ガチャ180回目:情報整理

 帰宅した俺達はリビングに集まり、得られた情報を整理していた。

 アキとマキがホワイトボードに1つ1つ議題を書き込み、まとめ役に徹してくれるお陰で俺も整理が出来ていた。


「よし、大体こんな所ね。まずサクヤさんは、自分の子供たちにそれぞれ独立した部隊を与え、『中級ダンジョン』やお隣の『機械ダンジョン』を中心に活動させていた。その目的は彼らのリーダーとしての資質を見極める事。そして、『コアホルダー』と呼ばれる『ダンジョンコア』へアクセスする権利を手にする事だった」

「サクヤさんが言うには、国外には既に何人かの『コアホルダー』がいるようですが、国内では未確認だそうです。サクヤさんが『コアホルダー』を得て何をするのかは分かりませんでしたが、悪用するとは考えたくないですね」

「お母様は、旦那様が既に複数のトロフィーや鍵を持っていることに目星をつけていました。わたくしとの婚約をお認めになられたのも、それがあったからだと思いますの」

「あの方はご主人様に『中級ダンジョン』と『機械ダンジョン』にある禁止区域への立ち入りを許可されました。それは同時に、あの3人を出し抜いてみろという試練でもあるのでしょう」

「そして今日来ていたお兄様やお姉様達。それに彼らに従う兵隊たちは、殆どの方が旦那様の動画を見られていないようでしたわ。プライドが邪魔をしているのか、それとも見る価値はないと判断したのかはわかりませんが……少しお馬鹿ですわね」

「それに比べて、政財界のお偉方や『烈火の剣』『蒼霧』はちゃんと見てくれてた上で、しっかりと公正な判断を下してくれていたわ。もっと沢山の情報を出せば出すほど、彼らはあたし達の味方に付いてくれるでしょうね」

「それで、どうしますかショウタさん。今後の予定は」

「……そうだな」


 現在攻略済みダンジョンは1つ。ダンジョンNo.777『アンラッキーホール』。

 攻略中ダンジョンは2つ。ダンジョンNo.525『初心者ダンジョン』、ダンジョンNo.810『ハートダンジョン』。

 攻略保留ダンジョンは1つ。ダンジョンNo.128『上級ダンジョン』。

 未攻略ダンジョンは5つ。『中級ダンジョン』『機械ダンジョン』『山岳ダンジョン』『暴風ダンジョン』『四季ダンジョン』。


 今日の歓迎会で協会長にこそ出会えなかったが、近隣の支部長への挨拶はさせてもらえた上、支援の約束も取り付けて貰った。であるならば、何処から攻略してもいいところなのだが……。やっぱり、中途半端は気になるよな。


「まずは『初心者ダンジョン』に行く。そしてシュウさんの言っていた内容のチェックと、午後にゴーレムの強化体を倒してトロフィーの確保に行く。それが終わってから改めて考えるよ」

「「「「了解!」」」」

「他に気になることはあったかな? 無いなら、ガチャを呼び出して皆で確認しようと思うんだけど……」


 そう言うと皆が考え込むが、アキは手元のメモを見て何か思い出したようだ。


「……あっ! そうだショウタ君」

「んー?」

「スライム戦の時の事、教えてもらってないわ」

「え? ……何だっけ?」

「ほら、えーっと……」


 アキは必死に俺が言ったことを思い出そうとしていた。けど、肝心の内容はメモに残していなかったのか、口に出来ないでいた。

 ……って、思い出せないのかよ。


「戦闘中に抜け出して、ガチャを使用するのは避けたいってお話しでしたね」

「そう、それー!」

「ああ、それか」


 確かに言ったな。今までガチャを回していたのは戦闘終了時、周りに敵がいない時か、家の中なんかの安全地帯だけだ。だから戦闘中にガチャを回すことで、1つだけどうしてもぬぐえない懸念があったんだよな。


「ショウタ君は何を警戒していたの?」

「うーん、漠然とした感覚ではあるんだけど、『レベルガチャ』の筐体ってさ、知らない人には見えないし、ガチャボタンは触れないようになってるでしょ」

「うん」

「そうでしたわね」

「それは何故かと考えた時にね、いくつか仮定を考えたんだ。単純に秘匿性の高いスキルだからとか、『幻想ファンタズマ』という特異なランクだからとか色々思い浮かぶ。だけど、一番警戒したのはんじゃないかって」


 それを聞いた皆は黙り込み、そして納得したように頷いた。


「なるほどね。そりゃ、不慮の事故でもしもがあったら大変か」

「筐体が破損して『レベルガチャ』が使用不能になったらと思うと……。とても怖いですもんね」

「スキルで生まれた存在は壊れないなんて考えは、危険な思い込みですわね。もし壊れてしまえば、旦那様の夢が遠ざかりますわ」

「確かに。安全を第一に考えれば特に留意するべきですね。これ以降、ダンジョン内でご主人様がガチャをされる際はより一層注意致します」

「よろしく。頼りにしてるよ」

「お任せください」

「それじゃ、ガチャの話も出た事だし、アップグレードされた内容を見て行こうか」


 俺はガチャの筐体を呼び出した。

 筐体は鮮やかな緑色で、表面の紙には以下の内容が記載されていた。


『バージョンアップ! 出現する増強アイテムの効果が高まりました!』

『バージョンアップ! ガチャの消費レベルが6⇒8に上昇しました!』

『バージョンアップ! 「10回ガチャ」だけでボックスを消費した為、最大数が増加しました!』

『バージョンアップ! 所有者の運が規定値を超えたため、SURが解禁されました』

『バージョンアップ! 無料ガチャがアップグレードしました!』

『管理者権限を確認。一部の特殊スキルがアンロックされました』

『ボックスの残り140/140』


「消費レベルの上昇は想定通りな結果に落ち着いてくれたな。新しいレアも解放したようだし……。とりあえず、2回分回すとしようか」

「SUR……。スーパーウルトラレアかな? あまり見ない表記ね」

「そうなんだ?」


 俺は軽く聞き流しつつガチャボタンを2連続で押した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

https://twitter.com/hiyuu_niyna/status/1660117998584360961

上記にて、ショウタ君がゴーレムの強化体終了後に巡るダンジョンの攻略先を応募してました(5/21 12:00~5/24 12:00)沢山の応募ありがとうございました。

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