ガチャ153回目:ゴーレムの生態チェック
『自動マッピング』に映る赤い点を目指して、俺達は砂地を進んでいく。
この砂地を歩いてみた感想としては、『ハートダンジョン』第二層の砂浜と、そう大差はなかった。
鈍重で、複数同時に絡んできて、高い防御力を備え、足場の悪い中、威力の高い攻撃を仕掛けてくる大きな敵。そう考えると、ゴーレムとシザークラブは共通点が多いな。あと、弓で簡単に倒せる点も。
砂地をズンズン進んでいくと、俺の足音に気付いたのか付近に潜んでいたゴーレム達がその姿を見せ始めた。じっくり見ていて初めて分かったのだが、連中はどうやら砂風呂のように寝転がっている訳でも無く、地面に埋まるように潜り込んでいる訳でもないらしい。
そうして敵を感知すると、周囲の砂を集めてゴーレムの形を取る生態のようだ。なので死ぬときは、ゆっくりと力を失い、力尽きていく。その為、生物としての死を持つシザークラブと違って『即死する訳ではない』為、弓による即殺戦法を実行しても、周囲のゴーレムが目覚めてしまうのだろう。
まあそれで困るのは『自動マッピング』で常に敵の位置を把握出来る俺くらいのもので、普通は先手を取る事は難しいだろうけど。
そう考えていると、一番近い位置にいたゴーレムが目の前にやって来て、両手をハンマーのように形状を変えて、叩きつけてきた。
「おっと」
『ゴッ!』
とりあえず剣1本で受け止めてみたが、なるほど。パワーもそれなりにある、と。
「第一層『ホブゴブリン』の、『怪力』並みの威力はあるな」
「左様ですか。では、平均的な盾役冒険者で、レベルが20前後あれば、問題なさそうですね」
俺は『ミスリルソード』でガードをしたまま、目の前で怪しく光る弱点を『御霊』で貫いた。たったそれだけで『ゴーレムコア』からは煙が噴きだし、ゴーレムはただの砂へと変わり果てていく。
「接近戦でも問題なし。それじゃ、一気に狩っていくぞ。念のため動画は回しっぱなしで」
「はいですわ!」
「回収はお任せを」
◇◇◇◇◇◇◇◇
歩いて呼び起こしたり、先手必勝作戦をしたりしていると、とあることに気が付いた。どうやらゴーレムの感知範囲は、前者よりも後者の方が広く届く事がわかった。
まあ、先手必勝すると、爆発してるからなんだが。
アヤネの見解によると、本来使用されるはずだったゴーレムの形を作るための力が、行き場を無くした結果による爆発らしい。彼女のいう通り、ゴーレムとして立ち上がった奴らはどんな方法でコアを破壊しても爆発はしなかった。
正直、広い範囲のゴーレムを呼び起こす先手必勝戦法の方が楽なのだが、そうやって倒した場合、最初の1匹目のドロップが砂に埋もれてしまうというデメリットがあった。
そんなアイテムさえ、アイラは律儀に拾っていたため、彼女は気付けば砂まみれになっていた。
「……ごめん」
「お気になさらず。これも私の仕事ですから」
「今更だけど、砂に沈んじゃったものは拾わなくても……」
「ご主人様、『ゴーレムコア』の市場価格はご存知ですか?」
「え、いや……」
「1個5万です」
「ぼろ儲け!?」
「とても貴重な素材で、かなり難易度の高いダンジョンからでないと中々お目にかかれません。このコアはゴーレム種の中では一番格が低いものですが、それでも珍しさと希少性からこの値がついております」
「……ドロップ率は知らないけど、多分数日中に値下がりしそうだね」
「そうですね。少なくとも現時点で100%ドロップですから、『俊足』のスキルオーブよりは確率が高いのでしょう。後輩たちの懐が潤うかもしれません。その分、多少の危険はあるかもしれませんが」
遠距離攻撃持ちがいれば楽に狩れて、盾役がしっかりしていれば前衛だけでも勝てる相手。それが確率不明とはいえ高額素材をドロップする。
これは、第二層が賑わいそうだな。
そして、賑わいの果てにずっとゴーレムを狩り続けて、
「あ、ご主人様。今ので100体です」
「おっと」
俺は残っていたゴーレムを素早く弓で倒し、煙の行末を見る。煙はいつものように膨張し岩山の方へと動き出した。その動きは緩慢なため、マップと照らし合わせながら3人で追いかける。
「2人はあの煙、見えてるか?」
「見えませんわ!」
「恐らく『運』が10以下では、条件が適用外なのでしょう」
「そうかー」
そうして小走りで追い続けると、煙は岩山の中腹で急停止し、更なる膨張をし始めた。
そして中から現れたのは、全身が石で構成された3メートルを超える巨人だった。
*****
名前:ストーンゴーレム
レベル:35
腕力:450
器用:50
頑丈:600
俊敏:20
魔力:200
知力:10
運:なし
装備:なし
スキル:鉄壁、城壁、砂塵操作Lv1
ドロップ:ゴーレムコアⅡ
魔石:大
*****
「うへぇ、硬そう……」
『ゴォォォォ!』
ところでこいつら、何処から声を出してるんだ?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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