺達は、『お願い』の売れ残り。……もとい、現状取得可能なスキルの中で強力な物を分け与える事にした。それと、午前中に手に入れた物を含めて可能な限り『圧縮』し、それらを得たエンキは、最強の壁役へと変貌を遂げた。


 名前:エンキ

 品格:『固有ユニーク

 コア:ゴーレムコアⅣ

 材質:石

 魔力:1600

 スキル(8/8):物理耐性Ⅲ、怪力Ⅲ、鉄壁Ⅳ、城壁Ⅳ、迅速Ⅲ、統率Ⅱ、自動回復Ⅳ、砂塵操作Lv1


 『統率』を覚えてくれたのは嬉しい誤算だ。

 ……それにしてもこれ、そんじょそこらの『レアⅡ』より強いんじゃないか?

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