ガチャ161回目:新手のペットブーム
「え、なになに?」
「ショウタさん、その子は?」
アヤネの歓声を聞いて、2人も様子を見にやってきたので、現状を伝える。
「ああ、スキル名称にあった魔石って『ゴーレムコア』の事だったんだ」
「つまり、ショウタさんのスキルは言い換えれば『ゴーレム作製』スキルだったという事ですか。確かにこんなスキル、聞いた事がありません」
アキとマキも、興味深そうに小型ゴーレムを眺めている。
……そう言えば、こいつにも名称があるんだろうか? 確認したら出てくるかな。
「『真鑑定』」
名前:川砂ゴーレム
品格:
説明:20の魔力を糧に生み出された仮想生命体。魔力を与える事で半永久的に動き、命令に従順で、戦闘も可能。注がれた魔力に応じて体積と能力の上限が変動する。
「名前はそのまんまだな。にしても、魔力量で性能が変わるのか」
となると、こっちは……。
名前:ゴーレムコア
品格:
説明:周囲の魔力を貯める貯蔵庫としての役割と、与えられた属性の力を使う機能が備わっている。最大100まで魔力を保持可能
名前:ゴーレムコアⅡ
品格:
説明:周囲の魔力を貯める貯蔵庫としての役割と、与えられた属性の力を使う機能が備わっている。最大400まで魔力を保持可能
名前:ゴーレムコアⅣ
品格:
説明:周囲の魔力を貯める貯蔵庫としての役割と、与えられた属性の力を使う機能が備わっている。最大1600まで魔力を保持可能
ほうほう。
試しに、新しく別の『ゴーレムコア』に魔力を送り、同じ要領で川砂を集めて多めにボディを整えてあげると、少し大きめの『川砂ゴーレム』が誕生した。そして身体の大きさは可変式らしく、1体目に合わせて縮める事も可能だった。
その結果に満足し、皆に鑑定結果を伝える。
「旦那様、この子、もっと大きく出来るんですの?」
「第二層に出てきたゴーレムみたいに、ってことだよね? 出来るとは思うけど、その為の砂や土がないかな」
「残念ですわ……」
しょんぼりするアヤネを宥めつつ、代わりに『魔力』を満タンまで注ぎ込むことにした。性能は中途半端よりMAXの方が良いだろうしな。そうやって注ぎ込んだ後にもう1度『真鑑定』してみたら、問題なく100の『魔力』が籠められていた。
しっかりできた事に満足していると、物思いに耽っていたアキが、何やら笑みを浮かべた。どうやら、何か思いついたらしい。
「ねえショウタ君。この説明通りなら、別にこの子達の身体は土である必要はないんじゃない? ほら、君にはもう1つ扱える属性があるじゃない」
「……水か! ああいや、でもなぁ」
「何か問題?」
「スキルレベルがね。『砂塵操作』はLv4だから距離や量を気にせず動かせたんだけど『水流操作』はLv1。こっちは本当に、俺が触れられる程度の距離や量しか動かせないんだ」
「そうなのね。でも、別にゴーレム作製には関係ないんじゃない? 水道からならいくらでも水は出せるし、最悪『水魔法』でなんとかなるでしょ」
「そ、そうですわ! ゴーレムの土は『土魔法』でいくらでも用意できますわ! わたくし達は覚えてないですけど、旦那様の『元素魔法』なら可能ですわ」
なるほど、他のスキルとの併用か。
確かに、それなら局地的な場所でもゴーレムが作れるかもしれない。魔法は攻撃に使った後も、消えてなくなる訳じゃないもんな。
でもなー。
「面白い案をありがとう。けど『土魔法』を使ったら、家の中が汚れるから今日はなしでな」
「ガーンですわ!」
「水道の方は……。うん、汚れても良いように風呂場で試してみようかな」
そうして『川砂ゴーレム』と同じく、2体の『浄水ゴーレム』が誕生した。しかし、スキルレベルの低さからか、『浄水ゴーレム』は身体を人型に保つのに難があるらしく、常に流動的だった。
……いや、水のゴーレムなんだし、こういう物なのかもしれないけど。
「「「可愛い~!」」」
うん、皆にウケてるみたいだし、これでいいか。
やろうと思えばゴーレムをもっと量産出来るだろうけど、管理するのも大変そうだし、少ない方が愛着も湧くだろう。まずはお試しで2体ずつ運用して、何が出来るのかを見極めていこうかな。命令権は俺にあるようだったが、一言付け加えれば彼女達の言う事も聞いてくれるみたいだったので、1人1体ずつ任せてみる事にした。
その結果、アキとマキは『浄水ゴーレム』。アヤネとアイラは『川砂ゴーレム』を担当する事となった。
「旦那様。わたくし、リヴァちゃんを大事にしますわ!」
「足取りはしっかりしていますし、家事も覚えられそうですね。ご主人様と思って可愛がります」
「……変なことしないでね?」
てかアヤネ、もう名前付けたのか。
川だからリバー? それとも、リバーとサンドで海の怪物リヴァイアサンとか? 土属性のゴーレムなのにな。
「この子、抱きしめるとひんやりしてて気持ちいいわ」
「そうだね。抱き枕にちょうどいいかも」
アキとマキは『浄水ゴーレム』を胸に抱いて顔を埋めている。ちょっと羨ましい。
「あ、ショウタさんの子はどうされるんですか?」
「え、俺?」
そういえば、皆には1匹ずつ与えたけど、俺は……。うん。
ダンジョン内で戦闘用に、『ゴーレムコアⅣ』を使って新たに作るかもしれないけど、私生活までは必要ないかな。
「俺には皆がいるから必要ないよ」
そう伝えると、皆から熱の籠った視線で見つめられた。少し気恥ずかしくなりそっぽを向いて、どうにか誤魔化す方法を考える。
「あ、あー……。そろそろお腹が空いて来たかな」
「ふふ。はい、すぐにご飯にしますね」
「腕によりをかけてお作りします」
「あたしも、久々に手伝おっかなー」
「わたくしも頑張りますわ!」
そう言って彼女達は、キッチンに向かった。
しかし、その場に残されたゴーレム達は、何か言いたそうにこちらを見上げていた。
「ん、どうした?」
『グッ』
彼らは器用にもサムズアップをし、彼女達の後を追っていった。
お前ら絶対感情あるだろ。
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