ガチャ158回目:彼女達の成長

「ふぅー……」


 俺はソファーで寝転んでいた。

 通常サイズの『黄金の実』と比べれば量こそ少ないが、その分重量も体積も大きいので輝きがヤバい。なので、収穫には疲労が溜まった。ただでさえ、今日は疲れてるというのに……。

 これでもしも、帰還せずに何戦もゴーレムと戦いを続けていた後にこれが待っていたとしたら、どうなっていただろうか。

 ……考えたくもないな。


「ふふふ」

「よしよし」

「なでなでですわ」


 力尽きた俺を気遣って、彼女達が甘やかしてくれていた。

 膝枕だったり、頭を撫でられたり、手を握られたりと。


 うーん、幸せ。


「ご主人様、統計が完了しました」


 そんな中、律儀に収穫したアイテムをチェックしていたアイラから報告が来る。

 目は未だにチカチカしていたので、開けるのも億劫だったからそのままの体勢で続きを促す。


「ん」

「まずは植えられた数ですが、『黄金の種(大)』が16個でしたね。その内12個の種が3つの実をつけ、残り4個の種が2つの実をつけておりました。総じて、収穫された実の数は44個。更に全ての実から3つずつ成長アイテムが出たため、最終的にブーストアイテムは132個獲得となりました」

「結局、植えた数は少なくても、得たアイテムは通常の種と同じくらいと。けど、疲労度はこっちの方が上かも……」


 1つ1つが、ほんと眩しいんだもん。


「次からはのサングラスをお渡ししましょう」


 ……?

 その言い方に違和感があったのでふとアイラを見たら、彼女はサングラスを着用していた。


「……おまっ」

「ご主人様が悪いのです。私を信頼してサングラスが欲しいと仰って下さればすぐにでもお渡ししましたのに……。何も言わずにズンズン進むのですから」

「え、俺が悪いの?」

「私はご主人様のメイドです。無茶振りにお応えするのが本懐なのです。ですので次からは、欲しいものがあればすぐにでも仰っていただければと」

「……」


 こいつめ。

 俺がその発想に至ってなかった事を知った上で黙ってただろ。


「アイラさん、あまりショウタさんを虐めないで下さい」

「マキ、ほっときなさい。こんなのじゃれ合いみたいなものよ」

「……はぁ、アイラ。俺の地頭じゃ思考が追いつかないことが多々あるから、これからはお前から率先して動いてくれ。俺も思いついたらちゃんと言うから」

「……致し方ありませんね」


 アイラは渋々といった表情でそう言うと、俺のズボンに手を掛け始めた。


「おい待て、なにをしている」

「ナニとは?」

「……なぜ、ズボンに手を掛ける必要が?」

「奥方様に囲まれてムラムラされていたようなので、発散を――」


『ゴッ!』


 おふざけが過ぎるアイラの脳天にチョップを入れる。


「よーし、次からは率先して動く前にまず空気を読もうか」

「冗談です」


 アイラは頭をさすりながら立ち上がった。ホントかよ……。

 

「では改めて、これが実から出た成長アイテムの一覧です」


 そう言って何事もなかったかのように、アイラは手元にあったリストを差し出してきた。

 切り替えが速すぎて頭が追いつかんぞ。


 えーっと、なになに……。


『腕力上昇+15』x2

『腕力上昇+18』x16

『腕力上昇+20』x5

『器用上昇+15』x3

『器用上昇+18』x15

『器用上昇+20』x4

『頑丈上昇+15』x3

『頑丈上昇+18』x14

『頑丈上昇+20』x4

『俊敏上昇+15』x5

『俊敏上昇+18』x12

『俊敏上昇+20』x4

『魔力上昇+15』x3

『魔力上昇+18』x17

『魔力上昇+20』x4

『知力上昇+15』x4

『知力上昇+18』x12

『知力上昇+20』x5


 で、これを分けると……。

 アヤネは『頑丈』+377、『魔力』+431、『知力』+376。

 アイラは『腕力』+418、『器用』+395、『俊敏』+371。


 になる、と。


「これはひどい」

「見ようによっては『レベルガチャ』よりもヤバいわね」


 確かに。

 やろうと思えば、これは誰にでも与えられる恩恵なんだもんな。


「じゃ、数が多いけど2人とも全部獲得して。それから先日しっかりと見た時から、どれくらい変わったかを見たい」

「分かりましたわ!」

「承知しました。以前見られた時のデータは念のため残しております」


 流石アイラ。準備が良い。


「あ。あたし達の『統率』はどうしよっか」

「あー……。一応オフにしておいて」

「わかりました」


 現在の『統率』スキルは、アヤネとアイラ、それから俺が『Ⅲ』。アキとマキは無印だから、彼女達も有効にしていたら倍率は現在1.8倍になってしまうからな。これだと、ダンジョン内とのデータに違いが出てしまう

 そうして、2人のデータを見ながら、現在のステータスを見比べてみる。


 まずはアヤネだ。

 前回のがこれで……。


*****

名前:宝条院 綾音

年齢:18

身長:146cm

体重:35kg

スリーサイズ:75/52/78

レベル:70

腕力:119(+45)

器用:234(+88)

頑丈:138(+12)(+52)

俊敏:232(+87)

魔力:816(+17)(+306)

知力:1045(+22)(+392)

運:10


装備:宝石のステッキ、ハイパープロテクター内蔵・新式オートクチュール

スキル:鑑定Lv3、鑑定妨害Lv3、金剛外装、身体強化Lv3、怪力Ⅱ、鉄壁、城壁、統率Ⅱ、炎魔法Lv3、風魔法Lv6、回復魔法Lv2、魔力回復Lv1、魔導の叡智(1/3)

*****


 今回は……。


*****

名前:宝条院 綾音

年齢:18

身長:146cm

体重:35kg

スリーサイズ:75/52/78

レベル:104

腕力:173(+65)

器用:343(+129)

頑丈:1007(+521)(+378)

俊敏:341(+128)

魔力:2135(+603)(+801)

知力:2344(+528)(+879)

運:10


装備:宝石のステッキ、ハイパープロテクター内蔵・新式オートクチュール

スキル:鑑定Lv3、鑑定妨害Lv3、身体強化Lv3、金剛外装Ⅲ、怪力Ⅱ、鉄壁、城壁、統率Ⅲ、炎魔法Lv3、風魔法LvMAX、泡魔法Lv1、回復魔法Lv2、魔力回復Lv2、魔導の叡智Ⅱ

*****


「ああ、アヤネも強くなったな」


 『魔力』『知力』も相当だが、この『頑丈』値の上がり幅がエグい。

 これなら、ちょっとやそっとの攻撃じゃ傷つかないだろ。


「うぅ……旦那様のおかげですわ。ありがとうございますわ」


 涙を零す彼女を抱きとめ、背中をさする。聞いた話だと、彼女は実家で落ちこぼれ扱いを受けてたって聞くし、これだけあれば十分見返せるだろ。

 それに、『知力』が2000を超えたのなら、更に上位の魔法も使えるようになってるはずだ。今後もダンジョンでは、彼女の魔法と知識には頼る事になりそうだな。


 続いてアイラだな。彼女は元々の数値が高かったけど、どうなっただろうか。

 まず前回がこっちで……。


*****

名前:犬柴 愛良

年齢:23

身長:170cm

体重:56kg

スリーサイズ:90/60/89

レベル:174

腕力:1592(+14)(+531)

器用:1590(+12)(+530)

頑丈:1050(+350)

俊敏:2112(+14)(+704)

魔力:525(+175)

知力:530(+177)

運:6


装備:パラゾニウム、ライフスティール、カスタマイズハイパープロテクター(戦場のメイド仕様)

スキル:鑑定Lv4、鑑定妨害Lv4、身体強化Lv7、隠形、気配遮断Lv5、剛力Ⅱ、怪力Ⅱ(2/3)、金剛力、俊足Ⅱ、迅速、鉄壁Ⅱ、城壁Ⅱ、金剛壁、統率Ⅲ、予知、二刀流、剣術Lv4、暗殺術Lv3、投擲Lv8

*****


 うーん、これだけでも十分に強いんだが。

 で、今は……。


*****

名前:犬柴 愛良

年齢:23

身長:170cm

体重:56kg

スリーサイズ:90/60/89

レベル:180

腕力:2701(+605)(+1013)

器用:2600(+541)(+975)

頑丈:1159(+435)

俊敏:3215(+567)(+1206)

魔力:583(+219)

知力:588(+221)

運:6


装備:パラゾニウム、ライフスティール、カスタマイズハイパープロテクター(戦場のメイド仕様)

スキル:鑑定Lv4、鑑定妨害Lv4、金剛外装Ⅲ、身体強化LvMAX、隠形、気配遮断、剛力Ⅱ、怪力Ⅱ(2/3)、金剛力、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅱ、城壁Ⅱ、金剛壁、統率Ⅲ、予知、二刀流Ⅱ、剣術Lv4、暗殺術Lv3、投擲LvMAX、風魔法Lv8、泡魔法Lv1

*****


「うっわぁ……」


 もっとどえらい事になってる。


「ご主人様にステータスを全て抜かされたと思いきや、『黄金の実(大)』のおかげで挽回できましたね」

「まあ、この後ガチャを回すんだけどね」

「ああ……短い返り咲きでした」


 よよ、と泣き真似をしてみせる。とりあえず頭を撫でておくか。

 それにしても、やっぱりアイラが強い事を実感すると、安心感が増すな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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