ガチャ178回目:改めてのご挨拶
アヤネの兄と姉を退け、改めて彼女達と一緒に過ごしているとサクヤさんからの呼び出しを受けた。彼女達の同席は許されているとのことで、皆でサクヤさんの待つ応接室へと向かった。
執事が部屋にノックをし、入室の許可が出たので彼女たちに倣って部屋に入る。そこには先程見かけた妖艶な魔女、サクヤさんがいた。どうやら彼女の子供達はこの場にはいないらしい。
居たらちょっと面倒だったので助かった。
「初めまして、天地 翔太です。この度はお呼び頂き、ありがとうございました」
「アマチさん、我が家へようこそおいで下さいました。もっと肩の力を抜いていただいて構いませんよ。貴方はもうアヤネの婿としての力量は十分に示してくれたわ。ですから私のことも、気兼ねなく母と呼んでくださいね」
「あ、えっと……サクヤお義母さん?」
「ふふ、可愛らしくも頼もしい子。歓迎するわ」
この人に微笑まれると、不覚にもドキリとしてしまう。アヤネの姉達には特に何も感じなかったのに、これが魔性の女って奴だろうか。
「あ、なら一緒に他の婚約者達も紹介させて下さい。サクヤお義母さんはもう知ってると思うけど」
「ええ、構いませんよ」
そうして和やかに彼女達の紹介が終わると、本題に入る事にした。この人には色々と聞きたいことがあったけど、一番気になってることから行こう。
「あの、サクヤお義母さんはどうして俺とアヤネとの婚約を認めてくれたんですか? お互いに一方的に知ってるだけで、直接お会いしたことはないと思うんですけど」
「そうね、そのためにはまず、我が宝条院家が何を目指しているかを伝えた方が良いわね。あいさつの後すぐに私は部屋に戻ったけれど、直後にあの子達から猛烈なアピールを受けたんじゃないかしら」
「ああ、はい。断りましたけど、大丈夫ですよね?」
「問題ないわ。あの子達も目標に近付いてはいるのだけれど、その近道の為に貴方を取り入れようと動いたみたい。だけど、少し遅かったわね。私は直接動画を見させてもらったけれど、あの子達はまだ見ていないようなの。だからまだあなたが、誘えば簡単に手に入る人材だと高を括っていたようね」
「なるほど?」
やっぱ、舐められてたのか。最初に出会った頃のアヤネを迎え入れる程度の、弱い人間だと。
そう思ってちらりと見れば、案の定自分のせいだと思ったアヤネが顔を暗くしていた。
「アヤネ、そんな顔するな」
「旦那様……」
「お前はもう、立派に成長しただろ? なんなら、サクヤお義母さんに見てもらえ。お前がどれほど成長したのかをさ」
「……そうですわね。お母さま、私のステータス、見てくださいますか?」
「そうね、アヤネちゃんはどれほど成長したのかしら。楽しみだわ」
一応俺も見ておくか。
*****
名前:宝条院 綾音
年齢:18
身長:146cm
体重:35kg
スリーサイズ:75/52/78
レベル:157
腕力:258(+97)
器用:512(+192)
頑丈:1092(+521)(+410)
俊敏:511(+192)
魔力:2728(+603)(+1023)
知力:3108(+528)(+1166)
運:10
装備:宝石のステッキ、ハイパープロテクター内蔵・新式オートクチュール、愛のネックレス
スキル:鑑定Lv3、鑑定妨害Lv3、金剛外装Ⅲ、身体強化Lv4、剛力Ⅱ、怪力Ⅱ、金剛力、鉄壁Ⅱ、城壁Ⅱ、金剛壁、統率Ⅲ、炎魔法Lv3、風魔法LvMAX、水魔法Lv2、泡魔法Lv1、回復魔法Lv2、極光魔法Lv4、魔力回復Lv2、魔導の叡智Ⅱ
*****
うん、かなり急成長したよな。
確かこの前のヒュージーレインボースライムで、40近く上がったんだっけか。相手のレベルが格上だったこともあって、元々レベル100を超えていたアヤネですら低レベル補正の恩恵を受けたようだ。
……てか、ネックレスに名前付いてるんだけど!? これってもしかしなくても、もしかするのか? そこは帰ってから確認しよう。
「……素晴らしいわ。累計1600を超える成長アイテムに加えて、国内で未発見の『極光魔法』まで。以前報告を受けた時のアイラと近いレベルにまで成長してくれて、私も嬉しいわ。良い人を捕まえたわね、アヤネちゃん」
「恐縮ですわ……」
「あ、あの。サクヤさんには、アヤネちゃんの成長アイテムの数値が見えているんですか?」
確かにそうだ。普通の『鑑定』では成長アイテムの数値は見れないはずだ。俺はいつの間にか見えていたけど、見るための手段が何か存在しているのか?
「ええ、そうね。『真鑑定』を取得していれば、この数値は誰にでも見る事が可能なの」
「「「「「!?」」」」」
『真鑑定』。間違いなくサクヤさんはそう言った。
凄い人なんだろうとは思っていたけど、まさかそのスキルをガチャ無しで取得している人がいたなんて。
となれば、そのレベルによっては俺の『鑑定偽装』も突破される恐れがある。もし筒抜けになれば、俺のステータスの異常性も、一番重要なスキルも、露見する事になるだろう。
だが、警戒を強める俺に対し、サクヤさんは美しく微笑んだ。
「安心して。私はアマチさんと敵対するつもりはないわ。それに、『鍵』を持っている者は『鑑定妨害』の機能がより強く働く傾向にあるのよ」
「『鍵』……」
「ええ。強化体を倒した以上、貴方の性格から考えてトロフィーを『鍵』の欠片に変えたと予想していたのだけれど……。どうやら、しっかり獲得していたようね。本当に素晴らしいわ」
「貴女は、どこまで知ってるんですか」
「その前に、少し話を戻しましょうか。宝条院家の目的について。以前のアヤネちゃんでは能力不足で伝えられていない事だけど、今の貴女になら十分資格があるわ」
「聞かせてくださいまし」
「私があの子達に望んだもの。それは、この国の『コアホルダー』になってほしかったの」
『コアホルダー』?
それは、もしかして……。『管理者』の事か?
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