ガチャ167回目:新種魔法-白-
ガチャを消して顔を上げても、未だにデカ紫スライムからは煙が立ち上っていた。
「間に合ったか……」
そう安堵した所で、湧き出る煙に変化があった。
5体分の煙の内4つが膨張し、1つが霧散して今までのアイテムが全てドロップしたのだ。
恐らく、レア枠の確率に失敗したのだろう。
「白から不確定になるか。まあ、少し手強くなって来たし、数が減ってくれるのは正直ありがたいな」
「そうですわね。あの耐性、ステータスが上がっていくほど地味に厄介度も上がっている感じですもの」
「私のナイフも徐々に入りにくくなっていますし、4体に減るのであれば多少は負担も減るかと」
レアモンスター出現の兆候にも関わらず、俺達は気を抜いていた。相手はスライムで、その上強くなる傾向も予測が付きやすく、大体想像が出来たからだ。
しかし、煙が晴れた瞬間、現れた純白のスライムからは、今まで何度か経験した悪寒が生じた。
「全員警戒!」
咄嗟に指示を出すのと同時に、4体の純白スライムに光が収束し、それを一斉に発射してきた。
「「「『金剛外装Ⅲ』!!」」」
『バチンッッ!』
「「くっ!」」
「あうっ!」
閃光が俺たちの視界を奪い去る。感触からして、光線は俺達の眼前で障壁と衝突し、互いに相殺し合ったのだろう。ダメージはこちらにはなかったが、視界が奪われた。まるで、ドラマや映画なんかで見るような、閃光手榴弾でも食らったかのようだ。
「くそ、目がチカチカする」
『黄金の実(大)』を収穫する時よりも、経験したことのない痛みが目と頭を焼き続ける。視界がぼやけて、まるで見えないぞ!
「『サークル・キュアリカバリー』!」
隣にいたアヤネが何かを叫ぶと、痛みが消えて視界も晴れる。
目を何度か瞬かせると、もう完全に元通りだった。
「旦那様、今のは状態異常でしたわ。大丈夫ですの?」
「ああ、助かった。ありがとうアヤネ」
「ご主人様、これを」
アイラがこちらの返事を待たずにサングラスを装着してくる。本当に俺の分も用意してあったんだな。
改めて前方を睨むが、連続使用はして来ないのかスライム達に光が集まる様子はない。今のうちに、チェックをしておくか。
「『真鑑定』」
*****
名前:ヒュージープリズムスライム
レベル:80
腕力:900
器用:900
頑丈:900
俊敏:300
魔力:2000
知力:1000
運:なし
装備:なし
スキル:物理耐性Ⅲ、自動回復Ⅲ、極光魔法Lv2
ドロップ:超濃縮スライムゼリー、七色のダイヤモンド
魔石:特大
*****
「……は?」
突然の超強化に驚きを隠せなかった。いくらなんでも急に強くなりすぎだろう。しかし『極光魔法』か。また新しい種類の魔法が出てきたな。さっきの光線はこれで間違いないとして、問題は消費魔力だが……。連発されない内に仕留めるか。
「アヤネ、アイラ。想定していた集団戦の戦法その1で行くぞ!」
「連発ですわね! やってやりますわ!」
「攪乱して参ります」
集団戦の戦法とは、簡単に言えば以前アイラと2人の時に起きたような、『エンペラーゴブリン』戦のような戦いの対処法の1つだ。凶悪な個体が複数いる時に実行し、ドロップは一旦気にせず手当たり次第に攻撃を行う。
アヤネは2種のビッグシリーズを複数呼び出して放ち、アイラは可能であれば背後に回り込んで狙いを逸らす。そして俺は、可能な限り1体ずつトドメを刺すことを目標としつつも、高火力で数を減らしていく。というものだ。
この戦法が功を制したのか、それとも相手のガス切れか。2回目の光線が飛んでくることなく、無事に4体の『ヒュージープリズムスライム』は煙を吹き出した。
そしてレベルは1匹目で1⇒88へと上がり、その後95、99、101と上昇した。
「悪い、またガチャしてくる」
「いってらっしゃいませですわ!」
俺はアキとマキの所までダッシュで向かい、座り込んでガチャを起動した。
『ジャララ、ジャララララ!』
結果は緑2、紫5、赤3だった。
『SR 腕力上昇+45』x2
『SR 頑丈上昇+45』
『SSR 器用上昇+110』
『SSR 魔力上昇+110』
『SSR 頑丈上昇+80、俊敏上昇+80』
『SSR 魔力上昇+75、知力上昇+75』
『SSR スキル:魔力譲渡』
『UR 魔力上昇+200』
『UR スキル:鎧通し』
「無料ガチャ」では青色のカプセルが5個。
『R 腕力上昇+18』
『R 器用上昇+18』x3
『R 魔力上昇+18』
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:41
腕力:3424(+2096)(+1284)
器用:3352(+2050)(+1257)
頑丈:3333(+2038)(+1250)
俊敏:3687(+2259)(+1383)
魔力:3644(+2234)(+1367)
知力:3384(+2072)(+1269)
運:3002
スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅡ(2/3)、鷹の目(2/3)、知覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、阿修羅、金剛力Ⅱ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛体、金剛壁Ⅱ、統率Ⅲ、予知Ⅱ、看破、二刀流Ⅱ、体術Lv9、格闘術Lv2、剣術Lv5、槍術Lv8、弓術Lv2、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv2、跳躍Lv2、鎧通し、縮地、忍び足、騎乗、元素魔法Lv3、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv2、砂塵操作Lv4、回復魔法Lv1、魔力超回復Lv1、魔力譲渡Ⅱ、力溜め(1/3)、破壊の叡智(1/3)、魔導の叡智、王の威圧Ⅲ、魔石操作、スキル圧縮
武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢
トロフィー:ホブゴブリン、マーダーラビット、ボスウルフ
管理者の鍵:525(1)、810(1)、810(2(1/2))
*****
『ボックスの残り 20/130』
ガチャを回してアイテムを順番に取得している間、アキは汗を拭いてくれて、マキは飲み物を飲ませてくれていた。出現間隔がこんなにシビアでなかったら、抱きしめてあげたいところだが、今は我慢するしかない。
「ねえショウタ君、思った事聞いていい?」
「なに?」
「戦いの最中にガチャの条件満たすレベルになったのなら、途中で抜けてきた方が良くない?」
アキにそれを言われたとき、何を言われたのかすぐには理解出来なかったが、反芻して理解した。つまり、ガチャを回せる61を超えた段階で強敵はアヤネ達に任せて、一旦ガチャしに戻って来ては、という事だな。
確かに妙案ではあるが、1つどうしてもぬぐえない懸念点があった。
「魅力的な話だけど、ごめん。それはちょっと懸念があって試せないかな。事情はまた今度話すよ」
「そうなの? 分かった、気をつけてね」
「ショウタさん、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる!」
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