ガチャ151回目:第二層の運営事情

「……目がチカチカするわ」


 支部長はこめかみを抑えながら唸った。

 うんまあ、このスキルの数だもんな。それに、5億とかふざけた値段してる『統率』が13個もあるし。更には上位の『統率Ⅲ』まである。


「これだけの数のスキル、なぜ使わないのか聞いても良いかしら」

「え、いやー……。別に戦いで苦戦はしていないし、どうせなら全部終わらせてから精算しようかなーって」

「……はぁ。落ち着いてから精算したいって気持ちはわかるけど、貯め込み過ぎよ。一体いつから溜めてるのよ」

「ほとんどが昨日と今日の分ですね」


 支部長はますます頭を抱えた。


「アキ、マキ」

「「はい」」

「絶対に彼を野放しにしないように」

「「任せて!」」


 その会話、俺の前でしちゃう?


「アマチ君、確認だけど、ここにあるスキルは全て、あなたのを使わずに手に入れた物で、間違いないかしら」


 支部長が言っているのは『圧縮』で混ぜ混ぜしていないか、ということかな?

 つまりは、このままの形でドロップする物。『お願い』リストに加えて問題ないスキル群か否か、ということだろう。


「はい。大丈夫です」

「……分かったわ。今晩、精算が終わって余ったスキルがあればこの子達に確認するわ」

「あ、でも注意点と言いますか、問題がありました」

「何かしら」

「『風魔法Lv4』だけは、今のところ『黄金鳳蝶』からの専用ドロップなので、お願いリストに加えられないかと」

「ああ、それね。分かったわ。といっても、特殊過ぎて欲しがる人はいないと思うわね」

「やっぱり、そう思います?」


 支部長からも売れないアイテムの烙印を受けてしまった。なんとも哀れなスキルだ。


「うーん、じゃあとりあえず、このスキルはアイラが覚えといてくれる? Lv4の時点でも持て余してると思うけど」

「承知しました」


 そう言って、アイラは『風魔法Lv4』を取得し、スキルとしては『風魔法Lv8』になった。


「それと、せっかくだからこの機会に『統率Ⅲ』も俺が覚えておくよ。2人とも待たせてごめんね」

「これで3人でも全員1.6倍ですわね!」

……?」


 アヤネの言葉に支部長が眉を顰めるが、スキルオーブと娘達を交互に見て溜息を吐くのだった。

 そして、話は終わったという事で、アイラは目にも止まらぬ速さで全てのスキルを鞄に収納した。


「確認したかった事は以上よ。午後からは最後のモンスターに取り掛かるのよね。……アマチ君は今まで倒したことがあったかしら」

「ゴーレムですよね。いえ、倒すどころか目撃すらしてません」


 マップ埋めの時にちらっとフィールドを覗いた時は、姿形を確認出来なかったんだよな。


「そう。あのモンスター、実は物理攻撃に耐性があるくらいのことしか分かっていないの。『初心者ダンジョン』ということもあって、ここは駆け出しがほとんどだから、魔法を主体とした冒険者が来ることはほとんどないのよね。魔法が扱える子にオススメなのかと言われても、それ以上の情報が無いから検証も出来てないの」

「でも、他のダンジョンにもゴーレムはいるんですよね?」

「いるわ。けど、本当に申し訳ないのだけど、無理に調べなくても他のモンスターでやっていけてるから、他所のデータと比べるほどの情報を収集出来ていないのよ。だからアマチ君がモンスターの情報を収集してくると言ってくれた時はとてもありがたかったのよ」

「なるほど」


 まあ確かに、第一層よりもちょっと強くなったゴブリンや、キラーラビットの2体だけでも十分レベルをあげられるし、チームを組んで複数人と行動するならヒルズウルフからの『俊足』狙いでお金も稼げる。強くなれば第三層以降を目指せばいいわけだし、事前に厄介とだけ知られている未知のゴーレムに、わざわざ危険を冒して手を出す必要はないよな。

 安全第一。冒険をするうえでこれ以上重要なことはない。


 そうして支部長が部屋を出て行き、俺達は昼食を再開。

 食べ終わると同時に俺はガチャを回しておくことにした。


 結果としては緑3、紫4、赤3だった。


『SR 頑丈上昇+45』

『SR 俊敏上昇+45』

『SR 知力上昇+45』

『SSR 腕力上昇+110』

『SSR 腕力上昇+75、器用上昇+75』

『SSR 頑丈上昇+75、俊敏上昇+75』

『SSR スキル:自動マッピングⅡ』

『UR 俊敏上昇+200』

『UR 腕力上昇+130、器用上昇+130』

『UR スキル:鷹の目』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが5個。


『R 器用上昇+18』x2

『R 魔力上昇+18』

『R 知力上昇+18』x2


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:4

腕力:2652(+1650)(+995)

器用:2632(+1638)(+987)

頑丈:2468(+1535)(+926)

俊敏:2864(+1783)(+1074)

魔力:2560(+1595)(+960)

知力:2506(+1561)(+940)

運:2568


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅡ(2/3)、鷹の目(2/3)、知覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅲ(2/3)、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛壁Ⅱ、統率Ⅲ、予知Ⅱ、二刀流Ⅱ、体術Lv9、格闘術Lv2、剣術Lv5、槍術Lv8、弓術Lv2、暗殺術LvMAX、狩人の極意Lv2、跳躍Lv2、縮地、騎乗、元素魔法Lv3、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv1、回復魔法Lv1、魔力超回復Lv1、魔力譲渡(2/3)、力溜め、破壊の叡智、魔導の叡智、王の威圧Ⅲ、魔石操作、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


トロフィー:ホブゴブリン、マーダーラビット、ボスウルフ

管理者の鍵:525(1)、810(1)、810(2(1/2))


*****


『ボックスの残り 50/130』


 『自動マッピングⅡ』と『鷹の目』はあと1個か。どちらも有用スキルだから、どう変化するのか楽しみだな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る